ヴァージン・パンク (映画)

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ヴァージン・パンク』は、アニメスタジオのシャフトが制作する日本アニメーション映画。“ソーマディア”と呼ばれる医療用義体が広く採り入れられた近未来を舞台に、ソーマディアを違法に使った犯罪者を倒すバウンティハンター少女、神氷羽舞の活躍を描く。

監督梅津泰臣
概要 ヴァージン・パンク, ジャンル ...
ヴァージン・パンク
ジャンル 美少女賞金稼ぎアクション
映画:ヴァージン・パンク Clockwork Girl
原作 梅津泰臣シャフト
監督 梅津泰臣
脚本 高橋悠也
キャラクターデザイン 梅津泰臣
メカニックデザイン Niθ
音楽 出羽良彰
制作 シャフト
製作 アニプレックス、シャフト
配給 アニプレックス
封切日 2025年6月27日
上映時間 35分
その他 シリーズ第1弾
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メガゾーン23 PartII』(1986年)のキャラクターデザインや、成人向けOVAA KITE』(1998年)、『MEZZO FORTE』(2000年)の監督で知られるアニメーター梅津泰臣が監督・企画・原作・キャラクターデザインを兼任し、シリーズ構成と脚本は『LUPIN THE IIIRD』シリーズ(2014年 – 2025年)の高橋悠也が務める。

シリーズ第1弾[注 1]の『ヴァージン・パンク Clockwork Girl』が、2025年6月27日に劇場公開された。映倫の審査によりR15+(※15歳未満の鑑賞を禁止)に指定されている[1]

ストーリー

西暦2099年、欠損した腕や脚を人工人体で補う医療用技術「ソーマディア」の発達によって、人々は大怪我や病気を克服していた。その反面、ソーマディア技術を悪用する犯罪者が急増したことから、違法ソーマディア犯罪者を狩った者に懸賞金を与える政府承認のバウンティハンター制度が生まれた。

24歳のバウンティハンター神氷羽舞は、仕事から帰って来た自宅の部屋で、10年前から因縁のある男・エレガンスに銃で撃たれる。病院で目を覚ました羽舞は、驚いたことに14歳の身体になっていた。エレガンスは半死半生の羽舞のを10代のソーマディアのボディに移し、彼女はそれから1年間も昏睡状態だったのだ。しかも羽舞の現在の保護者は、憎きエレガンスだという。彼が持っている小型デバイスで、ソーマディアとしての身体の自由を奪われている羽舞は、不服ながらもエレガンスに従うしかない。

エレガンスが束ねるバウンティハンター集団「アルキメDEATH(アルキメデス)」のメンバーに加わった羽舞は、賞金首の犯罪者を倒して懸賞金を稼ぎながら復讐の機会を狙うのだった。

登場人物

※声の出演は日本語/英語

神氷羽舞(かみごおり うぶ)
声 - 宮下早紀[1]ザンテ・フイン英語版[2]
本作の主人公[3]。外見14歳のソーマディアのボディに、実年齢25歳の女性の脳が収まっている。愛用の武器はCZ P-10Cカスタムの拳銃と[4]チェーン状から一瞬で円状に展開する、ブレード付きの高性能ブーメラン。仕事に携帯するキャリーケースは予備の拳銃2丁と弾倉ナイフグレネードなどの武器を収納し、ケース表面は戦闘時に防弾用シールドにもなる特殊カーボン[5][6]。いつの日かエレガンスを殺そうと考えている。
神氷羽舞(オリジナル)
声 - 加隈亜衣[7]
バウンティハンターとして働いている、凄腕の賞金稼ぎ。ショートヘアでボーイッシュな容姿の24歳。「私は正義の味方じゃない」と言っている通り、社会正義の意識がなく、犯罪者を殺すことに躊躇しない。ソーマディアのバイヤー、セスとダニーを始末して帰宅したところを、部屋で待ち受けていたエレガンスに撃たれ[注 2]、その脳を14歳相当のソーマディアの身体に移し替えられた。孤児院にいた10代の頃は、タブレット操作の人型メカ“ウブボット”を作れるほど手先が器用で、将来はソーマディアのエンジニアになりたいと思っていた[注 3]
Mr.エレガンス(ミスター・エレガンス)
声 - 小西克幸[1]/デビッド・クーリー[2]
表向きは銭湯のような温浴施設「美楽乃湯(びらのゆ)」を運営しているが、裏の顔はバウンティハンター組織「アルキメDEATH」の経営者。30代[8]。10年前にソーマディア犯罪者が運営する児童養護施設を強襲した際、そこにいた14歳の羽舞と出会う。無頼の少女好き[注 4]オッドアイで、左目は撮影機能を持つカメラにもなっているが、目以外は生身の身体。
ルイス・ガウディ
声 - 八代拓[1]ダマン・ミルズ英語版[2]
アルキメDEATHに所属するバウンティハンターの青年。エレガンスのもとで仕事をしている。見た目が10代の羽舞と組まされることに不満を漏らすが、実年齢が自分より上の全身ソーマディアだとエレガンスから聞かされて驚く。
ヴェスパ
声 - 上坂すみれ[1]/リサ・メイ[2]
全身ソーマディアの快活な少女。『Clockwork Girl』には1シーンだけ登場。充電時は全裸で過ごす。
乃愛・アンドリエット(のあ・アンドリエット)
声 - 和泉風花[1]エリカ・メンデス[2]
『Clockwork Girl』のラストシーンでスクラップ場に現われる少女。小型爆弾を所持しているが、目的と素性は不明。

