ノコギリエイ

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オオノコギリエイ
保全状況評価[1]
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 CR.svg
Status iucn3.1 CR.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: サカタザメ目 Rhinopristiformes
: ノコギリエイ科 Pristidae
: オオノコギリエイ属 Pristis
: オオノコギリエイ P. pristis
学名
Pristis pristis
(Linnaeus, 1758)
シノニム
英名
Largetooth sawfish

ノコギリエイ(学名:Pristis pristis)は、ノコギリエイ科に分類されるエイの一種。標準和名オオノコギリエイ[3]熱帯および亜熱帯の沿岸地域、淡水に生息する。個体数が激減しており、現在は絶滅の危機に瀕している[1][4][5]

Pristis pristis、インド洋と西太平洋の P. microdon、東太平洋と大西洋の P. perotteti は歴史的にかなりの混乱を引き起こしてきたが、2013年に発表された証拠により、形態学的および遺伝学的差異がないため、 3種は同種であることが明らかになった[6]。その結果、P. microdonP. perottetiP. pristis のシノニムとして扱われるようになった[1][7][8][9][10][11]NADHデヒドロゲナーゼ遺伝子の解析に基づくと、ノコギリエイには大西洋、インド洋と西太平洋、東太平洋の3つの主要な系統がある[6]。学名の Pristis(属名と種小名)は、ギリシア語で「のこぎり」を意味する言葉に由来する[12]

英名にはcommon sawfish(今日ではあまり一般的ではない)[4]wide sawfish[13]freshwater sawfishriver sawfishLeichhardt's sawfishルードヴィヒ・ライヒハルトに由来)、northern sawfishなどがある[7]

和名ノコギリエイはもともと日本産のAnoxypristis cuspidataスベスベノコギリエイ)に与えられていたが、1997年にA. cuspidataが日本近海には分布しないものとされ、ノコギリエイは当時分布が確認されていたP. microdonの和名とする説が提唱された[14]。一方で2024年にA. cuspidataがかつて日本に分布していた地域絶滅種であることが報告され、P. pristisには改めて標準和名オオノコギリエイが提唱された[3]

形態

全長は最大で7.5 mに達する可能性があるが[4]、確認されている最大の個体は西アフリカで漁獲された全長7 mのものであった[15]。1951年にテキサス州ガルベストンで捕獲された個体は、正式な計測はされていないが、フィルムの映像から、同様の大きさであると推定されている[16]。今日ではほとんどの個体ははるかに小さく、典型的な全長は2 - 2.5 mである[4][13]。大型の個体は500 - 600 kg[12]、あるいはそれ以上の体重になることもある[17]

第一背鰭は腹鰭より前方から始まり、胸鰭は比較的長く、先端が角張っており、小さな尾鰭下葉がある。他のノコギリエイ科の種では、第一背鰭は腹鰭と同じかその後ろから始まり、他のノコギリエイ属の種は、胸鰭は短く先端はあまり尖らず、尾鰭下葉は非常に小さいか、まったく無い[5][18]。ノコギリエイの吻幅は、その長さの15 - 25%で、他のノコギリエイ類と比較して比較的幅広く[13][19]、両側に均等に離れた14 - 24本の吻歯がある[5]。ノコギリエイは生涯に時々吻歯を失うが、再生されない[20]。正確な吻歯の数は、実際の数と失われた吻歯の跡から分かる[21]。平均して、雌は雄よりも吻が短く、吻歯の数も少ない[21]。吻の長さは年齢によっても異なり、平均的に全長の約27%であるが[5]、幼魚では最大30%で、成魚では最小で20 - 22%になる[21]

背面は一般的に灰色から黄褐色で、鰭は明るい黄色を帯びていることが多い[5][22]。淡水域の個体は、血液により赤みがかった色をしていることがある[12]。腹面は灰色から白色である[5][22]

分布と生息地

世界中の熱帯および亜熱帯の沿岸地域に生息するが、淡水にも進出し、海から1,340 km離れた川でも記録されている。東大西洋ではモーリタニアからアンゴラまで分布していた[1]地中海からの古い報告(最後のものは1950年代後半かその直後)があり、これらは通常迷魚とみなされていたが[11]、記録の調査により、この海域に繁殖個体群がいたことが強く示唆されている[23]。西大西洋の分布域はウルグアイからカリブ海およびメキシコ湾までであった[1]。米国のいくつかの州からの報告があるとされるが、調査によるとテキサス州のものが明確に本種であり、特にフロリダ州産と主張されているもののいくつかは、他の国から輸入された可能性がある[24]。東太平洋の分布域はペルーからメキシコマサトランまでであった[1]。歴史的には南アフリカからアフリカの角インド東南アジアオーストラリア北部にかけてインド太平洋に広く分布していた[1][5]。その分布域は720万km2近くに達し、他のノコギリエイ類よりも広かったが、歴史的分布域の多くから姿を消した[11]

成魚は主に河口や水深25 mまでの海水域で見られるが[7]、大部分は10 m未満で見られる[1][19]オオノコギリエイ[16]グリーンソーフィッシュ[25]ヒメノコギリエイよりも淡水への親和性が高い[26]ニカラグア湖に生息するノコギリエイは、その一生のほとんど、あるいは全てを淡水域で過ごしているように見えるが[1]、標識調査によると、少なくとも一部は湖と海の間を移動している[19]。飼育下での研究では、年齢に関係なく、塩水と淡水の両方で長期的に繁栄することができ、塩水から淡水への順応はその逆よりも速いことが示されている[27]。飼育下では、後ろ向きに泳ぐなど機敏な動きをすることが知られており、胸鰭を使って水面からジャンプすることができる。全長1.8 mの個体は、高さ5 mまでジャンプした。これは、川を遡上する際に中規模の滝や急流を超えるための適応である可能性がある[27]シルト質の底で見られる[7]。水温は24 - 32℃を好み、19℃以下になると致命的となる[27]

生態

性成熟は7 - 10歳で、全長が約2.8 - 3 mになる[5][7]卵胎生であり、繁殖は季節的で、正確な時期は地域によって異なる[17]。成熟した雌は1 - 2年に1回繁殖し、妊娠期間は約5ヶ月で[1]、母親は生まれた地域に戻って自分の子供を産むという兆候がある[28]。1回の出産で1 - 13尾、平均7尾の仔が生まれ、出生時の全長は72 - 90 cmである[1][5]。河口近くの塩水または汽水で生まれ、仔エイは生まれて3 - 5年間は淡水域で過ごし[1][7][19]、時には400 kmも上流に移動する[5]アマゾン川流域では、さらに上流からも報告されており[1][29]、全長2 mに達する若い個体がほとんどである[30]。時折、若い個体が洪水時に湖沼で孤立し、何年もそこで生きることがある[7]。ノコギリエイの寿命は不明だが、30年[12]、35年[1]、44年[7]、80年と推定される[27]

魚類軟体動物甲殻類を食べる肉食魚である[5]。吻は獲物を探すために海底をかき回すのにも、魚の群れを切るのにも使われる。特に若いノコギリエイでは、ワニや大型のサメに食べられることがある[7][12]。通常大人しく、人間には無害だが、捕獲されたときにノコギリで身を守ろうとすると、周りの人間は重傷を負うことがある[12][27]

人との関わり

脚注

関連項目

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