佐藤文隆
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| 生誕 |
1938年3月23日[1] |
|---|---|
| 死没 |
2025年9月14日(87歳没) (京都大学医学部附属病院) 細菌性肺炎 |
| 研究分野 | 宇宙論・相対性理論 |
| 研究機関 | 京都大学、甲南大学 |
| 出身校 | 京都大学 |
| 博士課程指導教員 | 林忠四郎[2][3] |
| 博士課程指導学生 |
佐々木節[2][3] 郷田直輝[2][3] |
| 主な業績 | トミマツ・サトウ解の発見 |
| 主な受賞歴 |
仁科記念賞(1973年) 紫綬褒章(1999年) 瑞宝中綬章(2013年) |
| プロジェクト:人物伝 | |
佐藤 文隆(さとう ふみたか、1938年〈昭和13年〉3月23日[1] - 2025年〈令和7年〉9月14日)は、日本の物理学者(宇宙物理学)・理論物理学者。専門は、宇宙論・相対性理論。学位は、理学博士(論文博士・京都大学)(学位論文 「General relativistic instability of the supermassive stars(超大質量星の一般相対論的不安定性)」)。京都大学名誉教授。
1938年(昭和13年)3月23日、佐藤茂吉・かね夫妻の三男として山形県西置賜郡鮎貝村(現・白鷹町)に生まれる[1]。兄弟姉妹は兄2人、姉4人、妹1人がいる[1]。父・茂吉は製材所を経営していた[1]。
小学校6年生の時に湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞、湯川ブームが起きたのがきっかけで湯川に憧れるようになる[4]。中学卒業後は山形県立長井高等学校に進学し[5]、この頃から勉強が面白く感じられるようになったという[5]。だが、帰宅して勉強しようとすると「勉強をさせるために学校にいかせてやっているのに、家に帰ってまで勉強するとは何ごとだ」と叱られ、家業の手伝いをさせられたため、家では親に隠れて勉強していた[6]。当時の長井高校では大学に進学する生徒は学年中の1〜2割で、成績が良ければ東北大学に、そうでなければ山形大学に進学するのが普通だったが、大卒の会社員と結婚して東京で生活していた姉たちの助言もあり、東京大学か京都大学を受験しようと考えた。それなら、湯川が教授を務める京都大学理学部物理学科に進学しようと考え、受験し合格[7]。
学部生時代は統計力学の研究室に所属し、大学院に進学して林忠四郎が教授を務める核エネルギー学研究室(現:天体核研究室)に所属した[2][8]。
核エネルギー学研究室で宇宙物理学・天文学を学び[9]、1964年に林の指示により大学院博士課程の学生のまま核エネルギー学研究室の助手に就任。同時期に物理学科の事務職員と結婚[10]。1965年、博士課程を満期退学。超重量星の一般相対性理論による不安定性の問題を学位論文のテーマに選び、1966年(昭和41年)「超大質量星の一般相対論的不安定性」で京都大学より理学博士の学位を授与された[11]。
1971年(昭和46年)、京都大学基礎物理学研究所助教授に就任[12]。1973年(昭和48年)9月、ワルシャワで開催された国際天文学連合総会に出席するためポーランドに渡る[13]。国際天文学連合総会出席後はクラクフに赴き、重力崩壊のシンポジウムに参加[13]、さらにベルギーのブリュッセルで開催されたソルベー会議に参加[14]。その後、大西洋を渡り、妻と2人の子供と合流し、アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレーに向かう。カリフォルニア大学バークレー校の物理教室で研究に従事した[15]。
バークレー滞在中の1974年(昭和49年)4月、京大基礎物理学研究所教授に就任[16]。同年夏、家族を連れて日本に帰国[16]。
1976年(昭和51年)4月1日、京大基礎物理学研究所の第3代所長に就任[17][18]。1980年(昭和55年)3月31日に退任するまで所長を務めた[17][18]。
1986年(昭和61年)、林の退官後空席になっていた天体核研究室の教授に就任[19]。
2001年(平成13年)3月、京都大学を定年退官[20]、甲南大学教授に就任。2014年(平成26年)3月、甲南大学教授を退職。
2025年(令和7年)9月14日0時56分、細菌性肺炎のため京都大学医学部附属病院で死去した[21][22]。87歳没。死没日付で正四位に叙された[23]。
人物
業績
- 1972年 - 「宇宙線の最高エネルギーと相対性理論の破れ」
- 1973年 - 冨松彰とともに、アインシュタイン方程式におけるトミマツ・サトウ解を発見した[24]。この業績により冨松とともに仁科記念賞を受賞。この解は裸の特異点の存在を示唆していて、今日では数学的産物だとされている。
- 一貫して、相対性理論・宇宙物理学の研究を行う。
- 京都大学基礎物理学研究所所長時代、湯川秀樹を記念する、湯川記念財団の依頼により、湯川選集をまとめる。
- 西宮湯川記念賞の設立にも参加する。
- 中学生・高校生を対象とした理科教育にも熱心に取り組み、きっづ光科学館ふぉとん(京都府木津川市)の名誉館長も務めた。
