君のクイズ

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君のクイズ』(きみのクイズ)は、小川哲による日本の長編小説[1]本屋大賞候補、日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)受賞作[2]。のちに漫画、舞台、映画と幅広いメディアミックスがなされている。

著者 小川哲
発行日 2022年10月7日
ジャンル 推理小説・クイズ小説
概要 君のクイズ YOUR OWN QUIZ, 著者 ...
君のクイズ
YOUR OWN QUIZ
著者 小川哲
発行日 2022年10月7日
発行元 朝日新聞出版
ジャンル 推理小説・クイズ小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 192
公式サイト publications.asahi.com
コード ISBN 978-4-02-251837-8
ISBN 978-4-02-265193-8文庫判
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概要

クイズ番組の決勝で、問題が一文字も読まれないうちに対戦相手に正解され敗れた主人公が、その真相を追う推理小説[1]

小説トリッパー』(朝日新聞出版)2022年夏季号に掲載されたのち、2022年10月7日に同社より単行本が刊行された[1]。2025年4月25日に書き下ろしの短編「僕のクイズ」、田村正資(クイズプレイヤー)による解説を収録した朝日文庫版が刊行された[2]

2023年、第76回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞、2023年本屋大賞候補となる[2]

2025年に漫画化、舞台化され、2026年に映画化の予定。

制作背景

本作で競技クイズを題材にする構想は、刊行の4、5年前にさかのぼる[3]。著者の小川はもともとスポーツ小説を書きたいと考えていたが[4]、身体の動きを言葉で表現する難しさを感じていた[3]。そこで、問題文と解答がともに言葉で構成され、早押しという身体性と戦略性も備える競技クイズに着目し、小説との相性の良さを見出した[3][4]

小川自身はクイズ番組の愛好者ではなかったが、知識集団「QuizKnock」の動画をきっかけに競技クイズへの理解を深めた[5]。さらに伊沢拓司の著書『クイズ思考の解体』などを参考にし[6][7]、問題が読まれる一瞬の思考を描ける点で、小説はクイズに適していると考えた[6]。この発想には、山際淳司の『江夏の21球』のストップモーション的手法への着想もあった[8]

物語の核となる「ゼロ文字押し正答」という着想は初期段階から存在した[9]。クイズにおける究極の謎を描く試みであり、読者にも強い印象を与えると考えられた[6]。当初は、クイズに出やすい知識を得る代わりに「クイズに出ない」人生の記憶を失う主人公という構想もあったが[4]、一流プレイヤーへの取材を通じて発想の浅さに気づき、クイズと人生の関係性を軸とする物語へと再構成された[4]。作中には約20問の問題が盛り込まれ、読者が自身の経験と接点のある問題に出会い、「わかる」という感覚を得られることが意図された[10]

執筆にあたっては徳久倫康や田村正資らクイズプレイヤーの協力を得て、問題文や確定ポイントの妥当性について助言を受けた[7][9]。その結果、プレイヤー心理や戦略性を踏まえたリアリティが担保されたという[7]。小川は自身をクイズ界の部外者と位置づけ、特定の立場を裁断するのではなく、クイズ界の多様な思想をフェアに提示することを心がけた[11]。クイズが出題者と解答者のあいだで知を共有する営みであるのと同様に、小説もまた書き手と読み手が世界を共有する行為であるとの思索を基底に据えた[7]

こうして成立した本作は、大きな謎を軸に読者の関心を持続させる構造を備え[7]、競技クイズという題材を通して「知ることの喜び」と人生の肯定を描き出す作品となった[11][12]

あらすじ

君のクイズ
生放送のクイズ番組『Q-1グランプリ』で決勝戦に進出した三島玲央は、1対1形式の早押しクイズで7問先取または3誤答失格というルールのもと優勝に王手をかける。しかし最終局面で対戦相手の本庄絆が一文字も問題が読まれぬうちにボタンを押し、正解を言い当てるという不可解な事態が発生し敗北する。
世間は本庄を「天才の奇跡」と称賛する一方、玲央はそれを受け入れられない。だが本庄は過去にも早押しクイズで「一文字押し」を成功させた伝説を持ち、「世界を頭の中に保存した男」「万物を記憶した男」と呼ばれる存在であった。
玲央は、決勝戦の全問題を再検証し、本庄の経歴、過去の出演番組、周囲の証言を集めていく。やがて、単なるヤラせ疑惑ではなく、クイズという競技の本質――確定ポイント、読ませ押し、ダイブといった戦略と心理の積み重ねの果てに生まれた「到達点」であった可能性に思い至る。
物語は、クイズの技術的分析と並行して、玲央自身のクイズ人生、恋愛、挫折、そして「クイズとは何か」という問いを描き出す。
僕のクイズ
「君のクイズ」の後日譚。中塚はクイズの魅力を広めるために片桐が立ち上げたYouTubeチャンネル「Q to C」の運営に参加することになる。
その実「Q to C」は単なるクイズ発信の場ではなく、視聴者に向けて企業PRを行うことで広告収入を得るという側面を持っていた。
ある日、そのチャンネルに、一般消費者向けではない典型的な「B to B」企業である高岡テックからPR依頼が舞い込む。
チャンネルの方向性と合わない依頼に違和感を覚えた中塚は、高岡テックがなぜPRを依頼したのかという謎を解くため玲央に相談し、真意の解明に乗り出す。

