名探偵のままでいて
From Wikipedia, the free encyclopedia
| 名探偵のままでいて Stay being The great private detective | ||
|---|---|---|
| 著者 | 小西マサテル | |
| 発行日 | 2023年1月7日 | |
| 発行元 | 宝島社 | |
| ジャンル | ミステリ小説 | |
| 国 |
| |
| 言語 | 日本語 | |
| 次作 | 名探偵じゃなくても | |
| 公式サイト | tkj.jp/ | |
| コード | ISBN 978-4-299-03763-3 | |
|
| ||
| ||
『名探偵のままでいて』(めいたんていのままでいて)は、小西マサテルによる日本の推理小説。連作ミステリー短編集。第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。『名探偵のままでいて』シリーズ第1作。
認知症を患うミステリマニアの祖父と、その孫娘が日常の謎や事件に向き合う姿を描いた連作ミステリ作品[ch 1][ch 2][ch 3][ch 4][ch 5][ch 6]。
宝島社主催の第21回『このミステリーがすごい!』大賞において『物語は紫煙の彼方に』のタイトルで大賞を受賞後、加筆修正のうえ『名探偵のままでいて』に改題され2023年1月7日に同社より単行本が刊行された[1]。2024年4月3日には宝島社文庫より文庫版が刊行された[2]。
本作には古典ミステリ作品へのオマージュがちりばめられており、ミステリマニアをそそらせる趣向が凝らされている[3]。
所謂、安楽椅子探偵様式のミステリー作品で、タイトルの「名探偵のままでいて」は、かつて優れた推理力を誇った祖父が、病によって記憶を失いながらも名探偵であり続けてほしいという孫娘の願いが象徴されている。
2023年12月8日には続編となるシリーズ第2作『名探偵じゃなくても』が宝島社より刊行された[4]。
2026年にテレビドラマ化の予定[5]。
制作背景
著者である小西マサテルは幼少期より読書に親しみ、特に少年探偵団やシャーロック・ホームズといった王道ミステリー作品に強い影響を受けた[1]。名探偵という存在に憧れ、実際に探偵事務所へ弟子入りを志願する電話をかけるなど、その関心は早くから顕著であった[1]。中学以降はアガサ・クリスティ、エラリー・クイーン、ジョン・ディクスン・カーら、いわゆる本格ミステリの「御三家」に傾倒し、古典的ミステリーの系譜の中で作家としての素地を形成した[1]。
本作執筆の直接的契機の一つとして、父親がレビー小体型認知症を患ったことが挙げられる[1]。幻視などの症状を持ちながらも理知的な一面を保つ父との交流を通じて、この疾患に対する社会的理解の不足を痛感し、それを作品として発信したいという動機が生まれた[1]。また、ミステリー執筆を決意した背景には、知人であるラジオ・ディレクターの志駕晃が『スマホを落としただけなのに』で成功を収めたことによる刺激もあった[1]。
本作は鮎川哲也賞の最終候補作[注 1]を大幅改稿した作品であり[6]、構成を担当するラジオ番組『ナインティナインのオールナイトニッポン』の出演者である岡村隆史から受けた投稿前の原稿への助言と評価を参考に、作品の完成度を高めたと回想している[1]。
本作では認知症を患う祖父に固有名を与えず、単に「祖父」と呼ぶ普遍的存在として描くことで、読者が自身の身近な人物を重ね合わせられるよう意図されている[1]。また、近年否定的な文脈で用いられる「老害」という言葉への反発から、高齢者への敬意を再認識させる主題も込められている[1]。こうした個人的体験と社会的問題意識、そして古典ミステリーへの憧憬が融合することで、本作の独自の作風が形成された[1]。
