川合慶

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川合 慶(かわい けい)は、日本の経済学者東京大学大学院経済学研究科教授[1]。経済コンサルティング会社Compass Lexecon(ロンドンオフィス)シニアコンサルタント[2]。専門は実証産業組織論(Empirical Industrial Organization)、政治経済学

ミクロ経済学の理論とデータを創造的に融合させた研究で知られる[3]。特に公共調達における談合(Bid-rigging)のメカニズム解明や検知手法の開発において国際的に評価されており、2025年日本経済学会より中原賞を授与された[3]

年譜

ノースウェスタン大学よりPh.D.(経済学)を取得[1][2]2012年よりニューヨーク大学スターン経営大学院(Stern School of Business)助教授、2015年よりカリフォルニア大学バークレー校(U.C. Berkeley)助教授を務める[1]。バークレー校にて准教授(Associate Professor)を務めた後、2023年7月より東京大学大学院経済学研究科教授に就任した[1]。また、Compass Lexeconにてシニアコンサルタントを兼任している[2]

業績

主な研究分野は産業組織論であり、高度な構造推定の手法を用いつつ、直感的に理解可能な識別(Identification)戦略を組み合わせた分析を特徴とする[3]

主な研究貢献として以下が挙げられる。

  • 公共調達における談合検知:京都大学大学院経済学研究科教授の中林純とともに入札データのみを用い、盗聴などの直接的な証拠に依存せずにカルテル(談合)を識別する手法を開発した[3]
    • Kawai and Nakabayashi (2022) では、日本の公共工事入札における「再入札」データに着目した。談合が存在する場合、再入札において「1位不動」現象が高頻度で発生する一方、競争的であれば逆転可能な状況でも逆転を試みないという、非協力ゲームの利潤最大化とは整合しない行動パターンを特定した[3]。この研究は第7回宮澤健一記念賞を受賞した[4]
    • Chassang, Nakabayashi, and Ortner (2022) では、入札価格の操作(Bid Rotation)や現職優位のパターンを利用した堅牢な談合スクリーニング手法を提案している[1]
  • 政治経済学(候補者の質の推定):Kawai and Sunada (2025) では、選挙における候補者の「Valence(有権者に好まれる基礎的な質・能力)」を推定する新しい手法を提案した。企業の生産性推定(Production Function Estimation)で用いられる動学モデルを選挙の得票率分析に応用することで、選挙活動費用の内生性を克服し、候補者の質を識別することに成功した[3]
  • 金融市場におけるシグナリング:Kawai, Onishi, and Uetake (2022) では、オンラインのP2Pレンディング市場を分析した。借り手が提示する「予約金利(上限金利)」が、その借り手の信用度(デフォルトリスク)を示すシグナルとして機能していることをモデル化し、実証的に示した。また、情報の非対称性による厚生損失が、このシグナリングによって大幅に回復されることを明らかにした[3]

受賞

主な著作

脚注・出典

外部リンク

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