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プロテインキナーゼR

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PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号EIF2AK2, PKR, PPP1R83, PRKR, eukaryotic translation initiation factor 2 alpha kinase 2, LEUDEN, DYT33
EIF2AK2
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

3UIU, 1QU6, 2A19, 2A1A

識別子
記号EIF2AK2, PKR, PPP1R83, PRKR, eukaryotic translation initiation factor 2 alpha kinase 2, LEUDEN, DYT33
外部IDOMIM: 176871 MGI: 1353449 HomoloGene: 48134 GeneCards: EIF2AK2
EC番号2.7.10.2
遺伝子の位置 (ヒト)
2番染色体 (ヒト)
染色体2番染色体 (ヒト)[1]
2番染色体 (ヒト)
EIF2AK2遺伝子の位置
EIF2AK2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点37,099,210 bp[1]
終点37,157,522 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
17番染色体 (マウス)
染色体17番染色体 (マウス)[2]
17番染色体 (マウス)
EIF2AK2遺伝子の位置
EIF2AK2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点79,159,993 bp[2]
終点79,190,002 bp[2]
RNA発現パターン


さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能• トランスフェラーゼ活性
• protein kinase activity
• ヌクレオチド結合
• non-membrane spanning protein tyrosine kinase activity
• キナーゼ活性
• protein serine/threonine kinase activity
• 血漿タンパク結合
• double-stranded RNA binding
• protein tyrosine kinase activity
• ATP binding
• eukaryotic translation initiation factor 2alpha kinase activity
• protein phosphatase regulator activity
• RNA結合
• identical protein binding
細胞の構成要素• 細胞質
• リボソーム
• 膜
• perinuclear region of cytoplasm
• 細胞核
• 細胞質基質
• cytosolic ribosome
生物学的プロセス• negative regulation of translation
• regulation of hematopoietic stem cell proliferation
• regulation of transcription, DNA-templated
• タンパク質生合成
• positive regulation of cytokine production
• 免疫系プロセス
• リン酸化
• cellular response to amino acid starvation
• negative regulation of apoptotic process
• positive regulation of NIK/NF-kappaB signaling
• transcription, DNA-templated
• 小胞体ストレス
• タンパク質リン酸化
• negative regulation of viral genome replication
• regulation of hematopoietic stem cell differentiation
• regulation of hematopoietic progenitor cell differentiation
• positive regulation of NF-kappaB transcription factor activity
• defense response to virus
• response to interferon-alpha
• positive regulation of chemokine production
• negative regulation of osteoblast proliferation
• 自己リン酸化
• regulation of NLRP3 inflammasome complex assembly
• peptidyl-tyrosine phosphorylation
• 自然免疫
• viral process
• 毒性物質への反応
• positive regulation of stress-activated MAPK cascade
• response to virus
• regulation of translational initiation by eIF2 alpha phosphorylation
• regulation of apoptotic process
• negative regulation of cell population proliferation
• regulation of phosphoprotein phosphatase activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
種ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001135651
NM_001135652
NM_002759

NM_011163

RefSeq
(タンパク質)

NP_001129123
NP_001129124
NP_002750

NP_035293

場所
(UCSC)
Chr 2: 37.1 – 37.16 MbChr 2: 79.16 – 79.19 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

プロテインキナーゼR (protein kinase R, PKR) は、ヒトではEIF2AK2遺伝子にコードされている酵素(キナーゼ)で[5]、ウイルス感染からの保護を行う。protein kinase RNA-activated、interferon-induced double-stranded RNA-activated protein kinase、eukaryotic translation initiation factor 2-alpha kinase 2 (EIF2AK2) などの別名でも知られる[5][6]。

