化学エネルギー
From Wikipedia, the free encyclopedia


化学エネルギー(かがくエネルギー、英: chemical energy)とは、化学物質の形でエネルギー担体[注釈 1]に蓄積され、化学物質が化学反応を起こして他の物質に変化するときに放出されるエネルギーである[1]。この用語の由来は、1893年に出版されたヴィルヘルム・オストヴァルトの教科書「Chemische Energie(化学エネルギー)」の中で、「化学および内部エネルギー」という用語で、他の形態のエネルギー(機械エネルギー、熱、電気および磁気エネルギー、放射エネルギー)と共に説明されたことに基づく[2]。
化学エネルギーとは、化学反応に影響を与える限りにおいて、原子や分子の電気的な力に関連するエネルギーを巨視的に表現したものである[3]。これは電子の運動エネルギーと、電子と原子核との電磁相互作用的な位置エネルギーに分けることができる[4]。それは、熱エネルギーや原子力エネルギーのような内部エネルギーである[5]。
化学の分野では、「化学エネルギー」という言葉は用いられない。それは、環境条件を指定することで初めて明確に定義されるためであり、それぞれのケースで別の用語が確立されている。
多くの場合、化学エネルギーとは、ある物質が(一定の圧力で)燃焼することによって放出されるエネルギー、すなわち燃焼エンタルピーを意味する。ヘスの法則によって、関連する化合物の生成エンタルピーを正確に定義することで、物質変換におけるエネルギーを計算することができる。同様の用語に、燃焼熱と発熱量があるが、それぞれ燃焼中に利用できる熱量の最大値を示す。
化学エネルギーと結合解離エネルギーとを混同してはならない。結合解離エネルギーは、特定の化学結合の強さを表す。つまり、結合を切断するために分子に供給しなければならないエネルギーの量を示す。
他の自然科学や工学などでは、化学エネルギーという言葉が、曖昧な形で使われることがよくある。物理学の教育者の中には、この用語の使用を批判する人もいるが(たとえば、『この用語は大まかな方向性を示すために便利であるが、厳密に定義しようとすると難解であることがわかる。これは物理の専門用語としては有用であるが、物理の微積分には不必要であり、理解の妨げになる。』)[6]、現在多くの出版物や教科書に掲載されている[7][8][9][10]。

