味の素ビルドアップフィルム
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研究過程
1960年代に味の素の主なうま味成分であるL-グルタミン酸ナトリウムの原料を合成する(2026年現在はサトウキビなどを発酵させてグルタミン酸を生成)研究開発の過程で発見され[2][3]、1970年代に味の素でファインケミカル事業が立ち上がり、難燃剤や接着剤などの機能性樹脂が開発された。さらなる事業の高付加価値化を図る中でABFが誕生し、1999年に発売された[4]。
構造
前述の研究過程でグルタミン酸を取り出した副産物としてエポキシ樹脂の軟化剤にできるものが発見された。その軟化剤と接着剤、塩素化パラフィン(難燃剤)、リン酸エステル(難燃剤)からなる樹脂添加剤の製造に成功した[2]。そしてベースになるPETフィルム(38 mm)の上に、のそれらの熱硬化性樹脂を主成分とする10〜100 μmの絶縁樹脂フィルム層を形成し、さらにその上に保護フィルム(OPP)を合わせた3層構造を基本とする[5]。
液状材料に比べて揮発溶剤が少ないために、作業環境や取り扱いがよく厚みの均一性や平滑性にも優れている。高周波での伝送特性に必要なインピーダンスコントロールも容易に実現できるとされる[5]。
特徴
真空ラミネータでの積層
ABFはパッケージのICとプリント基板を接続するサブストレートに使用されている。配線の上にABFを重ね、次の層に接続したい部分をレーザーで穴を開け、さらに新しい銅めっきを施しABFを重ねる、という工程を繰り返すことで絶縁層と導体層を1層ずつ積み上げていく「ビルドアップ構造」を持つサブストレートが出来上がる[2]。
積層には、金属板によるホットプレス機能をもつ2段チャンバー式の真空ラミネータを用いる。1チャンバー目で真空積層、2チャンバー目にて金属板によるホットプレスで樹脂表面が平滑化される。ABFは熱流動性に優れているため低圧な積層条件(約10 kgf/cm²)でも、内層基板表面の回路段差、ブラインドビア、スルーホールなどの凹凸部を気泡なく埋め込み、さらには樹脂表面上も平滑に仕上げることができる。これにより銅めっきとの密着性を確保することができるほか、緻密な凹凸であるためにセミアディティブ法によりL/S 20/20mm以下の微細配線が形成できる。[5]
レーザー加工
熱硬化型の層間絶縁材であるため導体回路の層間接続にはレーザーによるマイクロビア形成を行う。炭酸ガスレーザーによる加工性をはじめ、小径ビア(50 mm以下)の形成に有利とされているUV-YAGレーザーについても良好な加工性を兼ね備えている。また、ビア底のスミアについても一般的な過マンガン酸によるデスミア処理によって容易に除去することができ、ビアの接続信頼性にも優れる[5]。
2024年に東京大学が味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスと共同開発し、TACMIコンソーシアムおよびECTCで発表した「DUVレーザーで半導体基板に世界最小の穴あけ加工」にもABFが使用された[6]。
製品一覧
- GX13
- GX3をさらに低CTE化したグレード。CTEはGX3の60 ppmよりも約25 %低い46 ppmである[5]。
- GX92
- GX13より疎水性の高い樹脂を採用し、架橋密度を低くすることでデスミア処理時のエッチング量を抑えて低粗度化を実現した。GX13(算術平均粗さRa 650 nm)に比べて粗度を約半分(Ra 350 nm)に抑え、セミアディティブ法のフラッシュエッチングに掛かる時間を短縮することで効率的に微細配線形成ができる。その一方で高分子成分を変更することで伸びを向上させ、低粗度でも銅めっきとの密着力を低下させることなく相反する性能を実現している。[7]
- その他[8]
- GX-T31
- GZ41
- GL