PKRは二本鎖RNA (double stranded RNA, dsRNA) によって活性化されるが、これはウイルス感染によって細胞内にもたらされるものである。また、PKRはPACTと呼ばれるタンパク質やヘパリンによっても活性化される[7][8]。PKRはN末端の二本鎖RNA結合ドメイン (dsRNA binding domain, dsRBD) とC末端のキナーゼドメインから構成され、キナーゼドメインはアポトーシス促進機能をPKRに付与している。dsRBDは、保存された二本鎖RNA結合モチーフが2つタンデム(直列)に並んだ構成となっており、それぞれのモチーフはdsRBM1、dsRBM2と呼ばれる。PKRはインターフェロンによって不活性状態で発現誘導される。dsRNAへの結合によってPKRは二量体化し、引き続いて起こる自己リン酸化反応によって活性化されると考えられている[9]。ウイルス感染下では、ウイルスの複製と遺伝子発現によって作り出されたdsRNAがN末端ドメインに結合し、PKRを活性化する。活性化が起こると、PKRは真核生物翻訳開始因子eIF2αをリン酸化できるようになる[10]。これによって細胞内のmRNAの翻訳は阻害され、したがってウイルスタンパク質の合成も防がれることとなる。eIF2αは一般的なAUGコドンからの翻訳開始に関与しているので、eIF2αがリン酸化されているときはAUG以外からの翻訳開始が代わりに行われる。AUG以外からの翻訳開始を利用するmRNAの例としては、熱ショックタンパク質のmRNAなどが挙げられる。活性型PKRは、転写因子NF-κBの阻害サブユニットであるIκBをリン酸化することで、NF-κBを活性化する[11]。活性化されたNF-κBはインターフェロン型のサイトカインの発現を活性化し、局所的な抗ウイルスシグナルの拡散を行う。また、活性型PKRは、細胞周期と代謝を調節するがん抑制遺伝子PP2Aを活性化することができる[12]。活性型PKRは、ウイルスがさらに拡散されることを防ぐために、複雑な機構を通じてアポトーシスを誘導することもできる。

PKRストレス経路

PKRは病原体、栄養素の欠乏、サイトカイン、放射線、機械的ストレス、小胞体ストレスなど、さまざまなストレスシグナルに対する細胞応答の中核である。PKR経路は、JNK、p38、NF-κB、PP2A、eIF2αのリン酸化など、他のストレス経路を活性化することでストレス応答を導く。フォールディングしていないタンパク質が過剰に存在することで引き起こされる小胞体ストレスは炎症応答を誘導する。PKRは、IKK、JNK、eIF2α、インスリン受容体といった炎症に関与するいくつかの因子と相互作用することでこの応答に寄与する。代謝が要因となって活性化された炎症複合体は、metabolic inflammasome または metaflammasome と呼ばれる[13][14]。

PKRに対するウイルスの免疫回避機構

ウイルスはPKRに対抗するために多くの機構を発達させており、PKRに結合して活性化を防ぐdecoy dsRNAの産生、PKRの分解、ウイルスdsRNAのマスキング、PKRの二量体化の防止、基質の脱リン酸化、PKRが結合する偽基質の産生などが行われている。

例えば、エプスタイン・バール・ウイルス(EBウイルス)はEBER(英語版)遺伝子からdecoy dsRNAを産生する。これによってバーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、上咽頭がん、さまざまな種類の白血病といったがんが誘導されている[15]。

PKRに対するウイルスの防御機構
防御機構ウイルス分子
decoy dsRNAアデノウイルスVAI RNA[16]
EBウイルスEBER(英語版)[16]
HIVTAR(英語版)?[16][17]
PKRの分解ポリオウイルス2Apro?[18]
ウイルスdsRNAのマスクワクシニアウイルスE3L[19]
レオウイルスσ3[20]
インフルエンザウイルスNS1(英語版)[21]
二量体化の防止インフルエンザウイルスp58IPK[22]
C型肝炎ウイルスNS5A(英語版)[23]
偽基質ワクシニアウイルスK3L[24]
HIVTat[25]
基質の脱リン酸化単純ヘルペスウイルスICP34.5[26]