あらすじ
- 第一章 緋色の脳細胞
- レビー小体型認知症の影響で見る幻視を現実として語る祖父に、孫娘の楓は話を合わせて接してきた。しかし、幻視の話を繰り返す祖父に、楓は違和感を覚え始める。
- そんな折、楓のもとにネット書店で購入した故・瀬戸川猛資による評論集の絶版本が届く。何気なくページをめくると、本には瀬戸川の訃報記事の切り抜きが4枚挟まれていた。
- それから3日後、碑文谷にある祖父の自宅を訪ねた楓は、祖父の調子が良く、認知症の症状も見られなかったことから、意を決して違和感の正体を探る質問を祖父にぶつける。
- やがて衝撃の事実を知った楓は、持参していた瀬戸川の絶版本に訃報記事が挟まれていた理由について、祖父の仮説を物語として語ってほしいと願い出る。
- 第二章 居酒屋の"密室”
- 楓は同僚教師の岩田から、祖父が行きつけにしていた割烹居酒屋で起きた殺人事件に、彼の高校時代の後輩が遭遇していたと教えられる。
- 楓は岩田とともに彼の後輩・四季とイタリアン・バールで合流する。四季は内側から施錠された店内の男性トイレの中に、背中をナイフで刺された男を発見したという。
- 事件当時、店内の客はサッカー日本代表の試合に夢中で、客は誰もトイレに近づいておらず、犯人の目撃者もいなかった。そのため、この事件は密室殺人とみなされていた。
- 楓はスマートフォンのボイスメモに録音した四季の証言を祖父に聞かせ、この不可解な密室殺人の真相を解く物語を紡いでほしいと依頼する。
- 第三章 プールの"人間消失”
- 3年ぶりに大学の同級生たちとのランチ会に出席した楓は、小学校の教師となった美咲から、ミステリー好きを見込まれ、後輩教師の失踪事件について相談を受ける。
- 美咲が「マドンナ先生」と呼ぶその女性教師は、プールの授業を終え児童を上がらせた後、プールに飛び込む音が聞こえたのを最後に姿を消し、行方不明となっていた。
- 失踪当日、警察が女性教師を捜索するも目撃証言や防犯カメラにも姿が確認されず、女性教師の父親が捜索願を出さなかったことからその後の捜索は打ち切られたという。
- 楓は美咲の証言をもとに推理を試みるものの、有力な手がかりを見出せず、ボイスメモに録音した彼女の証言を祖父に聞かせ、真相を解き明かしてほしいと相談する。
- 第四章 33人いる!
- 楓は祖父が幻視を見ているとヘルパーから連絡を受け、下水道工事で近隣の幼稚園から園児の声が聞こえなくなり、子ども好きな祖父がストレスで症状を悪化させたのだと考える。
- 楓は、子どもとミステリーが好きな祖父を元気づけるため、半年前に担任した6年生の英会話の授業で、クラス委員の男子が語った「怖い話」をきっかけに起きた出来事を語る。
- クラス委員の男子は教室に女の子の幽霊が出ると言って生徒たちを怖がらせるが、その後、男女ペアが英会話を練習中に「さみしい」と女の子の声を聞いたと主張し、騒然となる。
- 楓は教室に現れた幽霊の正体を推理するよう祖父に促すと、祖父は楓に煙草を1本ねだり、紫煙をくゆらせ仮説という名の物語を静かに語り始める。
- 第五章 まぼろしの女
- 楓は3週間後の小学校でのマラソン大会の見守り役に備え、電車を乗り継いで岩田が土曜の朝にランニングしているという河川敷の遊歩道で、岩田とともにトレーニングを行う。
- 楓はランニング中に岩田が顔見知りの人々とすれ違うたびにあいさつを交わす様子から、彼がこの場所と人のつながりを大切にしている理由を次第に理解し始める。
- しかし1週間後、岩田は遊歩道でランニング中に若者が中年男性にナイフで刺される場面を目撃し、若者を介抱するが犯人と誤認され、警察に拘束されてしまう。
