パンに勝利するアポロン
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| スペイン語: Apolo vencedor de Pan 英語: Apollo as Victor over Pan | |
| 作者 | ヤーコプ・ヨルダーンス |
|---|---|
| 製作年 | 1636-1638年 |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 180 cm × 270 cm (71 in × 110 in) |
| 所蔵 | プラド美術館、マドリード |
『パンに勝利するアポロン』(パンにしょうりするアポロン、西: Apolo vencedor de Pan、英: Apollo as Victor over Pan)は、17世紀フランドル・バロック期の画家ヤーコプ・ヨルダーンスが1636-1638年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。現在、マドリードのプラド美術館に所蔵されている[1][2][3]。ヨルダーンスは、1636-1681年にマドリードに近いエル・パルドの森に建てられた狩猟館「トッレ・デ・ラ・パラーダ」を装飾するプロジェクトに加わったが、その時に描かれたのが本作と『ウェルトゥムヌスとポモナ』である[4]。
主題はオウィディウスの『変身物語』 (XI: 146-169) から採られており、アポロンとパンのマルシュアスの逸話を題材としている[1]。散歩中にサテュロスの1人であるマルシュアスは、女神アテナが捨てた笛を拾った。持ち前の器用さから、マルシュアスは笛の吹き方を会得し、いつしか自分こそが世界一の音楽家であり、太陽神アポロンの竪琴より素晴らしいと吹聴するまでになった[5]。それを聞いたアポロンは怒り、オリュンポスの神々の立ち合いのもと音楽競技を行う。アポロンは難なくマルシュアスを打ち負かし、罰としてマルシュアスを松の木にぶらさげると、生きたまま彼の全身の皮を剥いだ[5]。
画面では、右側から2番目のマルシュアスはまだ葦の笛を吹いている。音楽競技の審判を務めたトモーロスは、左側のアポロンに月桂樹の冠を授けている (『変身物語』には記述されていない)[1]。アポロンは、自身よりもマルシュアスの笛を吹く能力を評価したミダースを指差し、叱責しているところである。彼の耳は、罰としてロバの耳に変えられてしまっている。マルシュアスはサテュロスであるにもかかわらず、人間の脚を持つ姿で提示されている[6][7][8][9][10]。
本作は、ピーテル・パウル・ルーベンスがより早い時期に描いた『アポロンとマルシュアス』にもとづいてヨルダーンスが描いたものである。ヨルダーンスの作品は、スペイン王フェリペ4世の宮廷画家ディエゴ・ベラスケスの娘婿フアン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソにより複製が制作された[1]。マドリード王城の侍従長として、ベラスケスは、王室コレクションの絵画、タピストリー、彫刻の取得、管理、配置を任されていたが、その職により王宮の「ピエサ・プリンシパル (Pieza Principal) の部屋」にマーソの複製作品を掛けた。ベラスケス自身も、西洋絵画史上最重要作品の1つとして認められている『ラス・メニーナス』(プラド美術館) の背景に画中画として効果的にマーソの複製作品を描いている[1][11][12][13]。
2014年にプラド美術館は、所蔵している9点のルーベンス、アンソニー・ヴァン・ダイク、フランス・フランケン2世らの作品とともに本作をカルロス・デ・アンベレス美術館 (Museo Carlos de Amberes) に1年間貸し出した。