ミヤマササガヤ
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特徴
1年生の草本[1]。草丈は20〜90cmになる。茎は基部が這って広がり、節から根を下ろす。また茎は節の部分が微細な毛で覆われている。葉身は幅の狭い披針形をしており、長さは4〜10cm、幅は7〜10mm。葉鞘は全体に毛がないが、縁沿いには毛がある。葉舌は高さが0.5mm、上が切り落とされた形になっている。
花期は9〜10月。花序は茎の先端に着く4〜7本の花序枝からなる。花序枝(総)は細くて長さは4〜8cm、淡緑色の小穂がその中軸に密着する形で並んでいる。中軸には節があってその間隔は6〜7mm、これは小穂の柄の長さのほぼ2倍に当たる。小穂は1個が長さ3mmほどの柄の先端につき、その柄の基部のところにほとんど柄のない(柄の長さ0.3mm程度)小穂がついており、つまり有柄小穂と無柄小穂が2個一組になっている。またそれぞれの小穂の柄の先端部には短い毛が環状に生えている。組になっている小穂そのものはほぼ同型である。小穂は長さが4mm。第1,第2包頴はともに長さは小穂と同じ。第1包頴は中央の脈がなく、左右の縁の近くにそれぞれ2〜3本の脈があり、これに沿って2個の竜骨が出来ている。第2包頴には3本の脈があり、ボート型になっている。小穂は2個の小花を含み、第1小花は無性、第2小花が両性花になっている。第1小花の護頴は膜質で透明、脈はない。第2小花の護頴は先端が小さく2つに分かれており、その間から細長い芒が伸びる。芒の長さは15〜20mmに達する。雄しべは2個で葯は長さが1mm。
- 茎や葉の様子を示す
- 花序の拡大像
- 花序枝の拡大像
- 一組の小穂
分布と生育環境
分類、類似種など
本種の属するミヤマササガヤ属は、以前にはアシボソ属 Microstegium に含められていたものであるが、アシボソ M. vimineum など現在のアシボソ属のものは総じて花序枝が太くしっかりしており、細くて繊細な本属のものとは見かけがかなり異なる。現在の本属には3種が含まれており、この内でササガヤ L. japonicum は日本では北海道から琉球列島に広く分布するので本種と分布が重なっている。形態的にもよく似ているので混同しやすい。過去には混同されていたこともあり[7]、また本種の亜種と位置づけられたこともあった[8]。長田(1993) は区別点として以下のようなものを挙げている[9]。
- ササガヤは対になる小穂はどちらも柄があり、長柄小穂と短柄小穂の組み合わせになっている。
- ササガヤは芒の長さが6〜8mmと本種の半分以下の長さしかない。
ただし何しろ小さい上に小穂が全て花序の軸に密着しており、また芒もやはり花序枝に沿って伸びているためにこれらの特徴は一目で見て取れるものではなく、それどころか手に取ってもそれだけでは判別しがたく、少なくとも穂を指先でくつろげる必用はあり、出来ればルーペを使いたいところである。なお、勝山(2010)は対になる小穂が本種では有柄と無柄である点について全くの無柄ではなく無柄に近いほど短いのであって、時に有柄に見える程度のものを見ることがあり、この特徴では判断しがたい例があることを指摘している。
長田(1993)はこの他に茎の節についても言及があり、ササガヤでは無毛、本種では寝た微毛があることも区別点として取り上げているが、これには少々問題点があり、と言うのはササガヤの変種とされているものにキタササガヤ var. boreale があるが、これでは茎の節に密に毛があるのである[10]。勝山(2010)はキタササガヤの場合、節の毛は斜めに伸びる長い毛であり、本種の場合には伏した短い毛であることで区別可能で、上記の小穂の柄の長さで判断が難しい場合には節の毛の特徴はそれを補ってくれるものとしている。
もう1種のメンテンササガヤ L. somae は琉球列島に産するので本種とは分布が重ならない。