記憶と学習

PKRのノックアウトや阻害によって、マウスの記憶や学習能力は向上する[27]。

神経変性疾患

アルツハイマー病 (AD) 患者の海馬および前頭皮質の変性した神経細胞において、リン酸化PKRとeIF2αに対する免疫染色マーカーが増加していることが2002年に初めて報告され、PKRとADの関連性が示唆された。加えて、これらの神経細胞の多くはリン酸化タウタンパク質に対する抗体でも免疫染色された[28]。活性型PKRは細胞質と核にみつかり、神経細胞のアポトーシスのマーカーと共局在していた[29]。さらなる研究によって、脳脊髄液 (CSF) と血液中のPKRのレベルのAD患者と対照群との比較がなされた。末梢血単核細胞(英語版)におけるPKRの総量とリン酸化PKR (pPKR) の量が23のAD患者と19の対照とで分析され、PKRに対するpPKRの比率がAD患者では対照群よりも有意に増加していた[30]。CSFのアミロイドベータ (Aβ1-42、Aβ1-40)、タウ (tau)、181番のスレオニンがリン酸化されたタウ (p181tau) といったCSFのバイオマーカーの評価は、臨床研究やCSFの異常やADによる脳病変に対する日常的な検査において有効的に利用されている。ある研究では、ADや健忘型軽度認知機能障害 (amnestic mild cognitive impairment) の被験者ではPKRとpPKRの濃度が増加しており、pPKRの値によってAD患者と対照被験者を91.1%の感度、94.3%の特異度で区別することができると報告された[31]。また、AD患者ではPKRとpPKRのレベルはCSFのp181tauのレベルと相関があった。何人かのAD患者ではCSFのAβ、tau、p181tauのレベルは正常であるが、PKRとpPKRが異常値を示していた[31]。 PKR-eIF2αアポトーシス促進経路は、神経細胞の感受性に応じてさまざまな神経病変を引き起こし、神経変性に関与している。

PKRとアミロイドβ

AD患者においてPKRの活性化は、β-セクレターゼ1 (BACE1) の抑制解除によってアミロイドベータペプチドの蓄積を引き起こす[32]。通常、BACE1の5'UTRはBACE1遺伝子の発現を阻害している。しかし、eIF2αのリン酸化によってBACE1の5'UTRの阻害効果は逆転し、BACE1の発現が活性化される。eIF2αのリン酸化はPKRによって開始される。単純ヘルペスウイルスなどのウイルス感染や酸化ストレスは、PKR-eIF2α経路を活性化することでBACE1の発現を増加させる[33]。

さらに、AD患者においてBACE1の活性の増加は、アミロイドβ前駆体タンパク質がβ位で切断されたC末端断片 (APP-βCTF) によって誘導されるエンドソームの異常を引き起こす[34]。エンドソームはアミロイドβ前駆体タンパク質 (APP) のプロセシングが極めて活発に行われる部位であり、エンドソームの異常は初期エンドソームの調節因子であるRab5の発現上昇と関連している。これらは、ADに特異的な神経細胞反応として知られている中で最も初期に起こるものである。APP-βCTFレベルの上昇はRab5の過剰な活性化を引き起こす。APP-βCTFはRab5陽性エンドソームにAPPL1(英語版)を呼び寄せ、活性型であるGTP結合型Rab5を安定化し、その結果、病態と関連して加速されたエンドサイトーシス、エンドソームの膨張、Rab5陽性エンドソームの軸索輸送の選択的阻害が引き起こされる。

PKRとタウタンパク質のリン酸化

影響を受けた神経細胞において、リン酸化PKRはリン酸化タウタンパク質と共局在していることが報告されている[28][35]。PP2Aの阻害剤であるオカダ酸はタウのリン酸化、アミロイドベータ (Aβ) の蓄積、そして神経細胞死を増加させることが知られている。また、オカダ酸はPKRのリン酸化を誘導し、そのためeIF2αもリン酸化される。eIF2αのリン酸化はアポトーシスを誘導する転写因子ATF4を誘導し、神経細胞死に寄与する[36]。

GSK-3βはタウのリン酸化を担い、アポトーシスを含むいくつかの細胞機能を制御している。別の研究では、ヒトの神経芽腫細胞へのツニカマイシンまたはAβの投与によって、PKRの活性化が誘導され、GSK-3βの活性化とタウのリン酸化が引き起こされる琴が示されている。その研究ではAD患者の脳の神経細胞では活性化されたPKRとGSK-3βがリン酸化タウと共局在していることが発見された。SH-SY5Y培養細胞では、ツニカマイシンとAβ(1-42)はPKRを活性化し、GSK-3βの活性化の調節を通じてタウのリン酸化とアポトーシスが誘導された。これらの過程は、PKRの阻害剤やPKRに対するsiRNAによって減弱した。PKRは、転写因子との相互作用やGSK-3βの活性化の制御によってストレスシグナルを神経経路へ伝達する重要なシグナル伝達点となっており、ADではこれによって細胞変性が誘導される[37]。

胎児性アルコール症候群

PKRは、胎児性アルコール症候群と関連する、エタノール誘導性のタンパク質合成阻害とアポトーシスにも関与している[38]。

相互作用

出典

関連文献

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