『Clockwork Girl』のキャラクター

マギー
声 - 田辺留依[1]スージー・ヤン英語版[2]
アルキメDEATHに所属する、エレガンス配下の全身ソーマディアの女性。猫耳のカチューシャを髪につけ、軽機関銃のMINIMIを使いこなす[11]。犯罪者のセス、ダニーと交戦中に頭部を撃たれて死亡。
トミー・J(トミー・ジェー)
声 - 若本規夫[1]/ブレント・ムカイ[2]
女子供と老人を殺すのが大好きなシリアルキラー。両腕にグレネードランチャーを内蔵した違法改造ソーマディアだが、下半身は生身のまま。羽舞(14歳)と戦って敗れる。
園長
声 - こばたけまさふみ[7]
幼少期の羽舞が暮らしていた児童養護施設の代表。温厚な容姿の初老男性だが、顔を整形して身分を偽装した指名手配犯。親を殺害した上で子供を自分の施設に入所させ、高額な入園料で私腹を肥やしていた。施設を襲撃したエレガンスに殺害される。
セス
声 - 後藤ヒロキ[7]
風俗店を襲って、そこに勤務するA.I.知能のソーマディア製風俗嬢を全員連れ出そうとした、ソーマディアのバイヤー[12]。右腕にガトリングガンを内蔵している[13]
ダニー
声 - 中務貴幸[7]
セスの相棒。右手のひらが展開して銃が現われる[14]。セス共々、羽舞(24歳)に倒されて首を斬られた。

スタッフ

  • 監督・キャラクターデザイン - 梅津泰臣[1]
  • 原作 - 梅津泰臣[1]シャフト[1]
  • シリーズ構成・脚本 - 高橋悠也[1]
  • キャラクター原案 - 梅津泰臣[7]
  • サブキャラクター原案・メカニックデザイン - Niθ[7]
  • サブキャラクターデザイン - 松本圭太[7]、西澤真也[7]
  • メインアニメーター - 阿部厳一朗[1]、高橋しんや[1]、観動真歩[1]
  • 美術設定 - 横田晋一[1]
  • 美術監督 - 本庄雄志[1]、船隠雄貴[1]
  • 色彩設計 - 渡辺康子[1]
  • 撮影監督 - 会津孝幸[1]、江上怜[1]
  • 編集 - 松原理恵[1]
  • 音楽 - 出羽良彰[1]
  • 音響監督 - はたしょう二[1]

舞台

ロスリーポート
1年を通して晴天率が高い、海に囲まれた港町。小型から大型までのVTOL機を使った空中移動が発達し、代わりに四輪の自動車は廃れている。地上の移動手段は電動バイク自転車のみ[15]。現代でいう電車に相当する乗り物は、リニア高速鉄道と、路面電車が走っている[16]。高低差のある町並みには、青空市場から病院教会風俗街などがある。

