三科
世界を在らしめる五蘊・十二処・十八界の三範疇
From Wikipedia, the free encyclopedia
三科(さんか)とは部派仏教における、世界を在らしめる一切法(梵: sarva-dharma)を三範疇に分類したものであり、五蘊(五陰)・十二処・十八界で構成される[1]。蘊・処・界、または陰・界・入と略すこともある[2]。また、六根・六境・六識の三範疇をいうこともある。
一切法は、下記の五蘊の一つの蘊、十二処の一つの処、十八界の一つの界とにおさまる[3]。およそ法はそれぞれの自性を保持するものであるから、ある法がそれと別個な自性をもつ他の法の中におさまるということは決して無い[3]。諸法を五蘊、十二処、十八界と説くのは、衆生(有情)の愚かさ、あるいは資質、あるいは希求するところに3通りがあるから、それらの各々に応ずるためとされる[3]。
また、原始仏典においては、我々の全経験領域をさしてこれらを一切(梵: sarvam、我々の全経験領域)と呼ぶものの、「我がある」とは明言されず、しかもそのどれもが無常であり、苦であり、非我であり、それらを厭離し離欲すれば解脱して悟るといわれる[5]。
五蘊
十二処
十二処(じゅうにしょ)または十二入(「処」は梵: āyatana) - 12の知覚を生じる場。六根、六境[6]。 後に「処」の字をつけて呼ぶこともある。「処」とは、阿毘達磨倶舎論においては、心と心作用(心所)の生じてくる門(生門(しょうもん))のこと[3]。
六根、六境(、後述の六界)の順序は、現在の法を対象とするものを先にし、四大種によって作られた色(所造色)のみを対象とする眼、耳、鼻、舌を先にし、より遠い対象に作用するものを先にし(眼、耳の順)、より速やかに明らかに作用するものを先とし(鼻、舌の順)、あるいは感覚器官の位置の高いほど先とし(眼、耳、鼻、舌の順で、身は多くの部分がこの下にあるからこれらの次とし、意はとどまる場所がないから最後となる)[18]。
十八界
十二処・十八界の表
十二処・十八界については下表のとおり[4][21][22][23]。
| 十二処 | |
|---|---|
| 六根 | 六境 |
| 眼(げん)(眼根(げんこん)、眼処(げんしょ)) | 色(しき)(色境(しききょう)、色処(しきしょ)) |
| 耳(に)(耳根(にこん)、耳処(にしょ)) | 声(しょう)(声境(しょうきょう)、声処(しょうしょ)) |
| 鼻(び)(鼻根(びこん)、鼻処(びしょ)) | 香(こう) (香境(こうきょう)、香処(こうしょ)) |
| 舌(ぜつ)(舌根(ぜっこん)、舌処(ぜっしょ)) | 味(み)(味境(みきょう)、味処(みしょ)) |
| 身(しん) (身根(しんこん)、身処(しんしょ)) | 触(そく) (触境(そっきょう)、触処(そくしょ)) |
| 意(い)(意根(いこん)、意処(いしょ)) | 法(ほう)(法境(ほうきょう)、法処(ほっしょ)) |
| 十八界 | ||
|---|---|---|
| 眼界(げんかい) | 色界(しきかい) | 眼識界(げんしきかい)(眼識(げんしき)) |
| 耳界(にかい) | 声界(しょうかい) | 耳識界(にしきかい)(耳識(にしき)) |
| 鼻界(びかい) | 香界(こうかい) | 鼻識界(びしきかい)(鼻識(びしき)) |
| 舌界(ぜっかい) | 味界(みかい) | 舌識界(ぜっしきかい)(舌識(ぜっしき)) |
| 身界(しんかい) | 触界(そくかい) | 身識界(しんしきかい)(身識(しんしき)) |
| 意界(いかい) | 法界(ほっかい) | 意識界(いしきかい)(意識(いしき)) |
心・意・識の同義
その他
- さらに経典によっては、下記を加える[26]。
- 六識身(ろくしきしん、過去の記憶) - 眼識身・耳識身・鼻識身・舌識身・身識身・意識身
- 六触身(ろくそくしん、外界との接触) - 眼触身・耳触身・鼻触身・舌触身・身触身・意触身
- 六受身(ろくじゅしん、六觸所生受身/六觸因縁生受[27]、外界との接触により生じる判断) - 眼受身・耳受身・鼻受身・舌受身・身受身・意受身
- 六想身(ろくそうしん、六觸所生想身、外界との接触により生じる知覚) - 色想身・聲想身・香想身・味想身・觸想身・法想身
- 六思身(ろくししん、六觸所生思身、外界との接触により生じる思い) - 色思身・聲思身・香思身・味思身・觸思身・法思身
- 六愛身(ろくあいしん、六觸所生愛身、外界との接触により生じる愛着) - 色愛身・声愛身・香愛身・味愛身・所触愛身・法愛身
- 自らの存在が他のものが同時・同所に生起することを妨げ、同一空間内で他と抵触するもののことを有対といい、十色界(五根および五境)は有対である[28]。