- 楓と四季は留置所で監視の目をかいくぐり、岩田から一部始終を目撃していたウォーキングする女性がいたと訊き出し遊歩道で捜索するが、誰もその女性を知らないという。
- 違和感を抱いた楓は祖父にウォーキングする女性の正体と、警察へ目撃証言もせず、救急車も呼ばずにその場を立ち去った不可解な行動の推理を依頼する。
- 終章 ストーカーの謎
- 楓は数か月前から毎日のように無言電話を受け続け、マラソン大会のトレーニングを始めた1か月ほど前からは、何者かに尾行されている気配も感じるようになっていた。
- そんな中、岩田の釈放と彼のクラスのマラソン大会優勝を祝い、岩田のアパートで飲み会が開かれる。楓と四季が参加するが、食材の買い出しに男性陣が出かけ、楓は一人残される。
- すると公衆電話から楓のスマートフォンに着信があり、電話に出た楓は、機械で加工したような音声で「準備はすべて整ったんで、もう安心してください。」と告げられる。
- 楓がマンションに帰宅すると玄関に黒バラのブーケが吊るされてあり、自宅で眠る気になれず美咲の家に泊めてもらうが、彼女は何も訊かずワインを勧め受け入れてくれる。
- 翌朝、祖父の体調確認と、ストーカーの件の相談で楓は碑文谷の祖父宅を訪れる。しかし玄関の前で背後から何者かに抱きすくめられ、助けを叫ぶ間もなく意識を失ってしまう。
登場人物
主要人物
- 楓(かえで)
- 本作の主人公で視点人物。27歳。小学校の教師。教育学部卒。栗色がかった髪。祖父の薫陶を受け、クラシカルな海外ミステリ好きのミステリマニアとして育つ。
- 暇を見つけては認知症を患う祖父の世話をするため弘明寺の自宅マンションから通い、日常生活で出会った謎や事件の話題を持ち込み、推理を依頼する。
- 祖父
- 楓の祖父。71歳。元小学校の校長。ミステリマニアで聡明な人物だがレビー小体型認知症(DLB)を患い、時折、幻視を現実として受け入れる。
- しかし楓にフランスの煙草ゴロワーズをねだり、紫煙をくゆらせるとかつての切れを取り戻し、楓が持ち込む謎に対し、仮説という名の物語(推理)を紡ぎ出す。
- 岩田(いわた) / ガンちゃん
- 楓と同じ小学校に勤める同期の男性教師[ch 2][ch 3][ch 5][ch 6]。27歳。天然パーマに骨太な体躯ながら『クッキングパパ』の愛読者で、料理とスイーツ作りが趣味。
- 人懐っこさから教え子たちにはすこぶる好かれているが、好意を寄せる楓にはその想いを気づかれながらも距離を縮められずにいる。
- 肉親や親類がいない天涯孤独の身で、児童養護施設出身。
- 四季(しき)
- 小劇団「あおこーなー」の座長[ch 2][ch 3][ch 5][ch 6]。25歳。ワンレングスの売れない男性劇団員。高校時代は野球部のピッチャーで、先輩でキャッチャーの岩田とバッテリーを組んでいた。
- ミステリマニアで日本人作家の作品を評価する一方、楓が好きなクラシカルな海外ミステリは舞台やキャラ設定の古さ、あらすじがパターン化されていると評価していない。
- 美咲(みさき)
- 楓の大学教育学部時代からの友人[ch 3][ch 6]。楓と同じく小学校教師で、楓の祖父が校長を務めていた小学校に勤務している。
- なんでもテキパキこなせるタイプでメモ魔。自分の八重歯がお気に入りで、両親から歯の矯正を勧められても頑なに断り続けている。
- 香苗(かなえ)
- 楓の母親(祖父の娘)[ch 1][ch 5][ch 6]。DLB患者の祖父を介護するため、折を見て碑文谷にある実家を訪れているが、楓とはいつも入れ違いとなる。
第一章 緋色の脳細胞
- 瀬戸川猛資
