中林純

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中林 純(なかばやし じゅん)は、日本経済学者京都大学大学院経済学研究科教授[1]公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)所長[2]。専門は実証産業組織論(Empirical Industrial Organization)、公共調達応用計量経済学

公共工事などの入札(オークション)市場における企業の入札行動や、談合(Cartel)のメカニズムに関する実証研究で知られる。2022年公正取引協会より第7回宮澤健一記念賞を授与された[3]

年譜

1997年一橋大学商学部を卒業後、旧建設省(現国土交通省)に入省し、2000年まで勤務した実務経験を持つ[1]。その後、関西学院大学大学院を経て渡米し、2009年オハイオ州立大学よりPh.D.(経済学)を取得した[1]

筑波大学助教、大阪大学社会経済研究所講師、東北大学准教授、近畿大学准教授を経て、2022年より京都大学大学院経済学研究科准教授、2023年4月より同教授に就任[1][4]2026年4月より公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)所長[2]

業績

主な研究テーマは公共調達オークションにおける入札談合の検知(Screening)であり、川合慶(東京大学)らとの共同研究で複数のトップジャーナルに論文が掲載されている。

  • 再入札データを用いた談合検知:Kawai and Nakabayashi (2022)では、日本の公共工事入札特有の「再入札(Re-auction)」制度に着目した。談合が行われている場合、再入札において「1位不動(初回1位業者が必ず落札する)」現象が顕著に見られること、および初回2位業者が逆転可能な価格差であっても競争的な行動をとらない(不自然に高い価格で入札する)ことを理論とデータから明らかにした。この手法により、直接的な証拠がない場合でも統計的に談合の疑いが高い入札を識別することを可能にした[3]。この研究は第7回宮澤健一記念賞を受賞した。
  • 入札パターンのスクリーニング:Chassang, Kawai, Nakabayashi, and Ortner (2022)では、入札価格の操作(Bid Rotation)や現職優位(Incumbency)のパターンを利用して談合を検知する、より堅牢な統計的スクリーニング手法(Robust Screens)を提案した[1]。この研究は、米国の独占禁止法分野で権威ある「Jerry S. Cohen Memorial Fund Writing Award」を受賞した[1]
  • 中小企業優先調達の評価:Nakabayashi (2013)では、公共調達における中小企業優先枠(Small Business Set-asides)が調達コストや参加企業の効率性に与える影響を実証的に分析した[1]

受賞

  • 2008年:G.S. Maddala Prize in Econometrics (オハイオ州立大学)[1]
  • 2022年:第7回 宮澤健一記念賞公正取引協会[1]
    • 受賞論文:"Detecting Large-Scale Collusion in Procurement Auctions" (with Kei Kawai)
  • 2023年:The 21st Annual Jerry S. Cohen Memorial Fund Writing Award for Antitrust Scholarship[1]
    • 受賞論文:"Robust Screens for Non-Competitive Bidding in Procurement Auctions" (with Sylvain Chassang, Kei Kawai, and Juan Ortner)

主な著作

脚注・出典

外部リンク

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