小川哲
日本の小説家
From Wikipedia, the free encyclopedia
小川 哲(おがわ さとし、1986年〈昭和61年〉12月25日 - )は、日本の小説家。千葉県千葉市出身。日本SF作家クラブ会員。妻は漫画家の山本さほ。
小川 哲 (おがわ さとし) | |
|---|---|
|
2022年 | |
| ペンネーム | 小川 哲 |
| 生誕 |
1986年12月25日(39歳) |
| 職業 | 小説家 |
| 言語 | 日本語 |
| 国籍 |
|
| 最終学歴 | 東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退 |
| 活動期間 | 2015年 - |
| ジャンル | SF・時代小説・ミステリ |
| 代表作 |
『ゲームの王国』(2017年) 『嘘と正典』(2019年) 『地図と拳』(2022年) 『君のクイズ』(2022年) |
| 主な受賞歴 |
ハヤカワSFコンテスト大賞(2015年) 日本SF大賞(2018年) 山本周五郎賞(2018年) 銀河賞銀賞(2020年) 星雲賞日本短編部門(2022年) 山田風太郎賞(2022年) 直木三十五賞(2023年) 日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門(2023年) |
| デビュー作 | 『ユートロニカのこちら側』(2015年) |
| 配偶者 | 山本さほ(2023年 - ) |
経歴
千葉大学教育学部附属小学校、千葉大学教育学部附属中学校、渋谷教育学園幕張高等学校[5]から東京大学理科一類を経て[6]同教養学部卒業、同大学院総合文化研究科博士課程中退[7]。博士課程2年時の2015年、投稿作『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテストの大賞を受賞し[8]、作家デビュー。
2018年、カンボジアの現代史を絡めたSF小説『ゲームの王国』で第39回吉川英治文学新人賞候補になり[9]、第38回日本SF大賞と[10]第31回山本周五郎賞[11]をダブル受賞した。
2020年には『嘘と正典』が第162回直木三十五賞の候補作となり[12]、収録された短編小説「魔術師」が、中国の銀河賞銀賞を受賞した(翻訳:丁丁虫)[13]。
2022年、樋口恭介編『異常論文』に収録された短編小説「SF作家の倒し方」(初出は『S-Fマガジン』2021年6月号)で第53回星雲賞日本短編部門を受賞した[14]。同年、『地図と拳』で第13回山田風太郎賞を受賞した[15]。また、第43回日本SF大賞の最終候補にも挙げられた[16]。同作は「このミステリーがすごい! 2023年版」において9位、「ミステリが読みたい! 2023年版」国内編で8位と、ミステリとしても高い評価を得た。2023年1月には同作で第168回直木三十五賞を受賞した[17]。
2023年、前年に発表した『君のクイズ』が第20回本屋大賞(6位)候補となり[18]。第76回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞した[19]。同年、38歳の誕生日である8月1日に漫画家の山本さほと結婚したことをTwitterで発表[20]。
2024年、『君が手にするはずだった黄金について』で第21回本屋大賞(10位)と第41回織田作之助賞の候補となる[21]。
2025年、昨年の元日に石川県で発生した能登半島地震の復興支援として、加藤シゲアキ、今村翔吾らと共にチャリティ小説『あえのがたり』を刊行した[22][23]。作家の印税相当額と書籍の売り上げを能登の復興支援に寄付するとした[22][23]。
人物
大学三年の時に理系から文転し、中上健次や坂口安吾といった日本文学について研究[3][25][4][26]。大学院在学中は、数学者のアラン・チューリングについて研究した[27]。
大学三年の時に理系から文転した際、「今まで体系だって本を読んでない」という理由から東大生協駒場書籍部に置いてある岩波文庫を全て読むことを目標に一日一冊のペースで片っ端から読み漁り、特にルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』からは、大きな衝撃と影響を受けたという[28][3][29]。
学部生の頃は大学の授業にほとんど出席せず本を読んで過ごしていた。そのため、単位が取れず何度か留年を経験している[3]。
大きな影響を受けた小説家として、町田康を挙げている。中でも『告白』について「僕の人生の中で、すごく重要な本です」と言及している[2]。また、何度も読み返している小説には、スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を挙げている[28]。
小説の可能性を広げる作品として、中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』、町田康『パンク侍、斬られて候』、リチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』、ニコルソン・ベイカー『中二階』、エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』を挙げている[30]。
執筆しながら調べて分かったことが新しい要素となることがあるため、プロットは一切作成しない[28]。逆にプロットを作成して執筆すると書けなくなってしまうという[28]。
受賞・候補歴
太字が受賞。
- 2015年
- 『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞
- 2018年
- 2020年
- 2022年
- 2023年
- 2024年
- 『君が手にするはずだった黄金について』で第21回本屋大賞候補、第41回織田作之助賞候補
- 2026年
- 『火星の女王』で第57回星雲賞日本長編部門候補
ランキング
- SFが読みたい!