用語

ソーマディア
怪我による身体の欠損や病気を克服するべく、人体の一部を機械に置き換える医療用の人工技術。脳以外は全身がソーマディアというケースも多くあり、皮膚の下はハイブリッドメタルスキンとハイブリッドシリコンに守られ、対人用の弾丸刃物が貫通しないほど頑丈。ただし生身の部分の頭部(脳)を撃たれると死んでしまう。バウンティハンターが使っている“フィギュア・キラー弾”と呼ばれる特殊弾丸でなら、身体の貫通もしくは破壊が可能である[17]。ソーマディアは自分で自分の身体を強化改造できるため、強化後の腕力、跳躍力など身体能力は生身の人間のそれを遥かに超える。羽舞やヴェスパなど女性のソーマディアの乳房に乳輪乳首があるように、裸の外見は人間と同じ[18][19]。脳部分がA.I.で全身ソーマディアの従順な風俗嬢が多数存在することから、性器もあることが察せられる[20]
違法ソーマディア指名手配犯
ソーマディアに違法改造を施す者、またはその力を使って犯罪を起こすソーマディアたちの総称。少女時代の羽舞がいた養護施設の園長が、身体を違法改造したソーマディア指名手配犯だった。
バウンティハンター
違法ソーマディア指名手配犯を捕えて懸賞金を得ることを生業にする人々。政府によって策定された登録制の職業であるため、バウンティハンターの活動で被災した一般市民は、国から補償金が出る。指名手配犯を殺処分する資格が与えられていることから、捕獲は生死を問わず。犯罪者が死んだ場合は、切断した首(頭部)を警察署内の懸賞金センターに持参する。

製作

企画

ゼロ年代後半、梅津はアンドロイドのSF要素を含んだオリジナルアニメの監督として、とあるアニメスタジオに呼ばれた。何人かの脚本家を交えて企画は進んだが、梅津のアイデアや嗜好性が大きく膨らみ、当初の方向性から外れていったために企画は凍結になった。梅津はスタジオに許可を取り、その企画を買い取って新たに練り直し、これが『ヴァージン・パンク』の原型になっている[21]。まだソーマディアという固有名詞こそなかったものの、医療用メカの開発チームが共同でサイボーグ計画を実用化するアイデアは企画初期から存在し、当時の草案は「バウンティハンターが違法ソーマディア犯罪者を倒す1話完結式の勧善懲悪もの」といった内容であった。梅津は自分が手がけていたテレビアニメ『ウィザード・バリスターズ 弁魔士セシル』(2014年)放送終了の頃から具体的に動き出した[21]

梅津は『それでも町は廻っている』(2010年)の仕事でシャフトと組んだ時の印象が良かったため、同社に企画を持ち込むことにした。『ヴァージン・パンク』の原型作品を含む3つの企画書を提出し、その結果『ヴァージン・パンク』を進めることとなる[21]アニプレックス社長の岩上敦宏と、シャフト社長の久保田光俊たちから「昨今の流行や価値観に囚われず、やりたいことをやりましょう」と言われたことからスタートし[10]、当初はテレビアニメの放送コードを気にせず、リミッターをはずした表現で作ろうと、配信のシリーズとして製作するつもりだったという[21]。梅津は王道に乗るわけでなく、自分にしか作れないピンスポット的なものを目指しつつ、今までの作品よりもターゲットを拡げたマス向け作品にしたいと考えた[10]

制作

実写作品を中心に活動していた脚本家の高橋悠也と梅津は、とあるオリジナル企画で2011年頃に会っていた。その時の企画は形にならなかったものの、梅津はずっと高橋のことを覚えており、アニメ業界外で面白い脚本を書ける人を考えていた梅津は彼に声をかけてみた[21]。高橋が本作に参加した時には、羽舞やMr.エレガンスのキャラクター・ビジュアルとバウンティハンターというワード、医療技術の進歩でサイボーグ技術が進化した世界といった設定はすでに出来上がっていた。しかし話の筋がまだ定まっていなかったため、高橋は梅津と話し合いながら、これらの設定を膨らませてストーリーをまとめて行く作業を進めた[22]。作品のメインタイトル案は梅津が30パターンほど候補を提出したがスタッフから却下され、最終的に高橋が考えた『ヴァージン・パンク』が採用された[21]