- 一番の課題は、「最高エネルギー宇宙線によって生じる物理現象」を捉えることであり、JEM-EUSOの研究者にも名を連ねている。
弟子
受賞・栄典
著作
単著
- 『星の進化』(共立出版、1978年)
- 『宇宙の創成』(紀伊國屋書店、1979年)
- 『アインシュタインのたまご』(朝日新聞社、1979年)
- 『宇宙こうして捕らえた』(創元社、1981年)
- 『現代の宇宙論』(小学館、1981年)
- 『僕がアインシュタインになる日』(朝日出版社、1981年)
- 『相対論と宇宙論』(サイエンス社、1981年)
- 『アインシュタインが考えたこと』(岩波ジュニア新書、1981年)
- 『ビッグバンの発見』(日本放送出版協会:NHKブックス、1983年)
- 『ビッグバン』(講談社ブルーバックス、1984年)
- 『宇宙のしくみ』(ポプラ社、1984年、朝日文庫、2011年)
- 『湯川秀樹が考えたこと』(岩波ジュニア新書、1985年)
- 『星と宇宙の科学』(新潮文庫、1985年)
- 『宇宙論と統一理論の展開』(岩波書店、1987年)
- 『宇宙論への招待』(岩波新書、1988年)
- 『宇宙と星の基礎知識・ブラックホールとはなんですか』(講談社、1989年)
- 『宇宙のはじまり』(岩波書店、1989年)
- 『現代の宇宙像・概観』(培風館、1991年)
- 『量子宇宙をのぞく』(講談社ブルーバックス、1991年)
- 『アインシュタインの宇宙』(朝日文庫、1992年)
- 『宇宙のしくみとエネルギー』(朝日文庫、1993年)
- 『科学と幸福』(岩波書店、1995年、岩波現代文庫、2000年)
- 『現代の宇宙像』(講談社学術文庫、1997年)
- 『量子力学のイデオロギー』(青土社、1997年、増補版2011年)
- 『知を創造する—新世紀の大学とは』(岩波書店、1998年)
- 『火星の夕焼けはなぜ青い』(岩波書店、1999年)
- 『物理学の世紀—アインシュタインの夢は報われるか』(集英社、1999年/講談社学術文庫、2024年)
- 『科学者の将来』(岩波書店、2001年)
- 『宇宙を顕微鏡で見る』(岩波現代文庫、2001年)
- 『宇宙物理への道—宇宙線・ブラックホール・ビッグバン』(岩波書店、2002年)
- 『孤独になったアインシュタイン』(岩波書店、2004年)
- 『雲はなぜ落ちてこないのか』(岩波書店、2005年)
- 『異色と意外の科学者列伝』(岩波書店:岩波科学ライブラリー、2007年)
- 『破られた対称性』(PHP研究所:サイエンス・ワールド新書、2009年)
- 『夏はなぜ暑いのか』(岩波書店、2009年)
- 『アインシュタインの反乱と量子コンピュータ』(京都大学学術出版会:学術選書、2009年)
- 『職業としての科学』(岩波新書、2011年)
- 『量子力学は世界を記述できるか』(青土社、2011年)
- 『破られた対称性 素粒子と宇宙の法則』(PHP研究所:サイエンス・ワールド新書、2014年)
- 『科学者には世界がこう見える』(青土社、2014年)
- 『科学者、あたりまえを疑う』(青土社、2016年)
- 『歴史のなかの科学』(青土社、2017年)
- 『佐藤文隆先生の量子論』(講談社ブルーバックス、2017年)
- 『量子力学が描く希望の世界』(青土社、2018年)
- 『ある物理学者の回想 湯川秀樹と長い戦後日本』(青土社、2019年)
- 『「メカニクス」の科学論』(青土社、2020年)
- 『転換期の科学 「パッケージ」から「バラ売り」へ』(青土社、2022年)
- 『量子力学の100年』(青土社、2024年)
共著
- 『相対論的宇宙論』(松田卓也との共著、講談社ブルーバックス、1974年)
- 『僕がアインシュタインになる日: 相対性理論講義』(光瀬龍との共著、朝日出版社(レクチュア・ブックス)、1981年)
- 『現代天文学事典』(講談社ブルーバックス、1983年)
- 『新しい宇宙の探究』(岩波書店、1990年)
- 『宇宙物理学』(現代物理学叢書)(岩波書店、2001年)現代の物理学シリーズより再刊
- 『波のしくみ』(松下泰雄との共著、講談社ブルーバックス、2007年)
編著
- 『湯川秀樹著作集』(岩波書店、1989年)
訳書
- 『ブラックホール』(R.ルフィーニ著、中央公論社、自然選書、1976年)
- 『天文学』(J.トンプソン著、共立出版、1978年)
- 『タイム・ワープ』(ジョン・グリビン著、講談社ブルーバックス、1981年)
- 『接近する宇宙』(G.B.フィールズ著、サイエンス社、1984年)
- 『進化する宇宙』(G.B.フィールズ著、サイエンス社、1989年)
- 『宇宙のはじまり』(方励之著、講談社ブルーバックス、1990年)
- 『宇宙の暗闇ダークマター』(ジョン・グリビン著、講談社ブルーバックス、1992年)
博士論文
- 『General relativistic instability of the supermassive stars(超大質量星の一般相対論的不安定性)』(京都大学・乙第652号、昭和41年3月23日授与、https://doi.org/10.14989/doctor.r652)