- 2017年 - 『ゲームの王国』2位
- 2019年 - 『嘘と正典』4位
- 2022年 - 『地図と拳』4位
- 週刊文春ミステリーベスト10
- 2022年 - 『君のクイズ』14位、『地図と拳』17位
- このミステリーがすごい!
- 2018年 - 『ゲームの王国』42位
- 2022年 - 『嘘と正典』23位
- 2023年 - 『地図と拳』9位
- 2024年 - 『君のクイズ』7位
- 本格ミステリ・ベスト10
- 2023年 - 『君のクイズ』28位
- ミステリが読みたい!
- 2023年 - 『地図と拳』8位
- 2024年 - 『君のクイズ』2位
作品リスト
単行本
小説
- 『ユートロニカのこちら側』(2015年10月:早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション / 2017年12月:ハヤカワ文庫JA)
- 『ゲームの王国 』上・下(2017年8月:早川書房 / 2019年12月:ハヤカワ文庫JA)
- 一部が2017年1月発行 『伊藤計劃トリビュート 2』(早川書房編集部編)に収録
- 『嘘と正典』(2019年9月:早川書房 / 2022年7月:ハヤカワ文庫JA)
- 『地図と拳』(2022年6月:集英社 / 2025年6月:集英社文庫)
- 『小説すばる』2018年10月号 - 2021年11月号 連載
- 『君のクイズ』(2022年10月:朝日新聞出版 / 2025年4月:朝日文庫)
- 『小説トリッパー』2022年夏季号 掲載
- 『君が手にするはずだった黄金について』(2023年10月:新潮社 / 2026年6月:新潮文庫)
- 「プロローグ」(『小説新潮』2022年1月号 掲載)
- 「三月十日」(『小説新潮』2019年7月号 掲載)
- 「小説家の鏡」(『小説新潮』2021年1月号 掲載)
- 「君が手にするはずだった黄金について」(『小説新潮』2021年7月号 掲載)
- 「偽物」(書き下ろし)
- 「受賞エッセイ」(『小説新潮』2022年7月号 掲載)
- 『スメラミシング』(2024年10月:河出書房新社)
- 「七十人の翻訳者たち」(2018年12月:『NOVA 2019年春号』河出文庫 収録)
- 「密林の殯」(『文藝』2019年夏季号 掲載)
- また、『文学 2020』(日本文藝家協会編、講談社、2020年5月)に収録
- 「スメラミシング」(『文藝』 2022年夏季号 掲載)
- また、『文学 2023』(日本文藝家協会編、講談社、2023年5月)に収録
- 「神についての方程式」(『文藝』2022年冬季号 掲載)
- 「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」(『文藝』2024年夏季号 掲載)
- 「ちょっとした奇跡」(『小説現代』2021年2月号 掲載)
- また、『Voyage 想像見聞録』(講談社、2021年6月)にも収録
- 『火星の女王』(2025年10月:早川書房)
- 書き下ろし
対談集
新書
- 『言語化するための小説思考』(2025年10月:講談社)
- 連載時タイトル「小説を探しに行く」(『群像』2024年7月号 - 2025年6月号)
- 短編「エデンの東」を収録
- 連載時タイトル「小説を探しに行く」(『群像』2024年7月号 - 2025年6月号)
随筆
- 『斜め45度の処世術』(2026年4月:CEメディアハウス)
アンソロジー
「」内が小川哲の作品
