プロテオグリカン
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プロテオグリカン(Proteoglycan)は、特殊な構造をもつ糖とタンパク質の複合体で、複合糖質の一種である。「プロテオ」はプロテインつまりタンパク質、「グリカン」は多糖類を意味する。
動物学におけるプロテオグリカンは、動物特有の成分であるグリコサミノグリカン(多糖類)とコアタンパク質(糖鎖が結合する “芯”となるタンパク質)が一定の様式で結合したものを指し、グリコサミノグリカンとしてはヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸が有名である[1]。臓器、脳、皮膚を始めとした体全体の組織中の細胞外マトリックスや細胞表面に存在するほか、軟骨の主成分としても存在している。
植物学におけるプロテオグリカンは、植物特有の成分であるアラビノガラクタン(多糖類)とコアタンパク質が一定の様式で結合したものを指し、正式にはアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)と呼ばれている[2]。細胞壁や樹液に細胞外マトリックスとして存在する。
動物のプロテオグリカンは、コアタンパク質のアミノ酸であるセリンと糖質のキシロース←ガラクトース←ガラクトース←グルクロン酸が結合しコンドロイチン硫酸などの2糖単位で連続する多糖体が複数本結合した化合物である。グリコサミノグリカンは、神経系や免疫系などと共に高等多細胞動物にしか存在しない。一般にコンドロイチン硫酸の分子量は10万ダルトン以下であるが、プロテオグリカンの分子量は数十万ダルトン以上である。
植物のプロテオグリカンは、コアタンパク質のヒドロキシプロリン(Hyp)に、ガラクトース(Gal)、L-アラビノース(L-Ara)、グルクロン酸に富むアラビノガラクタン(AG)糖鎖が結合した構造をもつ。ヒドロキシプロリン(Hyp)は、動物細胞ではコラーゲンのみが特徴的にもつアミノ酸であるが、アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)のコタンパク質に15%以上含まれている。このためプロテオグリカンは高ヒドロキシプロリン糖タンパク質とも呼ばれている[3]。AGPの分子種によってはさらに脂質成分(GPIアンカーのセラミド)も含まれている。一般にアラビノガラクタンの分子量は数十万ダルトンであるが、プロテオグリカンの分子量は百万ダルトン以上と巨大である。
プロテオグリカンの分子量は、由来や部位によって異なる。鮭鼻軟骨由来のプロテオグリカンは、分子量が90~140万ダルトン(平均分子量:120万ダルトン)、GPC-MALS(ゲル濾過クロマト多角度光散乱法)で絶対分子量が200~415万ダルトン(平均絶対分子量:260万ダルトン)である[4]。非変性の状態で鮭鼻軟骨由来プロテオグリカンは、プロテオグリカンのアグリカンが2~4つ架橋して存在する。
グリコサミノグリカンとアラビノガラクタンはともに酸性多糖類であるが、グリコサミノグリカンは直鎖の多糖類、アラビノガラクタンは枝分かれを持つ多糖類であることから動物と植物のプロテオグリカンを区別できる。また多糖類がプロテオグリカンと混同されることが多いが、分子量および蛋白質の含有から区別することができる。どちらのプロテオグリカンも、構造を維持したまま抽出することが難しいとされている。