反革命罪

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反革命罪(はんかくめいざい)とは、ソビエト社会主義共和国連邦中華人民共和国などの共産主義国において制定されていた反革命を犯罪とする刑法犯罪である[1]

最初に「反革命」を犯罪に定めた国は共産主義国の始祖であるソビエト連邦であった。ヨシフ・スターリンによる大粛清の際に乱用され、無数の冤罪を生んだ。一般的な内乱罪に比べて範囲がきわめて広く、「反革命」自体の定義が曖昧であるため、恣意的に運用しやすく共産主義独裁体制が乱用しやすい刑罰である。

1922年刑法典

1922年に制定されたロシア共和国刑法典57条~73条で規定された[1]

同57条において「プロレタリア農民政府(=ソ連政府)を転覆させようとするすべての行為」「国際ブルジョアジー(=資本主義国)の助けになる行為」はすべて反革命と定義され、反革命の目的で政府に抵抗すること、反革命の目的で文書を作成すること、反革命の目的で民衆を扇動すること、反革命の目的をもった団体に参加すること、目的を知っていようといまいと反革命の目的を持った活動をした者を幇助すること、これらはすべて犯罪となると他の各々の条文で定められた[2]。57条は1923年に追加されたもので、政府転覆・破壊または弱体化に向けられた行為、国際ブルジョワの干渉、スパイ、出版融資などによって政府転覆を志向した幇助に向けられた行為、プロレタリア革命の基本的な獲得物に対する侵害が反革命罪とされた[3]

ほか、武装蜂起、権力奪取の試みへの参加(58条)、反革命宣伝・扇動(69,72条)、反革命の目的で権力への不信を喚起し、権力を中傷するような流言飛語もしくは未検証情報の捏造および伝搬(73条)、反革命的目的によるテロリズム(64条)などが反革命罪とされた[3]

1922年5月26日に成立した革命後最初の刑法典で、革命的合目的性の観点から、類推適用(10条)や遡及効是認(施行法3条、法典23条)のような罪刑法定主義を否認する規定も存在した[3]

1926年改正刑法典

1926年の改正された刑法にも反革命は温存され、58条英語版反革命関連の罪がひとまとめにされた。「ソビエト連邦とソビエト連邦加盟国のプロレタリア農民政府を転覆、破壊または弱体化させる行為、対外的な安全を脅かす行為。プロレタリア革命の経済および政治の成果を破壊または弱体化させる行為は反革命とする」と定め、また「プロレタリアの国際連帯に鑑み、ソビエトに加盟していない他のプロレタリア国家に対しても同行為を行った場合はすべて反革命とみなす」と定義した。上の犯罪に加えて反革命の目的で外国の者に会うことも犯罪となった[4]

1936年ソビエト連邦憲法 (スターリン憲法)

モスクワ裁判で知られる連邦検事総長アンドレイ・ヴィシンスキー

1936年ソビエト連邦憲法125条は「勤労者の利益に従い、社会主義体制を強化するために」、市民には言論の自由、出版の自由、集会の自由等が保障されるとされた。したがって、「勤労者の利益に従い、社会主義体制を強化するため」の目的に適合しない表現の自由は保障されないとされた[5]

連邦検事総長アンドレイ・ヴィシンスキーは1938年の憲法教科書で「わが国には、当然のことながら社会主義の敵にとっての言論、出版等の自由は存在しないし、また存在しえない。」とし、社会主義国家の害になるように利用しようとする敵の試みには反革命罪(刑法58-10条:反ソビエト扇動宣伝の罪)が適用されると書いた[5]

1960年刑法典

1950年代のスターリン批判以降、1958年制定のソ連邦刑事基本法とその後成立した各共和国刑法典は、反革命罪という用語が捨てられた[1]

1960年に改正されたロシア・ソビエト社会主義共和国連邦刑法においては「反革命」の文字は消え、上のような犯罪は「国事犯罪」に分類された。しかし「反革命」の文字が消えただけで実態はあまりかわらず、反ソビエト団体に加入すること、反ソビエト扇動をすること、ソビエト国家を破壊する行為、ソビエト国家を弱体化させる行為、祖国への裏切り、スパイ行為、テロ行為、他のプロレタリアート国家に対する同行為などは引き続き犯罪となるとされたままだった[6]

新法典に規定された「とくに危険な国家犯罪」(ロシア共和国刑法典64条~73条)、1966年に拡充された行政秩序違反罪の規定(同法典190条の1~3)は、反体制派知識人に適用された[1]

中華人民共和国の反革命罪

1980年に施行された中華人民共和国刑法において規定されていた罪状である。中華人民共和国刑法の任務が刑罰によってあらゆる反革命その他の刑事犯罪行為と闘争することであったことから、反革命罪中国において重要な犯罪であった。この反革命罪は、1997年の刑法改正に伴って国家安全危害罪(国家危害の罪*略称)と名称変更されたが、反革命罪の用語の削除や犯罪要件の記述の変化や罪種配置の変更などに限られるものであって、その本質は変わらないという。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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