ヒメアブラススキ連
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| 分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Andropogoneae Dumort. 1824. | ||||||||||||||||||||||||
| 和名 | ||||||||||||||||||||||||
| ヒメアブラススキ連 |
ヒメアブラススキ連(ヒメアブラススキれん、Andropogoneae Dumort. 1824.またはウシクサ連)は、イネ科の植物の1群。花序の枝に節があり、その節ごとに長柄と短柄の2個の小穂を対に着ける特徴があり、きわめて重要な種を多く含む群である。
イネ科の下位分類群の1つであるキビ亜科はイネ科の亜科の中でも特に多くの種を含む亜科の1つである。他の亜科と同様にこの亜科も更に連に分けられているが、ヒメアブラススキ連はキビ亜科の中で大きい連の1つであり、また作物など人間にとって重要な植物を多く含んでいる。共通する特徴は花序枝の節ごとに柄の長さの異なる2個の小穂をつけることであるが、それ以外の部分ではきわめて多様な特徴を持っており、イネ科の中でも特殊化が進んだ群を含んでいる。
特徴
この連はキビ亜科に含まれるものなので、以下のような特徴は共通に持っている[1]。多年生ないし1年生の草本で、多くは線形の葉身を持つ。小穂には2つの小花を含み、その外形は腹背方向に扁平であり、包頴を含んで脱落する。小穂に含まれる2個の小花にはっきりと違いがあり、第1小花が退化的で第2小花が両性花になっている。小穂軸は退縮してカルスとなっている。 この連のものでは更に以下のような特徴を持つ[2]。小穂は花序軸の節ごとに2個着いており、それらの片方は無柄かそれに近く、もう片方は有柄である。花序の軸は普通は成熟時にその節の部分で折れ、着いている小穂ごと脱落し、それ自体が散布の単位となる。 ただし例外も多く、中にはカリマタガヤ属のように上記のこの連の特徴をほとんど持っていないものもある。
- 小穂の構造を含む図版
以下もセイバンモロコシ - 花序枝の先端部分の小穂群
- 対をなす2個の小穂
- 先端側に雄性、基部側に両性の小穂が配置
- 雄性小穂の構造
- 雌性小穂の構造
それ以外の特徴は非常に変異に富み、特殊な姿のものも多数含まれる。例えば長田(1993) はその冒頭部に属への検索を作っており、その花序の構造から群を分けるところが最初の段階になっているが、その1番目と2番目は一目で他のものと区別できるような特殊な姿のものが集められている。その1番目に含められている7属のうちの5属、2番目の群の6属の内の3属が本群のものである。
分類
この連が単系統であることは分子系統の結果からも示されているものであり、またこの群と姉妹群を成すのはトダシバ属 Arundiella であることもその結果から認められている[3]。ただしこの属を含む群を Arundinelleae 連として本連の姉妹群と見るか本連の内部の1つの亜連と見なすかについては議論がある[4]。他の連との関係では Paspaleae 連(スズメノヒエ連[5])が本連とトダシバ属を合わせたクレードに対して姉妹群を成す、とされる[6]。
この連には約98属1200種類の植物が含まれている[7]。これらを更に分類する体系については諸説があり、Clayton & Renvoize は1986年にこの群を形態学的な判断のみで11の亜連に分けることを提唱した[8]。ただしこれらの亜連の多くは後の解析で単系統性を認められていない。Kellogg は2015年にこの理由についてこの1つの連の中でさえきわめて多様な花序の構造に頼りすぎたためであると批判し、より分子系統の情報に基づく体系を提唱し、7つの亜連を認めた。このようにこの連の分類には諸説あるが、以下に Soreng et al.(2015) によるこの連の一覧を示す。
それ以降も検討や見直しは行われており、例えばミヤマササガヤ属 Leptatherum のようにそのような分析の結果から新たに作られた属も数あり、Welker et al.(2020) はさらに亜連の体系の見直しをして新たな亜連も立てられて、また他の亜連に含められて消えたものもある。ただしこの体系では1つの属が複数の亜連に入っている例が少なからずあり、おそらくそれらも再検討が行われるか改めて整理されることになるのだろうから、まだ全体の構成は流動的のようである。
- Andropogoneae ヒメアブラススキ連
- (所属不明)
- Apluda オキナワカルカヤ属