- ポストコロナのSF(2021年4月 日本SF作家クラブ編、ハヤカワ文庫JA)「黄金の書物」
- 異常論文(2021年10月 樋口恭介編、ハヤカワ文庫JA )「SF作家の倒し方」(初出:『S-Fマガジン』2021年6月号)
- 超短編 大どんでん返し Special(小学館文庫編集部編、小学館文庫、2023年12月)「矜持」(初出:『Story Box』2021年12月号)
- これが最後の仕事になる(2024年8月 講談社)「存在の耐えられない軽さ」
- あえのがたり(2025年1月 講談社)「エデンの東」
- 旅する小説(2025年9月 講談社文庫)「ちょっとした奇跡」
- 超個人的時間旅行(2026年4月 ハヤカワ文庫JA)「過去改変を繰り返した男の末路」
寄稿
連載中
- 「岩波文庫の倒し方」(『図書』2026年7月 - )
未書籍化作品
- 「ラダイトを盗んだ男」(『小説すばる』2016年8月号)
- 「古見宇博士の珍奇な発明」(『cakes』(Web)2016年10月 - 2017年6月) - コラム
- 「十二月二十五日」(『小説新潮』2020年1月号)
- 「あんなカレーに」(『小説トリッパー』2020年夏季号)
- 「ラグアフィ公国の掟」(『小説新潮』2020年11月号)
- 「walk」(『別冊文藝春秋』2022年7月号)
- 「魔法の水」(『S-Fマガジン』2022年8月号)
- 「凍った心臓」(AI執筆)(『S-Fマガジン』2023年2月号)
- 「猪田って誰?」(『Story Box』2023年9月号)
- 「オルロージュ」(『千葉日報』2023年12月 - 2025年9月)
- 「革命前夜」(『新潮』2024年6月号)
- 「嘔吐」(『GOAT』Autumn 2024)
- 「落ち着いて」(『GOAT』Summer 2025)
随筆・論考
- 「小川哲インタビュウ」:『S-Fマガジン』2015年12月号 掲載
- 「タコ足の火星人はなぜ絶滅の危機に瀕しているのか?」 : 『ユリイカ』2016年1月号 掲載
- 「Oh! マイアイドル」:『小説すばる』2016年2月号 掲載
- 「思い出の映画」 : 『小説現代』2016年3月号 掲載
- 「三つの旅」:『小説トリッパー』2017年冬号(2017年12月号) 掲載
- 「こども時代の噓」:『群像』2017年12月号 掲載
- 「3月10日」 : 『別冊文藝春秋』2018年1月号 掲載
- 「伊藤計劃とフィリップ・K・ディック」:『kotoba』2018年春号 掲載
- 「選考会前後の大惨事と抱いた決意」:『小説新潮』2018年7月号 掲載
- 「作家の目 真面目な取材旅行」:『小説すばる』2018年10月号 掲載
- 「トースト恐怖症」:『STORY BOX』2018年10月号 掲載
- 「2020年のわたし」 : 『SFが読みたい! 2020年版』(S-Fマガジン編集部、早川書房、2020年2月10日)掲載
- 「コロナの時代の愛」 : 『小説幻冬』2020年7月号 掲載
- 「栄光学園、ハンダノビッチ、そしてロラン・バルト」 : 『ユリイカ』2020年7月号 掲載
- 「ソウヤーの気配」:『S-Fマガジン』2020年10月号 掲載
- 「満州で愚かさを記す」:『ゲンロン11』(株式会社ゲンロン、2020年9月)掲載
- 「旅という名の無」:『新潮』2021年5月号 掲載
- 「SF作家vs.マーダーミステリー」:『小説新潮』2022年2月号 掲載
- 「作家とサッカー」: 『小説すばる』2023年8月号 掲載
書評
対談・鼎談など