『ウィザード・バリスターズ』の仕事が終わる頃、同作の美術設定をしていた横田晋一に、梅津は「次回作にも参加して欲しい」と声をかけていた。ヨーロッパを舞台にしたいという横田の意見から、南ヨーロッパのポルトガルをモデルにすることになり、横田と松本圭太[注 5]の2人が現地にロケハンに向かった[23]。『ヴァージン・パンク』の舞台になる架空の町ロスリーポートが、車の走らない町になっているのは、梅津が『ガリレイドンナ』(2013年)の時に考案した設定が上手く活かしきれなかった反省から、本作に盛り込んでいる[23]。メカデザインは『ガリレイドンナ』、『ウィザード・バリスターズ』で一緒に仕事をしたNiθに依頼し、梅津が『刻刻』(2018年)のエンディングアニメーションを担当した時に、緻密な背景を描いてくれた本庄雄志にも参加を呼びかけた[23]。この他、新人だった頃に編集助手として『A KITE』の現場に就いていた松原理恵や、前から梅津の監督作に参加していたアニメーターの高橋しんやなど、梅津の過去作品で縁があるスタッフが本作に関わっている[23]

『Clockwork Girl』のアバンタイトルとなる孤児院のシーンは、シャフト所属のアニメーター阿部厳一朗が原画を担当した[24]。オープニングタイトル直前までの96カットを阿部は約3年をかけて作画し、これほどの規模はシャフト史上、最高記録とのこと[8]

以前、『A KITE』に参加したはたしょう二は、自身がガンマニアだったことから、同作における銃器を扱う所作のリアリティにとても惹かれていた。後年、やはり梅津の監督作『ガリレイドンナ』に音響監督として関り、『ヴァージン・パンク』にも引き続き参加した [25]劇伴に関しては、はたの「メロディがしっかり立っていて、聴いた人が口ずさみたくなるような楽曲が欲しい」という考えのもとに音楽メニューが作られ、音楽担当の出羽良彰は映像を観ながら『Clockwork Girl』のために14曲を作曲した[25]

2024年9月16日、アニプレックスによるオンライン上の最新情報発信イベント「Aniplex Online Fest 2024」で、梅津とシャフトがタッグを組むオリジナルアニメーションシリーズ『ヴァージン・パンク』が発表された。そのシリーズ第1弾となる「Clockwork Girl」は、2025年初夏に劇場公開されることも合わせて報じられた[26]。イベント翌日、梅津は“次回監督作品・解禁です”のタイトルで自分のブログを更新し、企画が2014年末頃から始動していた、10年越しの作品だと明かした[27]

2025年3月22日には、本作のキービジュアルおよび、神氷羽舞、Mr.エレガンスを始めとする7人のキャラクターと、その担当声優(宮下早紀小西克幸八代拓ほか)が各媒体で発表された[28][29]

2025年6月10日のブログで梅津は「現場は追い込み真っ最中です」と書き[30]、公開を翌日に控えた6月26日のブログ更新で「先日、V編、0号、試写を行い、納品しました」と完成を報告。「是非、劇場にて大きなスクリーンでご覧ください。音響も5.1chですので迫力と臨場感があります」と綴った[31]

完成した作品に対して梅津は「これまでのテレビシリーズではスケジュールの都合で断念した部分もありましたが、『ヴァージン・パンク』は妥協なく作り続けた結果、いい映像になっていると思います」と自己評価した。また、最初は配信アニメとしてスタートしながら、制作途中で映画で上映することが決まったため、スタッフの士気があがったとも語っている[32]

公開

第1作『ヴァージン・パンク Clockwork Girl』が、2025年6月27日よりシネリーブル池袋テアトル梅田の2館で公開[28]。同年7月11日からテアトル新宿、7月18日からシネリーブル神戸での追加上映が決まった[33][34]。さらに9月26日からは札幌シネマフロンティアMOVIX仙台T・ジョイ新潟万代など、地方7館での上映が新たに決定した[35]

アメリカではアニプレックス・オブ・アメリカ英語版の配給で、字幕付きの日本語版と英語吹替版が2025年11月11日に公開。本編が35分と短いことから、制作スタッフのインタビューを中心に構成したドキュメンタリー映像が同時上映された[注 6][2]

プロモーション

シャフト設立50周年を記念したイベント「シャフト50周年展」内のイベント企画で、2026年1月12日に『ヴァージン・パンク Clockwork Girl』を上映し、登壇した梅津泰臣が本編を随時停止しながらリアルタイムで解説する“リアルタイム解説上映会”が催された[36]

2026年3月25日のBlu-ray発売を記念して、3月18日21時から25日までの8日間、YouTubeで本編がフル公開された。これは主に残酷描写を中心とした過激なシーンに編集を加えた、“子供もギリギリ観れますEDIT”であった[37]ファミ通.comでは「過激なシーンもしっかり観たい人は、Blu-rayの購入を検討しよう」とコメントを添えている[38]

脚注

参考文献

外部リンク

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