登場人物

主要人物

三島玲央(みしま れお)
本作の主人公で視点人物[ep 1]。25歳。千葉県出身。171センチ。医療系出版社勤務。中高ではクイズ研究部に所属。8歳年上の兄がいる。
第一回『Q-1グランプリ』決勝で優勝目前まで迫るが、本庄の「ゼロ文字押し」での正答により敗北する。
本庄の行為をヤラせと疑いながらも、その回答を導いた合理的説明を求めて独自に検証を始める。
本庄絆(ほんじょう きずな)
東大医学部4年生でテレビタレント[ep 1]。22歳。185センチ。東京都出身。
広辞苑を丸暗記しているとされる超人的記憶力の持ち主。中学2年で気象予報士、高校1年で公認会計士試験に合格。
テレビ番組『超人丸』でノーベル文学賞受賞者を全員書き上げる、クイズ番組『Qのすべて』での「一文字押し」など数々の逸話を持つ。

周辺人物

坂田泰彦
『Q-1グランプリ』総合演出[ep 1]。一流のクイズプレイヤーが最高のプレーを見せる番組として『Q-1グランプリ』を制作する。
本庄のスター性に気づき、『超人丸』『Qのすべて』で彼を起用しテレビタレントとして育てた。
富塚
『Q-1グランプリ』での玲央の準決勝の対戦相手[ep 1]。玲央より8つ年上。日本史を得意とする実力者。決勝戦での本庄のヤラせを疑う。
文庫収録「僕のクイズ」では視点人物として登場[ep 2]。片桐とYouTubeチャンネル「Q to C」を運営し、玲央へも参加を持ち掛ける。
片桐
『Q-1グランプリ』の最年長出場者[ep 1]。35歳。本庄の「ゼロ文字押し」についての説明を番組スタッフに求める。
文庫収録「僕のクイズ」ではYouTubeチャンネル「Q to C」を開設している[ep 2]
水島
『Qのすべて』の問題作成者[ep 1]。第3回から第6回まで担当。富塚の要請で本庄が『Qのすべて』に出場した際の問題を玲央のために提供する。

玲央の関係者

髙橋
玲央が中高時代のクイズ研究部・部長で、先輩[ep 1]。玲央にクイズに勝つためには誤答を恥ずかしいという感情を捨て、リスクを負って押し勝つ「クイズの強さ」が必要と説く。
山田貴樹
玲央が中高時代のクイズ研究部での後輩[ep 1]。番組から「東大首席の男」と紹介され『超人丸』第3回「知能超人決定戦」に出場するが、本庄に敗れる。
中山
玲央の中高時代のクイズ研究部の同期[ep 1]
中塚
京都大学医学部のクイズプレイヤー[ep 1]。『超人丸』の「知能超人決定戦」第1 - 3回出場者。
飯島
玲央の大学時代の友人[ep 1]。クイズ番組『イチヒャク』好きの女性と玲央を飲み会で引き合わせる。
桐崎(きりさき)
刀剣乱舞』ファンの日本刀好きの女性[ep 1]。玲央と交際し、どんな話題にもついていけるキャパがあると豪語する玲央のことを「キャパくん」と呼ぶ。
鹿島
玲央が中高時代のクイズ研究部の同期[ep 1]。失恋後の玲央をクイズ大会に誘う。

絆の関係者

本庄裕翔
絆の弟[ep 1]。国立大学の医学部を目指す礼儀ただしい高校生。柔道部。
兄が中学時代にいじめで不登校となり、図書館で借りた本を読破する生活を送っていた過去を玲央に伝える。

高岡テック

西村
文庫収録「僕のクイズ」に登場する企業「高岡テック」の広告担当[ep 2]。大学生の息子が「Q to C」のファン。

用語

Q-1グランプリ
生放送の早押しクイズ番組。1対1の対戦形式で先行して7問正解したほうの勝利、または3回誤答すると失格となり対戦対手の勝利。優勝賞金1千万円。
Qのすべて
坂田泰彦がプロデューサーを務める早押しクイズ番組。
超人丸
坂田泰彦がプロデューサーを務めた多答クイズ形式のコーナー「知能超人決定戦」を有するテレビ番組。
イチヒャク
1人のクイズプレイヤーが100人の素人相手にクイズ対決をするクイズ番組。
abc
大学4年生以下が対象の実在する短文早押しクイズ大会。出場者数も規模も、優勝で得られる名誉もクイズ会で最大規模。
確定ポイント
早押しクイズの問題文の中でクイズの答えが確定するポイント。
読ませ押し
確定ポイントが聞こえそうなタイミングで相手のプレイヤーに先んじて早押しボタンを押すテクニック。
ダイブ
「読ませ押し」よりもさらに前のタイミングでギャンブルに出て早押しボタンを押すテクニック。
Q to C(クイズ トゥ カスタマー)
文庫収録「僕のクイズ」で、片桐がクイズの楽しさを広めるために開設したYouTubeチャンネル。
その実、チャンネルを閲覧する人に向け企業PRを請け負うことで、広告収入を得ることを目的としている。
チャンネル名は「B to C」をもじって命名されている。
B to C
企業が一般消費者に向けて商品やサービスを提供する取引形態。
B to B
企業同士が商品やサービスを提供する取引形態。
高岡テック
文庫収録「僕のクイズ」に登場する、「Q to C」に企業PRを依頼する典型的なB to B企業。
半導体部品を洗浄するための超純水、超純水の製造装置の販売、レンタル、メンテナンスを行う。

