ハリシア属
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新橋 Harrisia martinii | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Harrisia Britton (1908) | ||||||||||||||||||||||||||||||
| タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Harrisia gracilis (Mill.) Britton | ||||||||||||||||||||||||||||||
| シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 亜属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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(本文参照) |
ハリシア属[1][2](ハリシアぞく、ハッリシア属[3]、ハーリシア属[4][5]、Harrisia)は、サボテン科の一属である。アメリカ合衆国フロリダ州、カリブ海地域、ならびに南アメリカ中部から東部を原産地とする[6]。1908年にナサニエル・ブリトンによって記載された[2][7]。
本属の初期の構成種は、広義のハシラサボテン属[8][9] Cereus に分類されていた[注釈 1]。本属のタイプ種である美形柱[10][5] Harrisia gracilis[注釈 2]は、1768年にフィリップ・ミラーによって Cereus gracilis として記載された。19世紀には、複数の研究者によって Cereus eriophorus、C. bonplandii、C. martinii などが記載された。1905年、アルヴィン・ベルガーは種子の形態に着目し、カリブ海地域と南米の種を1亜属 Cereus subg. Eriocereus にまとめた[11]。
1908年、ブリトンはハシラサボテン属からハリシア属 Harrisia を分離したが[2][7]、当初はカリブ海産の種のみを含んでいた[12]。属名はジャマイカで活動していた植物学者ウィリアム・ハリスへの献名である[12]。
1909年、リッコボーノは南米産の種をエリオケレウス属[3][4] Eriocereus としてケレウス属から独立させた[4][13]。1920年、ブリトンとローズは著書『サボテン科』においてエリオケレウス属をハリシア属に統合し、さらにいくつかの種を記載した[14][13]。
1938年、バッケベルクは灰刺柱 Cereus tetracanthus (≡Harrisia tetracantha) をタイプとしてロゼオケレウス属 Roseocereus を設立した[13][15][注釈 3]。
その後、バッケベルクなど一部の研究者は再びエリオケレウス属、ハリシア属、ロゼオケレウス属に分割したが、分子系統学的結果からはこれらを内包する単系統の1属としてまとめることが支持される[16][17]。2013年、Alan R. Franck らはDNA配列と形態に基づいて現在の属以下の分類体系を確立し[16][18]、2016年に属全体を扱ったモノグラフを発表した[19]。
形態
本属は細長い柱サボテンで、よく分枝する[2]。低木状または小高木状となる。稀に高木状となる種(灰刺柱)もある。茎ははじめ直立するが、のちに彎曲し、よじ登り性や匍匐性となる[5]。茎には3–14本の稜を持ち、稜上に刺座がある。茎の表面は緑色または青緑色で、無毛[6]。
刺座(アレオーレ)には短い軟毛と長さ 1.5–12 mm の鱗片状の長毛(花や果実の刺座で特に顕著)があり、刺は数本から多数本、剛毛状または針状で、若いうちは白、黄、赤色だが、古くなると灰色になる。
花は、実質的には花を内部に含む生殖シュートである長枝であり[20]、茎の頂端付近に側生する刺座から単生する[7]。花は大型で[3]、長さ 14–26 cm。長い花筒を持ち、ラッパ状(漏斗状[3])となる[13]。夜間に開花し[2]、翌日には萎む。内花被片は白色または淡紅色で[13][21]、外花被片はしばしば緑色から褐色、または赤色を帯びる[21]。雄蕊は左右対称に配列し、花筒下部で合着して密な雄蕊群を形成する[22]。花柱は雄蕊よりも長く突き出し、柱頭は10–15裂する[22]。蕾は球形で、花筒子房には羊毛を付けた葉状の鱗片を持つ[5][2]。花期は夏[3]。
