メクラヘビ

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メクラヘビ(盲蛇)は、メクラヘビ下目[3] Scolecophidia に分類されるヘビの総称。全長は10-100cmで、全ての種が穴を掘って生活する[4]。5科38属が認められている[5]。メクラヘビ下目は側系統群であり、カワリメクラヘビ科は真蛇下目姉妹群と考えられている[6]。日本からはブラーミニメクラヘビ1種が知られているが、外来種であると考えられている。

概要 メクラヘビ下目, 分類 ...
メクラヘビ下目
生息年代: 後期白亜紀 - 現世[1]
ザンベジオオメクラヘビ Afrotyphlops mucruso
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
下目 : メクラヘビ下目 Scolecophidia
学名
Scolecophidia
Cope, 1864[2]
英名
Blind snakes
Thread snakes
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分類

以下の5つの科に分けられる。和名と種数は中井(2021)による[5]。分布は付記の無い限りMcDiarmid(1999)による[2]

進化と化石記録

最古のメクラヘビである Boipeba tayasuensis の生体想像図

化石記録は白亜紀から知られているが、分子系統学的解析によれば、メクラヘビは中期ジュラ紀に出現し、カワリメクラヘビ科、ホソメクラヘビ科、メクラヘビ科は後期ジュラ紀に分岐した。前期白亜紀にはメクラヘビ科からトウヨウメクラヘビ科が分岐し、後期白亜紀にはメクラヘビ科からエンバンメクラヘビ科が分岐したと考えられている[7]

メクラヘビはゴンドワナ大陸を起源とすると考えられており、カワリメクラヘビ科とホソメクラヘビ科は西ゴンドワナ大陸(現在の南アメリカとアフリカ)で進化した。その他の3科は東ゴンドワナ大陸で進化し、中生代には現在のインドからマダガスカルにかけての地域に分布していた。メクラヘビ科はマダガスカルに隔離されたが、その後にアフリカやユーラシアに分散した。アフリカのメクラヘビ科は約6000万年前に大西洋を渡り、南アメリカ大陸に到達して進化した。その後約3300万年前に、カリブ海に分散した。約2800万年前には、東南アジアインドネシアからオーストラリアに到達した[7]。トウヨウメクラヘビ科はインド大陸に隔離されたが、ユーラシア大陸との衝突後に、熱帯アジアへ拡散した。エンバンメクラヘビ科はマダガスカル島に隔離され、現在もマダガスカル島の固有種である[9]

マダガスカルメクラヘビ属エンバンメクラヘビは、白亜紀のゴンドワナ大陸の分裂によってマダガスカルに取り残された珍しい動物の1つで、マダガスカルヨコクビガメも同様である。マダガスカルの他の陸生脊椎動物は、白亜紀以降に大陸から移動してきた[9]

2020年には後期白亜紀のブラジルに生息していた Boipeba tayasuensis が記載され、これは最古の化石記録であった。この種はメクラヘビ上科[3] Typhlopoidea の姉妹群であり、全長は1mを超える。現生のほとんどの種よりも大きいが、シュレーゲルメクラヘビザンベジオオメクラヘビはこの種に匹敵するほど大きい。この発見以前は、メクラヘビの化石は暁新世モロッコ始新世ヨーロッパの地層から発見されていた[1]ドミニカ産琥珀からは、メクラヘビ科の皮膚が発見されている[10]

系統

以下にメクラヘビ下目の系統を示す。Vidal et al.(2010)とFachini et al.(2020)による[1][7]

メクラヘビ下目

カワリメクラヘビ科

ホソメクラヘビ科

Boipeba

メクラヘビ上科

トウヨウメクラヘビ科

エンバンメクラヘビ科

メクラヘビ科

形態

メクラヘビという名の通り、目はごく小さく、鱗の下にある[11]。この鱗は他のヘビでは目を覆う透明な鱗となっているが、メクラヘビでは不透明である[12]。一説によればメクラヘビを含むヘビの祖先は地中生活をしており、視力は進化の過程で失われた。その他のヘビは収斂進化により、他の脊椎動物と同様に視力を発達させたと考えられている[11]。しかしほとんどのヘビとトカゲの視力に関連する12の遺伝子のうち、メクラヘビは7つを欠いているため、ヘビの祖先の視力はより優れていたと考えられる[13]。カワリメクラヘビ科以外の4科は、左の卵管を持たず、カワリメクラヘビ科の左の卵管も縮小している[12]。全長は10-100cmで、体は細長い円筒形であり、頭部は小さく細い[11]。左の肺は持たないか、あっても退化しており、赤外線の受容器も持たない[12]

メクラヘビは、地中生活に適応しており、一見ミミズのような外観を持ち、土壌中に潜り込んで生活している。他のヘビがを飲み込むために上下が大きく開くのが特徴であるのに対し、メクラヘビの仲間は餌が小さいこともあり、は小さい。や口なども目立たない形になっており、ミミズのような外観を助長している。成長しても20 cm前後と小型で細長く、体幹(胴体)の太さも頭部から尻尾までさほど変わらず、は非常に短い。これらの事は、地中生活への適応と考えられる。

生態と行動

地下や丸太、落ち葉の中などに潜って生活する。繁殖については不明な点が多いが、研究された種は全て卵生であった[12]。ホソメクラヘビ科とメクラヘビ科は、細長い卵を産む。無脊椎動物を捕食し、主にアリシロアリおよびその卵を食べる。アリの残したフェロモンを追跡することが知られている[14]。木に登って頭を左右に振り、空気中の化学物質を感知して昆虫の巣を見つける種が知られている。一部の種はシロアリやアリを食べることに特化している。一部の種は過食を行う[12]。穴を掘るため見つけることは難しいが、雨が降ると地下に水が溜まるため、地上によく現れる。メクラヘビはヘビの中でも原始的な特徴を多く持つため、ヘビの形態や繁殖の進化の研究に利用されている[14]

出典

参考文献

関連項目

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