バリシチニブ
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| 臨床データ | |
|---|---|
| 販売名 | オルミエント |
| 投与経路 | 経口 |
| ATCコード |
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| 法的地位 |
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| 薬物動態データ | |
| 生体利用率 | 約80% |
| 消失半減期 | 約6 - 7時間 |
| 識別子 | |
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| CAS登録番号 | |
| PubChem CID | |
| ChemSpider | |
| ChEMBL | |
| PDB ligand | |
| CompTox Dashboard (EPA) | |
| ECHA InfoCard | 100.219.080 |
| 化学的および物理的データ | |
| 化学式 | C16H17N7O2S |
| 分子量 | 371.42 g/mol g·mol−1 |
| 3D model (JSmol) | |
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バリシチニブ (Baricitinib) は、経口のヤヌスキナーゼ (JAK1/JAK2)阻害薬である。 製品名はオルミエント(日本イーライリリー製造販売)。開発コードはINCB28050、LY3009104。イーライリリー・アンド・カンパニー社と米国インサイト社により開発された。日本では2017年9月より販売されている。
- 既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
- アトピー性皮膚炎(最適使用推進ガイドライン[1]対象、2020年12月適応追加)
- SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る、2021年4月適応追加)
- 円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る、2022年6月適応追加)
メトトレキサート不応性の関節リウマチにバリシチニブは有効であった[2]。
また、TNFα阻害薬または他の生物学的製剤が奏効しなかった関節リウマチ患者において、バリシニチブは有意な症状軽減がみられた[3]。
メトトレキサートの効果が不十分である関節リウマチ患者において、バリシチニブは、プラセボ、アダリムマブと比較して有意に奏効した[4]。
アトピー性皮膚炎に対しては、ミディアム - ストロングクラス以上に相当するステロイド外用薬に対して効果不十分であった中等症から重症の患者を対象とした試験で統計学的に有意な改善が認められた[5][6]。
SARS-CoV-2肺炎については、レムデシビル使用患者を対象とした試験でバリシチニブ併用の有効性が示された。[7]
警告・禁忌
バリシチニブは強い免疫抑制作用を持つことから、重篤な感染症や結核の発症について警告されている。
禁忌
- 各適応症共通
- 本剤への過敏症の既往歴がある患者
- 活動性結核の患者
- 好中球数が500/mm3未満の患者
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性
- 関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
- 重篤な感染症(敗血症など)の患者
- 重度の腎機能障害を有する患者(eGFRが30未満)
- リンパ球数が500/mm3未満の患者
- ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者
- SARS-COV-2による肺炎
- 透析患者または末期腎不全(eGFRが15未満)
- リンパ球数が200/mm3未満の患者
副作用
作用機序
バリシチニブは、ヤヌスキナーゼ(JAK)可逆的阻害薬である。JAK1の半最大阻害濃度(IC50)は5.9nM、JAK2のIC50は5.7nMである[10]。同じ酵素ファミリーに属するチロシンキナーゼ2への影響は少なく(IC50=53nM)、JAK3への影響ははるかに少ない(IC50>400nM)[10]。炎症反応に際してサイトカインが受容体に結合すると、JAKそれ自身とシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)がリン酸化され、STATが細胞核に移行してサイトカインに応じた反応(タンパク質合成)が進行する。バリシチニブはJAK1/JAK2を阻害してSTATのリン酸化・活性化を阻止し、以降の反応を抑制する[11]。