ポリグリコール酸

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ポリグリコール酸
Polyglycolide
Polyglycolide
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ECHA InfoCard 100.249.865 ウィキデータを編集
性質
(C2H2O2)n
モル質量 (58.04)n
密度 1.530 g/cm³ at 25 °C
融点 225-230 °C
沸点 分解
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。

ポリグリコール酸(ポリグリコール酸、Polyglycolic acid、略号:PGA)ないしはポリグリコライド(Polyglycolide)は生分解性熱可塑プラスチックの一種であり、もっとも単純な鎖状脂肪族のポリエステルでもある。ポリグリコール酸(PGA)はグリコール酸を出発物質とし、縮合重合または開環重合により生成する。PGAは強靭な繊維となる重合体であることが1954年には知られていた。加水分解する性質のため、重合体は不安定であり初期においては用途は限られたものであった。[1] 現在ではポリグリコール酸ないしはグリコール酸コポリマー、たとえば乳酸とのコポリマー(乳酸-グリコール酸コポリマー)、カプロラクトンとのコポリマー(グリコール酸-カプロラクトンコポリマー)、炭酸トリメチレンとのコポリマー(グリコール酸-炭酸トリメチレンコポリマー)など各種機器の素材や外科の合成吸収性縫合糸への利用され、バイオメディカルエンジニアリング用素材として評価されつつある。 [2] 最近、溶融温度以上での熱安定性を改良する事で一般的なプラスチックの成形技術でも加工できるようになり、新規な用途開発が進んできている。

PGAのガラス転移点は3540℃であり、融点は220230℃であると報告されている。PGAは60℃以上で結晶化により透明さを失う[1]。ポリエステルの溶解性は特徴があり、分子量(平均分子量)が大きくなると大抵の有機溶媒アセトンジクロロメタンクロロホルム酢酸エチルテトラヒドロフランなど)には解けなくなる。低分子であるオリゴマーではまったく物性は異なりDMSOなどの有機溶媒に可溶である。一方、PGAは高分子でもヘキサフルオロ2-プロパノール(HFIP)やペルフルオロアセトンの様なフッ素系の溶媒には溶解するので、高分子ポリマーの溶液にして溶融紡糸したりフィルム状にすることができる。[3] PGA繊維は強靭性を示し、ヤング率は(7 GPa)で、剛直である[2]。そのため、吸収性縫合糸に用いられる際は、細い糸を束ねたマルチフィラメントで使われている。

合成法

PGAの合成法は出発物質の違いにより、いくつかの異なる合成法がある。

  1. グリコール酸の縮合重合
  2. グリコリドの開環重合
  3. ハロゲノ酢酸の固相重合反応
  4. 一酸化炭素ホルムアルデヒドの酸触媒反応

グリコール酸の縮合重合はPGAを合成するのにもっとも単純な方法であるが、低分子のオリゴマーが生成物となり効果的ではない。以下に手短に反応を説明する。 グリコール酸を常圧で175185℃ほどに加熱し、発生する水を留去する。その後150 mmHgに減圧し、その温度で2時間保つと低分子のPGAが得られる[4]

高分子ポリマーが得られる代表的な方法は、グリコール酸の環状ジエステルであるグリコリドの、開環重合である。当のグリコリドは低分子PGAを減圧で加熱するとジエステル体(グリコリド)は留出するので、これを捕集する。グリコリドの開環重合にはさまざまな触媒があり、アンチモン化合物系触媒には三酸化アンチモンやアンチモントリハライドがあり、亜鉛化合物系触媒として乳酸亜鉛スズ化合物系触媒として2-エチルヘキサン酸スズ(II)やスズアルコキシドがある。中でもFDAが食品安定化剤として認可している2-エチルヘキサン酸スズ(II)が重合開始剤として広く使用されている。特許開示されている他の触媒としてはアルミニウムイソプロポキシドカルシウムアセチルアセトナートやいくつかのランタノイドアルコキシド(例、イットリウムイソプロポキシド)があげられる[4][5][6]。手短に開環重合反応の概略を示す。 触媒量の重合開始剤を、窒素雰囲気下に195℃でグリコリドに加える。重合反応は二時間ほどで進行し、次いで温度を230℃に上昇させ、30分ほど保持する。固化させると高分子ポリマーが得られる[4]

グリコリドからポリグリコール酸への開環重合反応
グリコリドからポリグリコール酸への開環重合反応

次の方法は、一般式X-CH2COO-M+(Mはナトリウムのような一価の金属、Xは塩素の様なハロゲン)であらわされるハロゲノ酢酸塩を固相触媒で熱時縮合反応させる方法である。反応の結果PGAと塩の結晶とが生成する。すなわちクロロ酢酸ナトリウムの様なハロ酢酸塩を160180℃で持続的に反応容器に窒素を吹き込むと反応は進行する。反応により生成したPGAと晶出した塩化ナトリウムを取り込んだポリマーマトリックスが得られる。塩は反応生成物を水洗することで簡単に除去される[7]

PGAは酸触媒存在下に一酸化炭素とホルムアルデヒド(あるいはその等価体であるパラホルムアルデヒドトリオキサン)との反応によっても得られる。オートクレーブに触媒(クロロ硫酸ジクロロメタン)とトリオキサンを封入し、ある圧力まで一酸化炭素を導入する。反応液を攪拌し、温度は約180℃以下に2時間保つ。反応が完了したら、容器内の一酸化炭素を取り除くと高分子PGAが得られる[8]

分解

用途

註・出典

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