ラフ語

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西田龍雄ラフの居住地域を以下の4つに区分している[2]

このうちミャンマー・ラオス・タイのラフは、中国からの「移住民であると考えて、ほぼ間違いがない」という[2]ジェイムズ・マティソフは、「コースン」Co xũngと呼ばれるベトナムのラフにも言及している[3]

マティソフの推計によると、ラフの総人口は最大でも60万人ほどである[5]

変種

ラフ語の方言は、ラフ・ナ語 (Lahu Na, 黒ラフ語) とラフ・シ語 (Lahu Shi, 黄ラフ語)に大別できる。他にラフ・プ語 (白ラフ語) と呼ばれる変種の存在も知られている[2][3]。話者人口が圧倒的に多いのはラフ・ナ語である[3]

ジェイムズ・マティソフは、新約聖書のラフ語訳にも使用された、「標準ラフ・ナ語 (standard Black Lahu)」という変種の体系的な記述を行っている[6]西田龍雄タイチエンラーイ県で話されるラフ・シ語の概略について発表している[7]

音韻論

「標準ラフ・ナ語」は、24の子音と9個の母音、7つの声調音素として持つ[8]子音連結は存在しない[9]

ラフ・ナ語の子音目録 (Matisoff 2003: 210)
唇音 歯音 硬口蓋音 軟口蓋音 口蓋垂音
閉鎖音 無声 p t c k q
有気
有声 b d j [ɟ] ɡ
摩擦音 無声 f š [ʃ] h [x ~ h]
有声 v g̈ [ɣ]
鼻音 m n ŋ
接近音 l y [j]
  • /pu, pʰu, bu, mu/は[pfɯ, pfʰɯ, bvɯ, mvɯ]として実現される。
  • /cɨ, cʰɨ, ɟɨ, ʃɨ, jɨ/は[tsɹ̩, tsʰɹ̩, dzɹ̩, sɹ̩, zɹ̩]として実現される。
ラフ・ナ語の母音目録 (Matisoff 2003: 210)
前舌母音 中舌母音 後舌母音
狭母音 i ɨ u
中母音 e ə o
広母音 ɛ a ɔ
ラフ・ナ語の声調 (Matisoff 2003: 209)
33 ˧ ca [ca˧]「探す」
35 ˦˥ [ca˦˥]「茹でる」
53 ˥˧ [ca˥˧]「食べる」
21 ˨˩ [ca˨˩]「凶暴な」
11 ˩ [ca˩]「養う」
54ʔ ˥˧ʔ câʔ [ca˥˧ʔ]「紐」
21ʔ ˨˩ʔ càʔ [ca˨˩ʔ]「押す、機械」

語順

ラフ語の基本語順SOV型である[10]。動詞の後方にはアスペクト時制などを表す助詞が付く[10]。また、名詞句の後方にはを表す標識が現れる[10]

形容詞」は修飾する名詞の後ろに付くか、属格ないし名詞化英語版標識のveを伴って名詞の前に付く[11]指示詞のchi及びô ve[注釈 1]も、名詞の前方・後方ともに出現可能しうる[12]

  • chi「これ」
    • chɔ chi「この人」(人+これ)
    • chi ve chɔ「この人」(これ+の+人)
    • chɔ chi ve「この人」(人+これ+名詞化)
  • ô ve「それ/あれ」
    • há-pɨ ô ve 「あの岩」(岩+あれ)
    • ô ve há-pɨ「あの岩」(あれ+岩)

名詞類

脚注

参考文献

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