ヒラタウミガメ

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ヒラタウミガメ
オーストラリアのヒラタウミガメ
保全状況評価[1]
DATA DEFICIENT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
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分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : ウミガメ上科 Chelonioidea
: ウミガメ科 Cheloniidae
亜科 : アオウミガメ亜科 Cheloniinae
: ヒラタウミガメ属
Natator McCulloch, 1908
: ヒラタウミガメ N.depressus
学名
Natator depressus
(Garman, 1880)
シノニム[3]
  • Chelonia depressa
    Garman, 1880 (protonym)
  • Natator tessellatus
    McCulloch, 1908
  • Natator depressus
    Zangerl et al., 1988
英名
Flatback sea turtle
Australian flatback sea turtle
Flatback turtle
分布域

ヒラタウミガメ(平田海亀、扁海亀、学名:Natator depressus[4])は、ウミガメ科に属するウミガメの一種。ヒラタウミガメ属は本種のみから成る単型オーストラリア大陸棚と、浅い沿岸の砂浜に生息する。名前の通り甲羅が他のウミガメよりも平たく、低いドーム状になっている。色はオリーブグリーンから灰色で、腹側はクリーム色である。甲長は平均76-96cm、体重は70-90kgである。孵化したばかりの仔ガメは、他のウミガメの仔よりも大きい。

IUCNレッドリストではデータ不足とされており、現時点では保全状況を判断するのに十分な科学的情報が無い[1]。1994年には危急種とされていた[5]。分布域が狭いため、他のウミガメほど絶滅の危機には瀕していない[6]

1880年にアメリカ爬虫類学者であるサミュエル・ガーマンによって、Chelonia depressa として記載された[7]。1988年までアオウミガメ属に分類されており、ヒラタアオウミガメと呼ばれていた。ヒラタウミガメ属 Natator(「泳ぐ者」の意)は、1908年にオーストラリアの魚類学者であるアラン・リバーストーン・マカロック英語版によって設立され、彼は同時に現在本種のシノニムとされている Natator tessellatus を記載した[8]。1988年にスイス古生物学者であるライナー・ツァンガールフランス語版は、ヒラタウミガメを現在の属に分類し、学名を Natator depressus とした。Chelonia は女性名詞、Natator は男性名詞であるため、種小名は depressa から depressus に変更された[9]

形態

背面のイラスト

甲羅は滑らかな平たいドーム型で、側面の縁は上側に反り返っている。甲羅の色はオリーブグリーン、または灰色がかった緑色で、頭部の色と一致している。腹甲は明るい淡黄色である。平均的な甲長は76-96cm、平均体重は70-90kgである[6]。大型個体は体重350kgに達する[10]。雌は雄よりも大型で、尾が長い[6]

頭部の前額板は1対、甲羅の肋甲板は4対である[11]。甲羅は他のウミガメよりもかなり薄いため、わずかな圧力でも割れてしまう[6]頭蓋骨は表面的にはヒメウミガメのものと似ているが、脳頭蓋の詳細な部分はアオウミガメのものに最もよく似ている[12]

分布と生息地

7種のウミガメの中で最も生息域が狭い。熱帯大陸棚と沿岸に生息する。他のウミガメのように外洋を長距離移動することは無く、通常は水深60m以下の海域で見られる[13]。他のウミガメのように世界中に分布しておらず、オーストラリア北部の沿岸水域、インドネシアパプアニューギニアの沿岸地域で見られる。オーストラリアではクイーンズランド州東部、トレス海峡カーペンタリア湾ノーザンテリトリー西オーストラリア州に分布している[14]

営巣地はクイーンズランド州、ノーザンテリトリー、西オーストラリア州に広がっており、クイーンズランド州のカーペンタリア湾に集中している[13]。クイーンズランド州では、営巣地は南のバンダバーグから北のトレス海峡まで広がっている。主な営巣地はトレス海峡、グレートバリアリーフ南部、ワイルド・ダック島、カーティス島である。ノーザンテリトリー内では、営巣地は広く分散しており、様々な種類の海岸がある。西オーストラリア州では、キンバリー地域ドメット岬英語版ラクロス島英語版が重要な営巣地である[14]

熱帯および亜熱帯の、浅く底の柔らかい海域に生息する。オーストラリアの大陸棚の、藻場ラグーン河口など、底の柔らかい場所ならどこでも見られる[5][15]。熱帯および亜熱帯地域の砂浜を営巣地として好み、特に深さによって砂の温度が29-33℃の範囲となる場所が好まれ、この温度は性別決定に役立つ[14]

生態

食性と天敵

肉食性の強い雑食動物で、主に浅瀬で泳ぐ獲物を食べる[6]軟質サンゴナマコエビクラゲ軟体動物、その他の無脊椎動物を捕食する[6][11][15]。稀に海草を食べることもある[6][15]

陸生生物と水生生物の両方から捕食される。陸上ではディンゴ外来種アカギツネ野犬ブタが天敵である[11]。成体の天敵はサメイリエワニである[6][14][16]。孵化したばかりの幼体は、海へ向かう途中でカニ海鳥、若いイリエワニに狙われ、海に入ってもサメなどの大型魚に襲われる危険がある[14]。しかし生まれたばかりであっても体は大きく、泳ぎが得意であるため、捕食される可能性は低い[6]

繁殖と成長

幼体

孵化は12月初旬に始まり、3月下旬まで続く。孵化のピークは2月である[17]。幼体は他のウミガメの幼体よりも大きく、平均甲長は60mmである。体が大きいため、孵化後は一部の捕食者から身を守ることができ、遊泳力も高い[6]。孵化した幼体は海岸近くにとどまる傾向があり、他のウミガメのように遠洋へ出ることは無い[6][14]。幼体は表層のマクロプランクトンを食べる。

7-50歳で性成熟し、雌は2-3年ごとに産卵する[6][15]。交尾は海で行われるため、雄が陸に戻ることは無い[15]。オーストラリア沿岸の砂丘の斜面で産卵する[11]。雌は営巣期になると同じ浜に戻ってくる[17]。営巣期は地域によって異なり、11月から1月までの場合もあれば、1年中続く場合もある[11]。雌は営巣期を通して最大4回産卵し、営巣間隔は13-18日である[11][15]。砂を取り除いた後、後脚を使って卵室を作る。卵を産んだ後は、再び後脚を使って巣を覆い、前脚で砂を持ち上げる[15]

卵の数は他のウミガメよりも少ない[6]。一回の平均産卵数は50個だが、他のウミガメは一回に100-150個の卵を産むこともある[6][11]。卵の長さは約55mm[6]。性別は卵が入っている砂の温度によって決まる。温度が29℃未満の場合は雄が、29℃を超える場合は雌が生まれる[14]

脅威と保全

脚注

外部リンク

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