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塩素化パラフィン

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塩素化パラフィン(えんそかパラフィン、英: Chlorinated paraffins。塩化パラフィンとも)は、アルカンに塩素を結合させた有機塩素化合物の総称である。そのうち、炭素数10〜13のものをSCCPs(短鎖塩素化パラフィン)、14〜17のものをMCCPs(中鎖塩素化パラフィン)という[1]。塩素とノルマルパラフィンまたはパラフィンワックスを原料とし[2]、用途に応じて様々な塩素化率の製品が製造される。

短鎖塩素化パラフィンのひとつ、2,3,4,5,6,8-ヘキサクロロデカン

用途

難燃性、疎水性、可塑性、絶縁性、金属に対する高圧下での潤滑性を有し、安価であることから難燃剤、ポリ塩化ビニル用可塑剤、潤滑油添加剤などとして利用される。切削油をはじめとする金属加工用剤としても利用されたが、後述のとおり環境への影響の懸念による自主規制から、日本では2007年以降はこの用途での利用は行われなくなった[3]。

主なメーカー

日本では味の素ファインテクノ[4]の「エンパラ」、東ソーの「トヨパラックス」などの商品名で販売されていたが、トヨパラックスは2021年に生産停止[5]、エンパラも販売終了が発表された。 [6] 国外ではDover Chemical、INOVYN(イネオス)などが販売しているが、最大の生産国は中国で、2008年には45万トンの生産が報告された[3]。

環境への影響

毒性と難分解性、生物濃縮性が高いことから、アメリカ合衆国では有害化学物質排出目録制度に基づき、1995年より事業者に移動排出量の報告が義務付けられている。欧州連合では1999年のリスク評価の結果、2004年以降金属加工と皮革産業での使用が禁止された。日本でも化審法に基づき、2005年2月に第一種監視化学物質に指定され[7]、国際的にもストックホルム条約(POPs条約)による規制が検討されていた[3]。中華人民共和国では、食品からの短鎖塩素化パラフィンの摂取量が増加している研究結果がある[3]。国際がん研究機関は炭素数12、塩素化率60%の塩素化パラフィンのヒトへの発癌性についてGroup2B(ヒトに対する発癌性が疑われる)と評価している[8]。

その後、2017年に「塩素の含有量が全重量の48%(塩素化率)を超えるSCCPs」をPOPs条約の附属書A(廃絶対象)に追加することが決定され[9]、これを受けて日本でも2018年10月1日に化審法の第一種特定化学物質に指定された(なお、化審法では施行令により「ポリ塩化直鎖パラフィン(炭素数が10〜13で、塩素の含有量が全重量の48%を超えるものに限る。)」と定義されている[10])。

また、欧州連合では炭素数14〜17のMCCPsについてもRoHSによる規制を行うべきかコンサルティング・ファームへの諮問が行われていたが、2021年3月22日に公開された最終報告書で「附属書IIへの追加(=規制物質への指定)を推奨する」と結論された[11]。

2025年5月、POPs条約でMCCPs(炭素数14~17で、塩素化率45%以上のもの)の廃絶物質に指定され、シンガポール環境保護管理法など、締約各国の法律で規制が進められでいる。[12]現在MCCPを含む物質としては、少なくとも以下15種類のCAS番号が例示されている。(POPRC18のUNEP/POPS/POPRC.18/INF/10等)

さらに見る CAS番号, 物質群名称 ...
CAS番号物質群名称
915-934-2(*EC番号)Reaction mass of alkanes, C14–17, chloro and paraffin waxes and hydrocarbon waxes, chloro
61788-76-9Alkanes, chloro; alkanes, chlorinated
68920-70-7Alkanes, C6–18, chloro
84082-38-2Alkanes, C10–21, chloro
84776-06-7Alkanes, C10–32, chloro
84776-07-8Alkanes, C16–27, chloro
85049-26-9Alkanes, C16–35, chloro
85422-92-0Paraffin oils and hydrocarbon oils, chloro
85535-85-9Alkanes, C14–17, chloro
85536-22-7Alkanes, C12–14, chloro
85681-73-8Alkanes, C10–14, chloro
97553-43-0Paraffins (petroleum), normal C>10, chloro
97659-46-6Alkanes, C10–26, chloro
198840-65-2Tetradecane, chloro derivatives
1372804-76-6Alkanes, C14-16, chloro
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ただしこれらCAS番号は、炭素数・塩素数の異なる物質「群」を示しており、CAS番号だけでは塩素化率は一意に特定できない。 塩素化率の特定には、GC/MS等の定量分析などの方法がある。[13] MCCPの塩素化率については以下の通り、塩素数5か6以上で45%以上となる。 POPRC20のReference documents等で、塩素化率の推定計算が公開されている。[14]

さらに見る 炭素数, 化学式 ...
炭素数ごと塩素数ごとの塩素化率
炭素数化学式水素数(H)塩素数(Cl)塩素化率
炭素数(C)14C14 H26 Cl426442.18%
C14 H25 Cl525547.83%
炭素数(C)15C15 H28 Cl428440.49%
C15 H27 Cl527546.09%
炭素数(C)16C16 H29 Cl529544.46%
C16 H28 Cl628649.11%
炭素数(C)17C17 H31 Cl531542.95%
C17 H30 Cl630647.57%
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脚注

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