レスティゴーシュ級駆逐艦
From Wikipedia, the free encyclopedia
設計
上記の経緯より、基本的な設計はサン・ローラン級のものが踏襲されており、当初は船体寸法も同一であった。その後、1968年から1973年にかけて、船体を1.6メートル延長する大規模な改修工事が行われた。吃水が増したのとあわせて、満載排水量にして20トン増大した[1]。
機関もサン・ローラン級と同様、出力30,000馬力のイングリッシュ・エレクトリック製ギアード・タービンが搭載された。ボイラーはバブコック・アンド・ウィルコックス(B&W)社製の水管ボイラー2缶で、蒸気性状は圧力43.3 kgf/cm2 (616 lbf/in2)、温度454 °C (849 °F)であった。電源の合計出力は、当初はサン・ローラン級と同じく1,400キロワットであったが、1980年代のDELEX改修の際に出力400キロワットの発電機1基を追加搭載した[2]。
装備
C4ISR
レーダーはサン・ローラン級と同様で、対空捜索用としてAN/SPS-12、対水上捜索用としてAN/SPS-10を搭載していた。その後、1980年代のDELEX改修の際に、対空捜索レーダーをSPS-503に更新するとともに一般航海用レーダーが追加搭載された[2]。このSPS-503は、プレッシー社のAWS-4レーダーのアンテナを利用して国内開発したものであった[5]。
ソナーもサン・ローラン級と同様で、探信儀としてSQS-503、海底捜索用としてSQS-501(英海軍162型)、対潜迫撃砲の目標捕捉用としてSQS-502(英海軍170B型)を搭載した[3][6]。その後、船体延長工事の際にSQS-505可変深度ソナーが追加装備された[2]。
1980年代のDELEX改修では、レーダーの更新とともに、ADLIPS(Automatic Data Link Plotting System)戦術情報処理装置を搭載し、リンク 11の運用に対応した[7]。またAN/WSC-3衛星通信装置も搭載された[2]。
武器システム
サン・ローラン級からの最大の変更点が艦砲で、31番砲を50口径76mm連装速射砲(Mk.33 3インチ砲)から70口径76mm連装速射砲(ヴィッカースMk.6)に変更した。一方、艦尾側の32番砲は、サン・ローラン級と同じく50口径76mm連装速射砲(Mk.33 3インチ砲)のままとされていた[3]。砲射撃指揮装置(GFCS)としては、当初はMk.69が搭載されており[7]、後にデジタル化されたMk.60に更新された。追尾レーダーはサン・ローラン級と同じくAN/SPG-48が用いられた[2]。
対潜兵器は、当初はサン・ローラン級と同様、艦尾甲板に3連装のリンボーMk.10対潜迫撃砲2基を設置していた。その後、船体延長工事の際に、リンボー1基および32番砲を撤去するかわりに、上記のVDSとともにアスロック8連装発射機を搭載した。また1990年・1991年には、湾岸戦争を受けたペルシア湾岸への派遣任務に伴い、「テラ・ノヴァ」「レスティゴーシュ」ではリンボーとアスロックを撤去し、ハープーン艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基や60口径40mm単装機銃2基、ファランクス20mmCIWSを搭載して、対空・対水上戦能力を強化した[3]。またブローパイプないしジャベリン携帯型艦対空ミサイルやブローニングM2重機関銃も搭載された[6]。
諸元表
| 新規建造時 | DELEX改修後 | 湾岸派遣艦 | |
|---|---|---|---|
| 満載排水量 | 2,880 t | 2,900 t | |
| 全長 | 111.5 m | 113.1 m | |
| 全幅 | 12.8 m | ||
| 吃水 | 4.1 m | 4.3 m | |
| 機関 | バブコック・アンド・ウィルコックス水管ボイラー×2基 | ||
| イングリッシュ・エレクトリック蒸気タービン×2基 (計30,000 shp) | |||
| スクリュープロペラ×2軸 | |||
| 速力 | 28 kt | ||
| 乗員 | 248名 | 250名 | 290名 |
| 兵装 | 70口径76mm連装速射砲×1基 | ||
| 50口径76mm連装速射砲×1基 | アスロック8連装発射機×1基 | 60口径40mm単装機銃×2基 | |
| ファランクス 20mmCIWS×1基 | |||
| リンボーMk.10対潜迫撃砲×2基 | リンボーMk.10対潜迫撃砲×1基 | ハープーンSSM 4連装発射筒×2基 | |
| 324mm3連装短魚雷発射管×2基 | |||
| C4I | CIC設置 | ADLIPS 戦術情報処理装置 | |
| レーダー | AN/SPS-12 対空捜索用 | SPS-503 対空捜索用 | |
| AN/SPS-10 対水上捜索用 | |||
| ソナー | SQS-501 海底捜索用 (英162型) | ||
| SQS-503 捜索用 | |||
| - | SQS-505可変深度式 | ||
| 電子戦 | DAU HF/DF装置 | CANEWS電波探知妨害装置 | |
| - | AN/ULQ-6電波妨害装置 | ||
| Mk.137 6連装デコイ発射機×4基 | |||
同型艦
一覧表
| 艦番号 | 艦名 | 建造所 | 起工 | 進水 | 就役 | 退役 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| DDE 235 | ショーディエール HMCS Chaudiere | ビッカース モントリオール | 1953年 7月30日 | 1957年 11月13日 | 1959年 11月14日 | 1974年 5月23日 |
| DDE 236 | ガティノー HMCS Gatineau | ハリファックス造船 ハリファックス | 1953年 7月30日 | 1957年 11月13日 | 1959年 11月14日 | 1996年 5月24日 |
| DDE 256 | セント・クロイス HMCS St. Croix | デイビー造船所 レヴィ | 1953年 4月30日 | 1957年 6月3日 | 1959年 2月17日 | 1974年 11月15日 |
| DDE 257 | レスティゴーシュ HMCS Restigouche | ビッカース モントリオール | 1953年 7月17日 | 1954年 11月22日 | 1958年 6月7日 | 1994年 8月31日 |
| DDE 258 | クートニー HMCS Kootenay | バラード造船所 ノースバンクーバー | 1952年 8月21日 | 1954年 6月15日 | 1959年 3月7日 | 1995年 11月18日 |
| DDE 259 | テラ・ノヴァ HMCS Terra Nova | ビクトリア機械廠 ビクトリア | 1953年 6月11日 | 1955年 6月21日 | 1959年 6月6日 | 1997年 7月11日 |
| DDE 260 | コロンビア HMCS Columbia | バラード造船所 ノースバンクーバー | 1952年 6月11日 | 1956年 11月1日 | 1959年 11月7日 | 1974年 2月18日 |
運用史
本級の1隻である「クートニー」(258)は、1969年に右舷のギア・ボックスが爆発するという事故を起こし、9名の死者を出した。これは、カナダ海軍が平時に経験した事故としては最悪のものである。
本級のうちの3隻は1974年に予備役に編入された。のこる4隻は運用を継続したが、後継となるハリファックス級フリゲートの就役開始に伴い、1994年から1997年までに全艦が退役した。