- ミステリ・映画評論家[ch 1]。大学時代に祖父が所属していたワセダミステリクラブの主要メンバーで、祖父の先輩。
第二章 居酒屋の"密室”
- タトゥーの男
- 割烹居酒屋「はる乃」の施錠された男性トイレの中で背中をナイフで刺された遺体が発見された、スキンヘッドにタトゥーを入れた中年男性[ch 2]。
- 女将
- 「はる乃」の女将[ch 2]。ラフなジーンズ姿の、四十絡みの肌がきれいな明るい女性。店を一人で切り盛りする。
- 常連客だった祖父が来店すると、家庭教師をお願いして数学や英語の勉強を質問し、高卒認定試験に合格している。
- H
- 四季の劇団仲間の男性[ch 2]。四季がタトゥーの男を男性トイレで発見する直前にトイレから戻ってきている。
- 四季が「トイレ空いてた?」と尋ねると「あぁ、どうぞ。空いてるよ」と答えていたが、警察には証言を拒否したため連行されてしまう。
- 親バカさん
- 祖父のパーキンソン症状のリハビリをサポートする言語聴覚士[ch 2][ch 6]。祖父のことを彼の渾名である「碑文谷さん」と呼ぶ。
- 会話の中に自分の娘をよく登場させることから、祖父からは「親バカさん」と呼ばれている。還暦過ぎで心臓を患っている。
第三章 プールの"人間消失”
- マドンナ先生
- 美咲の勤める小学校の後輩女性教師[ch 2]。美咲曰く「昭和の美人」で、男性教師や父兄から注目されている。離島の出身で元水泳部。
- 夏休み前の最後の授業の日、プールの授業が終わると児童たちを上がらせた後に忽然と姿を消し、そのまま行方不明となる。
- 校長
- 美咲が勤務する小学校の校長[ch 3]。花を愛でており、2階にあった校長室を1階の花壇の目の前の部屋に移動させている。
- 学校の窓拭きを行い「まどふき先生」と呼ばれていた楓の祖父の話を聞きつけ、同じように窓拭きを行ったことから「二代目まどふき先生」と呼ばれる。
- ソフトクリーム屋さん
- 祖父のリハビリをサポートする理学療法士の男性[ch 3][ch 5]。実家の家業を手伝い、バニラ・ビーンズの香りがするので祖父に「ソフトクリーム屋さん」と呼ばれる。
- 30代前半とおぼしき短髪でがっちりとした体躯で、海を渡って安打記録を作った野球選手にどこか似ている。
第四章 33人いる!
- おかっぱさん
- 祖父を介護するヘルパーでチーフ格の女性[ch 4][ch 5][ch 6]。40代後半。真横にぱつんと髪を切り揃えており、祖父と楓から親愛の情を込め「おかっぱさん」と呼ばれる。
- ハリー
- 半年前に楓が担任した6年生の教え子[ch 4]。クラス委員。正義感だがいたずら好きなメガネの男の子で、『ハリーポッター』になぞらえ、楓は「ハリー」と仮名をつける。
- ロン
- 楓の教え子[ch 4]。ハリーのクラスメイト。気は弱いがお人好しでそばかすが可愛い男の子で、『ハリーポッター』になぞらえ、楓は「ロン」と仮名をつける。
- ハーマイオニー
- 楓の教え子[ch 4]。ハリーのクラスメイト。勝ち気だが男子から絶大な人気を誇る女の子で、『ハリーポッター』になぞらえ、楓は「ハーマイオニー」と仮名をつける。
第五章 まぼろしの女
- ウォーキングママ
- 岩田がランニングする河川敷の遊歩道ですれ違う、ウォーキングする30代半ばのパーカー姿の女性[ch 5]。緑色のキャラクターが描かれたハンドタオルに飲み物を包んでいる。
- 雨の中、ナイフで刺された若い男性を岩田が介抱する一部始終を目撃していたが、救急車も呼ばずにその場を立ち去ってしまい、岩田は容疑者として警察に連行されてしまう。
- 老夫婦
- 岩田がランニングする河川敷の遊歩道ですれ違う、アイリッシュ・セッターを散歩させる品のよさそうな老夫婦[ch 5]。
