ロバート・アレクシー
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経歴
法理論
アレクシーの法の定義は、ケルゼンの規範主義とラートブルフの自然法論を融合させたもののように見えるが(Alexy 2002)、その議論の理論(Alexy 1983)に照らせば、(ドウォーキン的な)解釈主義に近い位置にあるといえる。
アレクシーは『不正義からの論証』において、不正または邪悪な法が法的妥当性を失うのは、それが正義と平等を意図的に否定する場合に限られるとするラートブルフの定式を擁護した[2]。アレクシーは法と道徳の関係を以下の3つのテーゼによって定式化した。
- 包摂テーゼ: 法体系には原理(principles)が含まれる。
- 道徳テーゼ: 法は共通の道徳と関連していなければならない。
- 正しさのテーゼ: 法は正当な道徳と関連していなければならない。
アレクシーの法理論の核心には「正しさの主張」がある。法は必然的に、たとえいかに腐敗していようとも、自分が正しいと主張しなければならない。そうでなければ法は自己矛盾に陥り、根本的に非論理的なものとなってしまうからである。法は人々の行動を強制し、行為の決定的な理由を与えるものである以上、法が主張する「正しさ」は道徳的なものでもなければならない。
ラズとの論争
現代の英語圏の代表的な法哲学者であるジョセフ・ラズは、アレクシーが『法の概念と効力(Begriff und Geltung des Rechts) 』(1992年)で示した実証主義批判に対し、(1) その実証主義理解が英語圏で議論されているものとは異なった、ドイツの伝統における広範なものであること、(2) 「法と道徳の分離」テーゼを狭く捉えたうえでの批判であって、法の妥当性条件における道徳との関連に焦点を絞りきれていない、という旨の批判を行った[3]。それに対しアレクシーは、(a) 法は必然的に正しさを主張するものである以上、法の概念には道徳を組み込むべきである、(b) 法実践においては比例性や衡量など道徳的・原理的に厚い判断がなされており、法の内容には道徳が必然的に含まれること(包摂的非実証主義)、(c) 極端に不正な法は法としての資格を失うのであり(ラートブルフ公式)、そうした法をなお法と呼ぶのは自己矛盾である、といった反論を行った[4]。
両者の議論が噛み合ったものであるかどうかについてはさまざまな評価があるが[5]、この論争は現代の英語圏とドイツ語圏を代表する論者との間に対話の可能性が十分にあることを示すものとなった。
著作
- Theorie der juristischen Argumentation. Die Theorie des rationalen Diskurses als Theorie der juristischen Begründung (Suhrkamp, 1983; first edition 1978)
- Translated by Neil MacCormick as A Theory of Legal Argumentation: The Theory of Rational Discourse as Theory of Legal Justification (Clarendon, 1989)
- Theorie der Grundrechte (Suhrkamp, 1985; second edition 1994)
- Translated by Julian Rivers as A Theory of Constitutional Rights (Oxford University Press, 2002)
- Mauerschützen (Vandenhoeck + Ruprecht, 1993)
- Recht, Vernunft, Diskurs (Suhrkamp, 1995)
- Der Beschluß des Bundesverfassungsgerichts zu den Tötungen an der innerdeutschen Grenze vom 24. Oktober 1996 (Vandenhoeck & Ruprecht, 1997)
- Begriff und Geltung des Rechts (Karl Alber, 1992)
- Translated by Stanley Paulson and Bonnie Litschewski Paulson as The Argument from Injustice: A Reply to Legal Positivism (Oxford University Press, 2002)
- Elemente einer juristischen Begründungslehre, co-edited with Hans-Joachim Koch, Lothar Kuhlen and Helmut Rüßmann (Nomos, 2003)