マラバール演習
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マラバール演習 (マラバールえんしゅう、英語: Exercise Malabar) は、アメリカ合衆国、日本、インドが恒久的なパートナーとして参加する、3か国の海軍演習。最初は1992年に、米印2か国間の演習として始まり、2015年に日本が常在するパートナーとなった[1]。過去の非常任参加国はシンガポールやオーストラリアを含む。例年のマラバール演習は、海上阻止行動を通じた航空母艦からの戦闘機運用から、対潜戦、潜水救助作戦、水陸作戦、対海賊作戦、クロスデッキしたヘリコプター着艦、対空戦闘作戦などの多様な活動を含む[2]。
2020年の演習でのオーストラリア参加に伴い、QUADとして知られるグループの全ての国が軍事的に関与したのは13年振りのこととなった[3]。
マラバール1と呼ばれた最初の海軍演習は、1992年5月に米印間で開催された[4]。演習は、追い越し演習や基本機動を含む初歩的なレベルだった[2]。インドが核実験をした後に、アメリカが演習を中断した1998年までに3回の演習が実施された[5]。しかし、国際的なテロリズムに対するジョージ・W・ブッシュの運動にインドが参画したアメリカ同時多発テロ事件後に、アメリカは軍事交流を再開した。
何年にも亘り、演習はフィリピン海、日本の沖合、ベンガル湾、アラビア海にて実施されてきた[6]。
| 回 | 年 | 参加国 | 演習海域 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1992 | インド西部沿岸 | [2] | |
| 1995 | ペルシャ湾 | [2] | ||
| 1996 | インド西部沿岸 | [2] | ||
| 5 | 2002 | アラビア海 | [7] | |
| 6 | 2003 | インド西部沿岸 | [2] | |
| 7 | 2004 | インド西部沿岸 | [2] | |
| 8 | 2005 | インド西部沿岸 | [2] | |
| 9 | 2006 | インド西部沿岸 | [2] | |
| 10 | 2007 | フィリピン海 | [2] | |
| 11 | 2007 | ベンガル湾 | [2] | |
| 12 | 2008 | アラビア海 | [2] | |
| 13 | 2009 | 日本 | [2] | |
| 14 | 2010 | インド西部沿岸 | [2] | |
| 15 | 2011 | 日本 | [2] | |
| 16 | 2012 | ベンガル湾 | [2] | |
| 17 | 2013 | インド西部沿岸 | [2] | |
| 18 | 2014 | 日本 | [2] | |
| 19 | 2015 | ベンガル湾 | ||
| 20 | 2016 | フィリピン海 | ||
| 21 | 2017 | ベンガル湾 | [8] | |
| 22 | 2018 | フィリピン海 | [9] | |
| 23 | 2019 | 日本 | [10] | |
| 24 | 2020 | (1) ベンガル湾 (2) アラビア海 |
[11] | |
| 25 | 2021 | (1) フィリピン海 (2) ベンガル湾 |
[12] |
2002年から2012年
2002年
2002年の演習は、艦船同士の基本的な追越し機動、対潜兵器演習、洋上補給の訓練などで構成された。
2003年
マラバール2003では、アメリカ海軍のフィッツジェラルド、チョーシン、潜水艦パサデナ、インド海軍のブラーマプトラ (フリゲート)、ガンガ (フリゲート)、シャルキ (潜水艦)と航空機が対潜戦戦術を実施した[13]。
2004年
2004年のマラバールの参加艦船は、ポール・フォスター (駆逐艦)、アレクサンドリア、ロサンゼルス級原子力潜水艦、海上哨戒機P-3 オライオン、SH-60 シーホークLAMPSのような先進的資産を含んだ。これにより両海軍は、対潜戦協力のための重要な能力である、潜水艦慣熟演習に従事できた。