果実は球形から卵円形の液果で[5]、直径 3.5–8 cm、熟すと黄色、橙色、または赤色になり、果肉は白色で多汁、甘味があり、数百から数千個の黒い種子を含む。
種子は独特の空洞状の種臍-珠孔域と、先端が拡大した種皮細胞を持ち、属の識別形質となる[6][23]。春に実生を生じる[3]。
下位分類
分子系統および形態に基づき、本属は2亜属4節2列に分類され[6][16]、19種が認められる[6]。この分類体系は、形態学、分子系統学、生物地理学の証拠を統合しており、属内の各分類群の進化的関係と地理的分布パターンを包括的に反映している[16][18]。
| 亜属 | 節 | 列 | 分類群 / 構成種 |
|---|---|---|---|
| subg. Eriocereus 種子は長径と短径がほぼ等しい[24] 5種、南アメリカ中東部 | sect. Roseocereus | — | 単型節:灰刺柱 H. tetracantha 高木状、主幹を持ち、茎は直立、稜は7–9本、果実は先端が裂開する。ボリビアのアンデス山脈東麓の乾燥した河谷に固有。 |
| sect. Eriocereus | — | 臥竜[3][13] H. bonplandii[注釈 4]、新橋[25][13] H. martinii[注釈 5]、竜角柱 H. pomanensis[注釈 6]、H. regelii、金時 H. tortuosa[注釈 7]の5種[注釈 8]。 低木状、茎は3–7稜、よじ登り、垂れ下がる、または匍匐性。果実は側面が不規則に裂開する。 アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイのグランチャコ地域に分布。 | |
| subg. Harrisia 種子は長円形で、長径が短径より明らかに長い[24] 13種、ブラジル北東部、カリブ海地域、アメリカ合衆国フロリダ州 | sect. Adscendentes | — | 単型節:H. adscendens[注釈 9] 茎は青緑色、6–10稜、果実は熟すと裂開し、柱頭裂片は長い(1.2–2 cm)。ブラジル北東部のカーチンガ乾燥低木林に固有。 |
| sect. Harrisia 果実は裂開せず、柱頭裂片は短い(0.3–1 cm) 11種、主にカリブ海の島嶼とフロリダ半島に分布 | ser. Earlei | 単型列:H. earlei 植物体は匍匐性または下垂性、稜は5–7本、新刺は鮮やかな赤色。キューバ西部に固有。 | |
| ser. Harrisia 茎は8–14稜、新刺は白色から黄色、直立または斜上する低木。 | キューバ群:H. eriophora、H. fernowii、H. taetra 種子は比較的大きく(1.7–2.2 × 2.6–3.35 mm)、花はしばしば赤みを帯びる。 いずれもキューバ固有。 | ||
| フロリダ群:H. fragrans、H. aboriginum 種子は比較的大きく、果実は黄色または赤色。 フロリダ半島の海岸に固有。 | |||
| SEGAB群[注釈 10]:H. brookii、H. caymanensis、H. divaricata、美形柱 H. gracilis、H. portoricensis 種子は比較的小さく(1.4–1.7 × 2.0–2.8 mm)、花は主に緑色系。 バハマ、ケイマン諸島、ジャマイカ、イスパニョーラ島、プエルトリコなどに分布。 |
これとは別に、属間雑種の袖ヶ浦[3][25](ソデガウラ、×Harrisinopsis jusbertii)が存在する[注釈 11]。その両親種は本属の臥竜 H. bonplandii と短毛丸[31] Echinopsis eyriesii で、栽培下でのみ見られる[24][32]。また、袖ヶ浦と新橋との雑種は、袖ガ橋と呼ばれる[30]。
利用
ハリシア属の多くの種の果実は食用となり、甘く多汁であることから、産地ではしばしば地元住民によって採集される[24][33][34][35]。
一部の種では果実以外の部位も利用される。例えば、臥竜の花と根は、調理することで食用となる[35][36]。
本属の一部の種は、花が大きく夜間に開花し香りを持つことから、観賞用として栽培されることがある[35][3]。また、袖ヶ浦は成長が早く、耐寒性が比較的高いことから、園芸で接ぎ木の砧木として広く利用されている[24][37]。
伝統医療においては、南アメリカのグランチャコ地域の先住民族が臥竜の根を傷や炎症の治療に用いていたが、現代における研究は少ない[36]。