ヨヒンビン

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ATCコード
法的地位
生体利用率 7-86% (mean 33%)
ヨヒンビン
臨床データ
投与経路 経口
ATCコード
法的地位
法的地位
薬物動態データ
生体利用率 7-86% (mean 33%)
消失半減期 0.25-2.5 hours[1]
排泄 Urine (as metabolites)
識別子
CAS登録番号
PubChem
CID
IUPHAR/BPS
DrugBank
ChemSpider
UNII
KEGG
ChEBI
ChEMBL
CompTox
Dashboard

(EPA)
ECHA InfoCard 100.005.157 ウィキデータを編集
化学的および物理的データ
化学式 C21H26N2O3
分子量 354.44 g/mol (base)
390.90 g/mol (hydrochloride) g·mol−1
3D model
(JSmol)
  (verify)
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ヨヒンビン: Yohimbine)は、アルカロイドの一つで、α受容体拮抗作用を持つ。主に熱帯アフリカ西中央部産植物であるアカネ科ヨヒンベノキ属ヨヒンベノキCorynanthe johimbe K.Schum.; シノニム: Pausinystalia johimbe (K.Schum.) Pierre)から発見された。骨格的にはインドールアルカロイドの一種であるラウオルフィアアルカロイドRauwolfia Alkaloid)に属する。

ヨヒンビンは、血管壁に分布するα1受容体遮断作用だけでなく、交感神経系に分布するα2受容体遮断作用をも示す。血管拡張に作用する抗アドレナリン作用のα1受容体遮断作用より、交感神経に作用するα2受容体遮断作用の方が強い。抗アドレナリン作用の発現量では副作用を示すため、臨床では用いられない。獣医学領域では、イヌシカで鎮静状態からの回復に用いられる。さらに、中枢におけるセロトニンに対する拮抗作用も知られている。

また、催淫作用や勃起不全に効果があるという根拠は不充分で[2][3]、作用機序は「生じた興奮を減弱させる因子を遮断するように働く」と考えられる。興奮に対して積極的には作用しないため、増量しても効果が増強するより、むしろ副作用の発現・増強を心配する必要がある。[4]。海外では、ヨヒンベ抽出物が性的不能治療サプリメントとして流通している地域がある[5]

ヨヒンビンはイヌやシカでキシラジンの鎮静効果に拮抗する作用を持つ[6]

ヨヒンビンを含むヨヒンベ抽出物は、西洋の伝統医学に用いられ、健康補助食品としても販売されている[5]

毒性

ヨヒンビンは用量に応じて血圧を上昇または低下させる。それぞれ、血管収縮作用または血管拡張作用による。ヨヒンビンはα2受容体に対して親和性が高いので、どちらかと言うとα2選択的阻害薬と言える。しかしヨヒンビンは低親和性ではあるがα1受容体にも結合するので、高濃度ではα2受容体遮断作用よりもα1受容体遮断作用のほうが勝り、危険な血圧低下が発現する[2]。そのためヨヒンビンは高濃度で様々な副作用を起こす。頻脈、過剰刺激、異常血圧、冷汗、不眠症などである。

抽出・化学合成

ヨヒンベ(Pausinystalia johimbe英語版 )は西アフリカ及び中央アフリカに生育する[7]。ヨヒンビンはその樹皮から1896年に発見された[8]。ヨヒンビンの正しい化学構造は1943年に決定され[9]、その15年後、23段階で全合成が達成された[10][11][12]

作用機序

ヨヒンビンはα2アドレナリン受容体に対して高い親和性を有するほか、α1受容体、5-HT1A受容体、5-HT1B受容体、5-HT1D受容体、5-HT1F受容体、5-HT2B受容体、D2受容体に中程度の親和性を、5-HT1E受容体、5-HT2A受容体、5-HT5A受容体、5-HT7受容体、D3受容体に弱い親和性を有する[13][14]。α1受容体、α2受容体、5-HT1B受容体、5-HT1D受容体、5-HT2A受容体、5-HT2B受容体、D2受容体に対して遮断薬として作用するほか、5-HT1Aに対しては部分作動薬として作用する[13][15][16][17]。ヨヒンビンは高濃度でセロトニン受容体及びドーパミン受容体と相互作用する[18]

薬理学的特性
受容体親和性
(Ki (nM))[19]
薬理学的作用
[13][15][16][17][20]
SERT1,000阻害薬ヒト前頭皮質
5-HT1A英語版346部分作動薬ヒト培養
5-HT1B英語版19.9遮断薬ヒト培養
5-HT1D英語版44.3遮断薬ヒト培養
5-HT1E英語版1,264未知ヒト培養
5-HT1F英語版91.6未知ヒト培養
5-HT2A英語版1,822遮断薬ヒト培養
5-HT2B英語版143.7遮断薬ヒト培養
5-HT7英語版2,850未知ヒト培養
α1A英語版1,680遮断薬ヒト培養
α1B英語版1,280遮断薬ヒト培養
α1C英語版770遮断薬ヒト培養
α1D英語版557遮断薬ヒト培養
α2A英語版1.05遮断薬ヒト培養
α2B英語版1.19遮断薬ヒト培養
α2C英語版1.19遮断薬ヒト培養
D2英語版339遮断薬ヒト培養
D3英語版3,235遮断薬ヒト培養

研究開発

性的不能

ヨヒンビンは勃起不全治療薬として研究されて来たが、有効率は不充分である[2][3]

ヨヒンビンはシナプス前後のα2受容体英語版を共に遮断する。海綿体のアドレナリン受容体は多くがα1受容体であり、シナプス後α2受容体遮断が海綿体平滑筋を弛緩させる作用は大変弱い。シナプス前α2受容体遮断は中枢神経系及び末梢神経系で多くの神経伝達物質を放出させる。その中には海綿体での一酸化窒素ノルアドレナリンの放出も含まれている。一酸化窒素は勃起過程で血管拡張を担う物質であり、ノルアドレナリンは海綿体平滑筋のα1受容体英語版を刺激して血管収縮作用をもたらす。生理学的条件下では、一酸化窒素はノルアドレナリンの血管収縮作用を減弱させる[21]

要指導医薬品

関連項目

出典

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