2005年
2005年のマラバール演習は、原子力空母ニミッツとヴィラートの参加が特徴付けた。開催月間中の米印海軍は、合同での潜水救難作戦から、模擬戦闘にて両軍が戦闘する24時間の海上シミュレーションまで、多種多様の任務に共同で取り組んだ[14][15][16]。
2006年
2006年には、揚陸艦、巡洋艦、駆逐艦を含む13隻と、原潜プロビデンス、第15海兵隊遠征部隊からのアメリカ海兵隊から成るボクサーの遠征打撃群 (BOXESG) 、カナダ海軍のフリゲートオタワ (フリゲート)が演習に参加した。遠征打撃群が演習を率いる初めてのことであった。アメリカ沿岸警備隊(en:High endurance cutter) とインドのサマル級巡視船の追加は、海洋法を施行する2ヶ国間の沿岸警備訓練の情報交換、対海賊作戦、汚染制御、捜索救難、船舶臨検 (VBSS) の支援などを可能にした。第二段階では、BOXESGはムンバイやゴアを含む複数のインドの港に立ち寄った。その寄港はBOXESGに、インド文化を体験し、補給をし、ハビタット・フォー・ヒューマニティー計画を支援する機会を提供した。訪問は、将来のマラバール演習や3ヶ国の軍の間の相互運用性を議論する機会を指揮官達に与えた。
2007年

マラバール2007は、初めてインド洋の外、日本の沖縄で開かれた[17][18][19]。
迎撃と模擬空中戦闘演習の上、水上及び対潜戦、対海賊及び海上での他の非国家型行動を無効化するための、海上阻止行動とVBSS作戦を特徴とした。9月4日、ベンガル湾での海軍演習はインド、アメリカ、日本、オーストラリア、シンガポールからの25隻を含んだ。25隻を含むこの規模の合同演習が実施されたのは、これが初めてのことだった。かつて米印2国間の関与であった当演習は、初めて拡大した。
米印原子力協力について首相のマンモハン・シンの政権を批判してきたインドの左翼戦線は、演習を2国間の成長する緊密さのもう一つの兆候と見做して熱烈に抗議した。かつて、インド政府は、演習の延期或いは中止を検討していたと知られているが、インド海軍が、関連する物流が如何なる遅れも許さないと主張し譲らなかった。
演習に公式なコメントをしなかった中国は、初めてベンガル湾にて演習が実施されたので、それに対して不愉快であったことで知られていた。中国はベンガル湾のアクセス権を得るため、バングラデシュとミャンマーとの海軍協力を醸成しており、スリランカと軍事協力を強めてきていた。6月に中国は、インド、アメリカ、日本、オーストラリアに、4者イニシアチヴと称されるその4ヶ国会談に関しての詳細を要求し、「外交照会」を発令した。インドとオーストラリアは、安全保障と国防の問題は会談の議事録の一部を形成するものではないと、直ちに北京に保証した[20]。
マラバール2007の間の米海軍は、6月にチェンナイに寄港した時に抗議[21]を受けた原子力空母ニミッツを含む、13隻を伴う最大の代表であった。他の艦船は慣習的に、空母キティホーク、原子力潜水艦シカゴと2隻の誘導ミサイル巡洋艦、6隻の誘導ミサイル駆逐艦を含んだ。空母ヴィラートを含む8隻の軍艦がインド海軍を代表した。その他の艦船はマイソール (ミサイル駆逐艦)、ラーナ、ランジート、補給艦ジョティとクタル (コルベット)であった。ヴィラートのBAe シーハリアーとウェストランド シーキング、インド空軍のSEPECAT ジャギュアも参加した。オーストラリアはフリゲートと補給艦1隻ずつ、日本は護衛艦2隻、シンガポールはフリゲート1隻により代表された[17][18][19]。
2008年
10月19日からの12回目となる2008年のマラバール演習は、アラビア海にて実施された。マラバール2008の目的は、海上阻止に特に重点を置いた、米印間の向上した相互運用性の促進であり、対海賊、対テロ作戦を含んだ[22]。インド海軍西方艦隊を指揮するアニル・チョプラ海軍少将は下記のように言及する。