- Chrysopogon オキナワミチシバ属:(syn. – Vetiveria ベチベルソウ属)
- Eriochrysis :(syn. – Leptosaccharum)
- Imperata チガヤ属
- Phacelurus :(syn. – Thyrsia)
- Pogonatherum イタチガヤ属
- Spathia
- Spodiopogon オオアブラススキ属 :(syn. – Eccoilopus アブラススキ属)
- Thelepogon
- Tripidium ムラサキオバナ属
- Arthraxoninae(コブナグサ亜連)
- Arthraxon コブナグサ属
- Tripsacinae
- Tripsacum (ガマグラス)
- Zea トウモロコシ属
- Chionachninae
- Chionachne
- Polytoca
- Sclerachne
- Trilobachne
- Coicinae (ジュズダマ亜連)
- Coix ジュズダマ属
- Rottboelliinae
- Chasmopodium
- Elionurus
- Eremochloa チャボウシノシッペイ属
- Glyphochloa
- Hemarthria ウシノシッペイ属
- Heteropholis
- Lasiurus
- Loxodera
- Manisuris
- Mnesithea :(syn. – Coelorachis、 Hackelochloa ヤエガヤ属)
- Ophiuros
- Oxyrhachis
- Ratzeburgia
- Rhytachne
- Rottboellia ツノアイアシ属
- Thaumastochloa
- Urelytrum
- Vossia
- Ischaeminae (カモノハシ亜連)
- Andropterum
- Ischaemum カモノハシ属
- Kerriochloa
- Pogonachne
- Triplopogon
- Sehima
- Dimeriinae (カリマタガヤ亜連)
- Dimeria カリマタガヤ属
- Germainiinae
- Apocopis
- Germainia
- Trachypogon
- Sorghinae (モロコシ亜連)
- Asthenochloa
- Euclasta : (syn. – Indochloa)
- Hemisorghum
- Pseudodichanthium
- Sorghastrum
- Sorghum モロコシ属 :(syn. – Cleistachne、 Sarga、 Vacoparis)
- Saccharinae
- Andropogoninae
- Andropogon メリケンカルカヤ属 : (syn. – Hypogynium)
- Bhidea
- Diectomis
- Diheteropogon
- Hyparrhenia
- Schizachyrium ウシクサ属
- Anthistiriinae
- Agenium
- Anadelphia
- Bothriochloa カモノハシガヤ属
- Capillipedium ヒメアブラススキ属
- Clausospicula
- Cymbopogon オガルカヤ属
- Dichanthium オニササガヤ属 : (syn. – Eremopogon?)
- Elymandra
- Exotheca
- Heteropogon アカヒゲガヤ属
- Hyperthelia
- Iseilema
- Monocymbium
- Parahyparrhenia
- Pseudanthistiria
- Themeda メガルカヤ属
- (所属不明)
分布
汎熱帯的な分布を持っており、暖地に分布するものが多くて北緯および南緯30°を越えて生育している種はごく少数しかない[9]。Hartley は1958年に世界各地の植物相における本連の種の割合を計算し、その結果、東南アジアにおけるその値が他地域に比べてはっきりと大きいことを示し、それによってこの連の起源が東南アジアにあるのではないかとした。Welker et al.(2020) はこの連の多くの属種について分子系統の結果とその分布域などを検討し、本連はトダシバ連と中新世に分岐し、さらに「core Andropogoneae(コア・ヒメアブラススキ連?:上記の亜連では Andropogoninae と Anthistiriinae がほぼこれに当たる)」は中新世の末期に分岐したこと、そしてこの連の起源が東南アジアにあり、しかし大陸間を越えるような分散が頻繁に起こり、複数の独立したアフリカや新世界への分布拡大が行われたと考えられるとした。