- 楓がウォーキングママの目撃情報を聞き出そうとするが、そのような女性は見たことがないと証言する。
- 男性ランナー
- 岩田がランニングする河川敷の遊歩道ですれ違うトラックジャケットにレギンス姿の本格的な男性ランナー[ch 5]。老夫婦と同じく、ウォーキングママを見たことがないと証言する。
- 留置管理係
- 岩田が拘留されている留置所の管理係[ch 5]。岩田との面会に現れた楓と四季が証拠隠滅を図らぬよう、事件の話をしないように監視の目を光らせる。
- 楓の父親
- 楓が中学生のころに癌の再発で亡くなった彼女の父親[ch 5]。楓が生まれる前に癌に罹患し、入院した病院の看護師だった香苗と出会い、彼女と結婚する。
終章 ストーカーの謎
- ストーカー
- 楓を1か月前からストーキングする謎の人物[ch 6]。公衆電話から楓のスマートフォンに電話をかけ機械で加工した音声で「準備はすべて整ったんで、もう安心してください。」と告げる。
- やがて楓の自宅マンションの玄関に黒バラのブーケを吊すなど、行動がエスカレートしていく。
作中に登場するミステリ作品
作中には古典ミステリ小説を中心にSFやテレビドラマなどが取り上げられており、各章のタイトルのモチーフや、ストーリーの形式としてオマージュされている。
- ガストン・ルルー『黄色い部屋の秘密』[ch 1]
- G・K・チェスタトン『ブラウン神父の童心』収録「奇妙な足音」[ch 1]
- 江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』[ch 1]
- エルキュール・ポアロ の名セリフ「灰色の脳細胞」[ch 1]
- ハリイ・ケメルマン『九マイルは遠すぎる』[ch 1][ch 3]
- ジャック・フィニイ『クィーン・メリー号襲撃』[ch 2] - SF作品
- ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』収録「たんぽぽ娘」[ch 2] - SF作品
- ディクスン・カー『四つの凶器』[ch 2]
- アガサ・クリスティ『ポケットにライ麦を』[ch 2]
- アガサ・クリスティ『死が最後にやってくる』[ch 2]
- 江戸川乱歩『カー問答』[ch 2] - エッセイ
- J・K・ローリング『ハリーポッター』シリーズ[ch 4] - ファンタジー作品
- 萩尾望都『11人いる!』[ch 4] - SF漫画
- 横溝正史『獄門島』[ch 4]
- W・W・ジェイコブズ『猿の手』[ch 4]
- ヒラリー・ウォー『事件当夜は雨』[ch 5]
- ヒラリー・ウォー『失踪当時の服装は』[ch 5]
- ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』[ch 5]
- ディクスン・カー『B13号船室』[ch 5]
- 三谷幸喜『古畑任三郎』「古畑、風邪をひく」[ch 5] - テレビドラマ
- F・R・ストックトン『女か虎か?』The Lady, or the Tiger? [ch 6]
- ジャック・モフェット『女と虎と』[ch 6]
- 加田伶太郎『女か西瓜か?』[ch 6]
- 生島治郎『男か?熊か?』[ch 6]
- E・A・ポオ『モルグ街の殺人』[ch 6]
書誌情報
- 単行本:2023年1月7日発売[1]、宝島社、ISBN 978-4-299-04568-3
- 文庫本:2024年4月3日発売[2]、宝島社文庫、ISBN 978-4-299-05298-8
- 第21回「このミステリーがすごい!大賞」受賞時の題名は『物語は紫煙の彼方に』