- 「人道支援、災害救助任務、海上保安及び海賊問題にとって非常に重要な、我々両海軍の相互運用性をこれが大幅に高める[23]」
ロナルド・レーガンの第七空母打撃群には、高速戦闘支援艦ブリッジ、攻撃原潜スプリングフィールド、P-3哨戒機が加わった[24] [23]。インド海軍の部隊はムンバイ (ミサイル駆逐艦)とラーナ、誘導ミサイルフリゲートのタルワル (フリゲート)、ゴダヴァリ (フリゲート)、ブラーマプトラ、ベトワ (フリゲート)、補給艦アディティアと通常動力型のシシュマール級潜水艦が含まれた[22]。
2009年
4月29日から5月3日に日本の沖合で開催されたマラバール2009にて、インド海軍、海上自衛隊、米海軍は、彼等の海上パートナーシップを拡大した。
マラバール2009の特徴は、VBSS技術、水上戦闘の機動、対潜戦、艦砲訓練、防空であった。
インドからの艦船には駆逐艦ムンバイ、カンジャール (フリゲート)、駆逐艦ランヴィール、補給艦ジョティを含んだ。日本からの参加艦船はくらまとあさゆきであった。アメリカからはブルー・リッジ、フィッツジェラルド、チェイフィー、シーウルフが参加した[25][26]。
2010年
インド海軍により開かれたマラバール2010を始めるため、4月23日にインドのゴアに、アメリカ海軍第七艦隊の艦船、潜水艦、航空機が到着した。
「アメリカ海軍とインド海軍は、この地域での安全保障と安定性を確保するため、お互いの欲求を共有する自然なパートナーであり友人だ。」と、第七艦隊の戦闘部隊司令Kevin M. Donegan海軍少将は述べた。「マラバールのような最高級の演習は、我々両者の熟練の海軍部隊の間で、我々の成長していく関係性と相互運用性を強める。」[27]
海上で実施された訓練は、水上戦と対潜戦、連係した艦砲演習、防空、VBSS演習を含んだ。海軍兵達は陸海での専門職の情報交換や議論に参加した。ゴアでの港湾訪問中の海軍士官らは社会奉仕計画に参画した[27]。
この回のマラバール演習に参加したアメリカ軍部隊は、タイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦シャイロー、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦ラッセンとチェイフィー、オリバー・ハザード・ペリー級誘導ミサイルフリゲートのカーツ、ロサンゼルス級攻撃原潜アナポリス、P-3 オライオン、SH-60 シーホーク、SEALs特殊部隊の分遣を含んだ[27]。
2011年

4月2日から10日にかけてのマラバールの一連の演習は、沖縄沖にて開かれた[28]。ベンガル湾で開催された5ヶ国の海軍演習の全参加国に対し、中国が2007年に政策変更したのち、インドは演習へより多くの国を巻き込むのを止めていた。2009年の日本の参加に伴う政治的な動揺は起きず、インドはもう一度、海上自衛隊の参加を認める考えに賛同できた[28]。
マラバール2011には第七空母打撃群が参加した。米海軍の部隊は主に、誘導ミサイル駆逐艦のスタレットとステザム、誘導ミサイルフリゲートルーベン・ジェームズ、攻撃原潜サンタフェを含んだ。インド海軍の部隊は、誘導ミサイル駆逐艦のデリー (ミサイル駆逐艦)、ランヴィジャイ、ランヴィール、キルチ (コルベット)と補給艦ジョティを含んだ。
2012年

第17空母航空団を乗せたカール・ヴィンソンから成る米海軍の第一空母打撃群、タイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦バンカーヒル、アーレイバーク級誘導ミサイル駆逐艦ハルゼーが10日間の演習に参加した。軍事海上輸送司令部の高速戦闘支援艦ブリッジも、演習のため支援を提供した[29]。
サトプラ (フリゲート)、ランヴィール、ランヴィジャイ、クリシュ (コルベット)は、補給艦シャクティと共にインド海軍を代表した[30]。