- 「ぼくたちの歴史と記憶――スーダン、渋谷幕張、カンボジア」(彩瀬まるとの対談) : 『別冊文藝春秋』2020年3月号 掲載
- 「『息吹』&文庫版『ゲームの王国』発売記念トークイベント」(大森望との対談) : 『S-Fマガジン』2020年4月号 掲載
- 「いまディザスター小説を読む」(円城塔との対談) : 『文學界』2020年8月号 掲載
- 「いくつも中心のある短篇の円環」(鴻巣友季子、上田岳弘との鼎談[31]) : 『文學界』2020年9月号 掲載
- 「沖縄×ベルリン×カンボジア 想像力は境界を超える」(真藤順丈、深緑野分との鼎談) : 『小説現代』2020年9月号 掲載
- 「別冊文藝春秋LIVE TALK vol.2 精神世界のニューノーマル」(松山大耕(僧侶)との対談) : 『別冊文藝春秋』2020年11月号 掲載
- 「中国SF『三体』座談会」(池上彰、大森望との鼎談) : 『小説すばる』2021年1月号 掲載
- 「新たな小説の分岐を求めて」(高山羽根子との対談) : 『小説トリッパー』2021年6月号 掲載
- 「マーダーミステリー普及促進会議」(海猫沢めろん、山本さほとの鼎談) : 『小説すばる』2021年9月号 掲載
- 「地図とは何か。建築とは何か。そして小説とは何か。」(新川帆立との対談) : 『小説すばる』2022年8月号 掲載
- 「小説の中に“歴史”を造る」(荻堂顕との対談) : 『小説新潮』2022年9月号 掲載
- 「都市と小説の交差点」(深緑野分、町村敬志との鼎談) : 『小説すばる』2022年11月号 掲載
- 「小説家は嘘をつく」(高瀬隼子との対談、司会・原稿構成 渡辺祐真) : 『新潮』2024年2月号 掲載
- 「ベストアルバム『SCIENCE FICTION』特別対談」(宇多田ヒカルとの対談) : 『S-Fマガジン』2024年6月号 掲載
- 「これから作家を目指すひとへ」(町屋良平との対談) : 『新潮』2024年11月号 掲載
- 「説明、情報、順番――ぜんぶ小説の話」(町田康との対談) : 『群像』2025年11月号 掲載
- 「置き配的社会で書き続けるために」(福尾匠との対談) : 『群像』2026年3月号 掲載
- 「キックス」(天沢時生との対談) : 『小説すばる』2026年4月号 掲載
- 「小説と批評、あるいはクイズをめぐる問い」(田村正資との対談) : 『群像』2026年7月号 掲載
解説
- リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』(2018年7月 河出文庫)
- 京極夏彦『鵼の碑』(2024年9月 講談社文庫)
- 筒井康隆『ジャックポット』(2026年1月 新潮文庫)
- 青崎有吾『地雷グリコ』(2026年6月 角川文庫)
文学賞選考委員歴
メディア・ミックス
メディア出演
テレビ
- 世界SF作家会議(フジテレビ)
- 未来人からの提言 ニッポン遅れてるヨ[解](TBS)[39]
- 2021年1月30日放送
- 視点・論点「私たちはSFから何を得ることができるか」(NHK)[40]
- 2021年5月17日放送
- 王様のブランチ(TBS)
- 2022年10月8日、2023年1月21日、2023年10月21日、2025年1月25日放送
- タイプライターズ30~物書きの世界~(フジテレビ)
- あの本、読みました?(BSテレ東)
- めざまし8(フジテレビ)
- 2025年1月22日放送
- ボクらの時代(フジテレビ)
- アカデミーナイトG マンガローグ火の鳥 小森隼&映画君のクイズ原作者裏話(TBS、2026年4月21日)