プラズマのモデリング
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運動論モデル
運動論モデルは、プラズマを記述する最も基礎的な方法であり、粒子の位置 と速度 の6次元位相空間 における 分布関数 でプラズマを記述する。ここで、位置 と速度 は独立変数である。分布関数の支配方程式として、次のいずれかが解かれる。
粒子間相互作用を2体衝突で近似した衝突項 (ボルツマンの衝突項) が置かれる。衝突項には複雑な多重積分が含まれており、近似された衝突モデルかモンテカルロ法が使用される。長距離にまで影響が及ぶクーロン相互作用を衝突項で考慮すると、厳密には不正確となる。そこで、荷電粒子間の相互作用や多体衝突効果を正確に考慮する場合は、集団運動が作る電磁場の作用として扱う[3][4]。
ボルツマン方程式において衝突項を0と置いた式である。近距離の粒子間相互作用の影響が小さい系に対して適しており、天体物理学等の分野ではよく使用される。
衝突による小角散乱をマルコフ過程で扱った衝突項 (フォッカー・プランクの衝突項) が置かれる。この衝突項は輸送現象や緩和現象の扱いに適している。
分布関数より得られる電荷と電流は、マクスウェル方程式を介して電磁場をセルフコンシスタントに定める。
数値シミュレーションを実施する上では、分布関数を6次元位相空間で離散化する必要がある。この離散化には粒子的な手法または連続体的な手法が使用される[5][6]。プラズマ解析に使用される代表的な粒子法にはPIC-MCC法がある[7]。
ジャイロ運動論モデル
流体モデル
運動論モデルはプラズマの物理現象を正確に記述するが、多くの複雑性 (および数値シミュレーションでは多くの計算負荷) を伴う。流体モデルでは 巨視量 (密度、平均速度、平均エネルギー等の、分布関数の速度空間における積率)を基礎変数にしてプラズマを記述することで、計算をより単純にする。これらの巨視量に対する方程式は、いわゆる流体方程式と呼ばれ、運動論的方程式の速度空間における積率を取る事で得られる。
流体方程式は、輸送係数 (移動度や拡散係数等) の定め無しでは閉じられていない。輸送係数を定めるためには、分布関数をいくつかある候補の中から選択して仮定する必要がある。熱平衡が実現している系に対しては、マクスウェル分布は1つの良い選択である。しかし非平衡性が強くなるプラズマの系では、粒子の速度分布がマクスウェル分布から大きく変化する事が知られており、マクスウェル分布を仮定するといくつかの矛盾を抱える事がある[3][4][9][10]。
流体方程式と電磁場方程式との結合系を考える理論体系は、電磁流体力学として知られている。
運動論と流体のハイブリッドモデル
ハイブリッドモデルでは、系の粒子種のいくつかを流体として、その他を運動論的に扱う。流体で扱う粒子種と運動論的に扱う粒子種、および電磁場がセルフコンシステントに解かれるように構成される必要がある。
プラズマ解析専用のシミュレータ製品
運動論ベース
- LSP - www.northropgrumman.com
- Magic - www.northropgrumman.com
- Particle-PLUS - www.wavefront.co.jp
流体ベース
また、上記に挙げたプラズマ解析専用のシミュレータの他に、汎用的な流体解析シミュレータにプラズマ解析機能が含まれるものもある。
