三硫化アンチモン

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三硫化アンチモン(さんりゅうかアンチモン、英語: Antimony trisulfide)は、アンチモン硫化物で、組成式 Sb2S3 で表される。天然には結晶性鉱物の輝安鉱(stibnite)や赤色の非晶質であるメタ輝安鉱(metastibnite)として産出する[3]

概要 物質名, 識別情報 ...
三硫化アンチモン
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.014.285 ウィキデータを編集
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
性質
Sb
2
S
3
モル質量 339.70 g·mol−1
外観 灰色または黒色の斜方晶系結晶(輝安鉱
密度 4.562g cm−3(輝安鉱)[1]
融点 550 °C (1,022 °F; 823 K) (輝安鉱)[1]
沸点 1,150 °C (2,100 °F; 1,420 K)
0.00017 g/(100 mL) (18 °C)
磁化率 −86.0·10−6 cm3/mol
屈折率 (nD) 4.046
熱化学
標準定圧モル比熱, Cp 123.32 J/(mol·K)
標準生成熱 fH298)
−157.8 kJ/mol
危険性
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 2: Intense or continued but not chronic exposure could cause temporary incapacitation or possible residual injury. E.g. chloroformFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
2
0
0
致死量または濃度 (LD, LC)
> 2000 mg/kg (ラット、経口)
NIOSH(米国の健康曝露限度):
PEL
TWA 0.5 mg/m3 (Sb)[2]
REL
TWA 0.5 mg/m3 (Sb)[2]
関連する物質
その他の
陰イオン
その他の
陽イオン
三硫化二ヒ素
硫化ビスマス(III)
関連物質 五硫化アンチモン
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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マッチ、軍用弾薬、爆発物、花火の原料として製造され[4]ブレーキパッドの摩擦材料としても使われているが、最近は環境を汚染している疑いがあることから硫化スズが一部代替している。またルビー色ガラスの製造にも使われるほか、プラスチックの難燃剤としても用いられる[5]。歴史的には、16世紀頃、絵画における灰色の染料として輝安鉱の形で用いられていた[6]。1817年には、染料・繊維化学者のジョン・マーサーがオレンジアンチモン(Sb
2
S
3
 · Sb
2
O
3
とみなせる組成を持つ)の不定比化合物を発見し、綿織物用に初めて実用化されたオレンジ色の染料となった[7] 。また、アイシャドーにも使われていたが、その毒性のため、現在は使われていない。その他にも、ビジコン(蓄積型撮像管)用の光伝導体としても用いられていた。

三硫化アンチモンは、1.8-2.5eVバンドギャップを持つ半導体直接遷移型])であり、適切なドープを施すことで、p型/n型半導体の両方を作ることができる[8]融点 550 ℃ の灰色の粉末で、には難溶だが、強酸アルカリには溶ける。水酸化カリウム水溶液にさらすと変色する。

合成と反応

Sb
2
S
3
はアンチモンと硫黄単体を500 ℃から900 ℃に熱することで得られる[5]

2 Sb + 3 S → Sb
2
S
3

また、Sb
2
S
3
H
2
S
を酸性のSb(III)溶液に通すことで沈殿する[9]。この反応はアンチモンの重量分析法として用いられており、熱したHClにSb(III)を含む化合物を溶かした溶液にH
2
Sを吹き込むことでオレンジ色のSb
2
S
3
が得られ、反応条件下で黒色に変色する[10]

Sb
2
S
3
は容易に酸化し、酸化剤と激しく反応し[5]、空気中では青い炎を上げて燃焼する。カドミウムマグネシウム亜鉛の塩酸塩とは白熱しながら反応し、Sb
2
S
3
と塩酸塩の混合物は爆発する可能性がある[11]

アンチモン鉱物からのアンチモンの精製には、アルカリ硫化法が用いられ、Sb
2
S
3
が反応しチオアンチモネート(III)塩(チオアンチモナイトとも呼ばれる)を生成する[12]

3 Na
2
S + Sb
2
S
3
→ 2 Na
3
SbS
3

Sb
2
S
3
から、異なるチオアンチモネートイオン(III)を含む様々な塩を生成することができる[13]

[SbS
3
]3−, [SbS
2
]
, [Sb
2
S
5
]4−, [Sb
4
S
9
]6−, [Sb
4
S
7
]2− and [Sb
8
S
17
]10−

シュリッペ塩英語版と呼ばれるチオアンチモネートナトリウム(V)Na
3
SbS
4
 · 9H2Oは、Sb
2
S
3
を硫黄と水酸化ナトリウムと共に沸騰させることで得られる[9]

Sb
2
S
3
+ 3 S2− + 2 S → 2 [SbS
4
]3−

構造

Sb
2
S
3
(輝安鉱)の黒色針状結晶の構造は、アンチモン原子が二つの異なる配位構造(三角錐型と方錐型)にある結合したリボン構造からなる[9]。このようなリボン構造はBi
2
S
3
Sb
2
Se
3
にも見られる[14]。赤色の状態であるメタ輝安鉱は非晶質であり、近年の研究では、輝安鉱には密接に関連した多数の温度に依存した構造があることが示唆されている。輝安鉱(I)は以前から知られていた高温での形態であり、他に輝安鉱(II)、輝安鉱(III)があるとされる[15]。さらに、他の論文では、アンチモンの配位多面体は実際にはSbS
7
であり、M1側に(3+4)個配位し、M2側に(5+2)個配位していると報告されている[要説明]。これらの配位は二次結合の存在を示しており、いくつかの二次結合は凝集力を与え、パッキング構造に関連している[16]

脚注

関連項目

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