ネンブツダイ

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ネンブツダイ(念仏鯛、学名: Ostorhinchus semilineatus: half-lined cardinalfish)は、スズキ目スズキ亜目テンジクダイ科に属する魚類の一種である。

日本など太平洋北西部を中心に分布する。中心の生息地は日本近海及び朝鮮半島西側沿岸であり、時折沖縄を越えて台湾中国東南部で観察記録がある。日本国内では、東北地方北海道の太平洋側や日本海側の能登半島より北にはいない。

沿岸付近に生息する。水温が高くなる5月からまだ水温が比較的高い11月までは、大きな港や小さな漁港、岩場などで群れを作る。藻場など海藻が多く生えているところにも多くおり、繁殖期は隠れるところや、縄張りを作りやすい藻場や岩場、漁港の消波ブロックなど障害物の周りに集まる。

水温が低くなる冬場は沖合いの水深10メートル以深のところで群れて生活する。そのため冬場に漁港で釣れることはあまりない。が、定置網に大量にかかることがある[1]

近縁種のクロホシイシモチと群れていることがある。

形態

最大全長12.0センチメートル、平均的な全長は8.0センチメートル[2]。体色は綺麗なオレンジや黄色などである。美しい体色からか、キンギョとも呼ばれる。

繁殖期は雌は腹に卵があると丸い体型をしているが、雄は上唇の先に突起のような物が突き出ており、これで雌雄の区別ができる。

近似種との見分け方

クロホシイシモチと似ている。しかし、多くの人はこれらを全てネンブツダイとして区別することなく扱っている。見分け方として次のとおりである。

  • ネンブツダイ

ネンブツダイは生息地が広く良く他種と混泳している。

  1. 目の上を通るラインが背中まで伸びる。
  2. 全体的に虹のようなカラフルな色合いに輝く。(黄色、オレンジ、ピンク、黄緑)
  3. 雄の固体には上唇の先に突起が突き出ている。
  • クロホシイシモチ

クロホシイシモチはネンブツダイに比べ南方形の魚で伊豆半島より西南の太平洋で多く見られる。千葉県の房総半島ではネンブツダイが多くクロホシイシモチは少数である。

  1. 目の上を通るラインが短く目の上で切れる。しかし、このラインと直線上にエラの上部に黒点がある。
  2. 茶色、オレンジの単色。夜は金色に輝いて美しい。
  3. 雄は下アゴの先が突き出る。

この2種は似ているが良く観察すると違いがあり、すぐ解かる。また、色合いもまったく違い、釣りなどで固体を見るとネンブツダイのほうがやはり虹のように様々な色が出ているので美しい。

生態

夜行性である[2]。主に肉食であり、プランクトンや、「ゴカイ類」などのイソメ科英語版生物、小魚、小型甲殻類オキアミなどのエビ類を捕食する。

駿河湾での観察では、水深4から14メートルで海底石が転がっている場所に生息する[3]。冬には海底付近に密集してほとんど動かない[4]。春から秋に海底から離れて中層で群れをなして泳ぐ[4] 。夏に生まれた稚魚・幼魚は、翌年春までは幼魚どうしでまとまり、成魚とは群れを作らない。体の大きさが変わらなくなる夏に成魚の群れと混ざる[5]

春から夏にかけて、雄、雌のペアが出現する[5]。誘うのは雌で、雄に対して体を曲げて震わせる求愛行動をとり、他の雄・雌を突いて追い払う[6]。ペアができると、群れから分かれて海底の岩陰などにとどまる[6]。ペアができてから約5日後に雄も同様の求愛行動や他の個体の追い払いを行うようになり、ペアができてから7から10日後に産卵と放精がなされる[6]。雌の生殖孔から出てきた卵塊は完全に離れることなく、放精後の雄が口で卵塊をくわえとる[6]

産卵後に雄は単独で群れに戻り、口に卵塊をくわえたまま絶食状態で過ごす[6]。この口内保育は、同じテンジクダイ科で一般的な生態である[7]。約一週間で稚魚が生まれる[6]。雌は約3日間海底にとどまってから群れに復帰する[6]。雌は餌を捕食した後また別の雄とペアを組み繁殖をする。繁殖行動は水が綺麗であれば水中に潜らなくても港内で観察できる。

稚魚は親よりもやや深い水深15から18メートルの海底の石の間隙などに潜む[8]。成長すると稚魚どうしで群れをなして海中を泳ぐようになる[8]

寿命は約3年半と推定される[9]

人との関わり

無毒だが食用にされない。網で漁獲されても棄てられる[1]

基本的に飼育用としても流通していないので釣りをしている時に出会う魚である。昼間はあまり釣れないが、夜は入れ食いになる場合があり、釣り場を移動しなければならない場合もある。釣りでは主に外道として捨てられており、港で弱った個体が浮かんでいるのがしばしば確認できる。

飼育法

脚注

参考文献

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