書誌情報

単行本:2018年3月23日発売[1]朝日新聞出版 ISBN 978-4-02-251837-8
文庫本:2025年4月25日発売[2]朝日文庫 ISBN 978-4-02-265193-8
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タイトル初出備考
君のクイズ小説トリッパー』2022年夏季号[13]
僕のクイズ書き下ろし文庫本特典
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受賞・候補歴

ミステリー・ランキング

漫画

Web漫画サイト『OUR FEEL』(祥伝社)にて2025年4月3日から、作画:野田彩子によるコミカライズ版が不定期で連載されている[14][15]。また、クイズプレイヤーである野田によるコミックエッセイ「行きましょうクイズ大会に」も同時連載されている[14]

書誌情報(漫画)

  • 原作:小川哲(朝日新聞出版刊)、漫画:野田彩子 『君のクイズ』 シュークリーム〈OUR FEEL COMICS〉、既刊1巻(2026年5月1日現在)
  1. 2026年5月1日発売[16]ISBN 978-4-868-46016-9

舞台

舞台『君のクイズ』』のタイトルで2025年4月3日から20日まで東京・IMM THEATERで、同年4月25日から27日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演された[17]北川拓実小田将聖のW主演[17]

キャスト(舞台)

スタッフ(舞台)

  • 原作:小川哲『君のクイズ』(朝日文庫 刊)[18]
  • 脚本:大池容子[18]
  • 演出:小林顕作[18]
  • 音楽:遠藤ナオキ(HOVERBOARD,Inc.)[18]
  • 振付:足立夏海[18]
  • 美術:平山正太郎(センターラインアソシエイツ)[18]
  • 照明:平安山良伍(クリエイティブ・アート・スィンク)[18]
  • 音響:中島正人[18]
  • 映像:荒川ヒロキ / 富樫佳奈[18]
  • 衣裳:丁瑩[18]
  • ヘアメイク:水﨑優里(MIG)[18]
  • 演出助手:中村未希 / 鳥居和真[18]
  • 舞台監督:林和宏(H9Plus)[18]
  • 宣伝美術:菅原麻衣子(ycoment)[18]
  • 宣伝写真:金井尭子[18]
  • 宣伝衣裳:丁瑩[18]
  • 宣伝ヘアメイク:平澤七帆(MIG)[18]
  • 票券:波多野彩[18]
  • 制作:内山航 / 羽根有希乃[18]
  • 制作進行:金森優依 / 高村楓(ycoment)[18]
  • ラインプロデューサー:北原ヨリ子(ycoment)[18]
  • プロデューサー:石倉源太[18]
  • 企画・製作 関西テレビ放送[18]

公演日程(舞台)

●:アフタートーク、★: スペシャルカーテンコール[18]
さらに見る 2025年 舞台『君のクイズ』, 公演日 ...
2025年 舞台『君のクイズ』
公演日昼の部夜の部開催都市劇場
2025年4月03日-19:00東京IMM THEATER
4月04日-19:00
4月05日13:0018:00
4月06日13:00-
4月08日-19:00
4月09日14:00-
4月10日14:0019:00
4月11日-19:00
4月12日13:0018:00
4月15日-19:00
4月16日14:00-
4月17日14:0019:00●
4月18日-19:00
4月19日13:0018:00
4月20日13:00★-
4月25日-18:00●大阪COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
4月26日13:0018:00
4月27日12:0017:00★
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映画

概要 映画『君のクイズ』, 監督 ...
映画『君のクイズ』
監督 吉野耕平
脚本 おかざきさとこ
吉野耕平
原作 小川哲
製作 大脇拓郎
谷戸豊
田中誠一
出演者 中村倫也
神木隆之介
森川葵
水沢林太郎
福澤重文
吉住
白宮みずほ
大西利空
坂東工
ユースケ・サンタマリア
堀田真由
ムロツヨシ
音楽 Yaffle
斎木達彦
撮影 神田創
編集 上野聡一
制作会社 ジャンゴフィルム
製作会社 映画『君のクイズ』製作委員会
配給 東宝
公開 日本の旗 2026年5月15日(予定)
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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映画『君のクイズ』』のタイトルで2026年5月15日に公開予定[19]。監督は吉野耕平、主演は中村倫也[19]

当初はワーナー・ブラザース映画(ワーナー ブラザース ジャパン)が配給を担当する予定だったが[20]東宝に変更された[21]

キャスト(映画)

スタッフ(映画)

関連項目

脚注

外部リンク

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