塩化ジルコニウム(IV)

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塩化ジルコニウム(IV)
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.030.041 ウィキデータを編集
EC番号
  • 233-058-2
UNII
性質
ZrCl4
モル質量 233.04 g/mol
外観 白色結晶
吸湿性
密度 2.80 g/cm3
融点 437 °C (819 °F; 710 K) 三重点
沸点 331 °C (628 °F; 604 K) 昇華
加水分解
溶解度 アルコール, エーテル, 濃塩酸
構造
単斜晶系, mP10
P12/c1, No. 13
熱化学
標準モルエントロピー So 181.41 JK1mol1
標準生成熱 ΔfHo 980.52 kJ/mol
危険性
GHS表示:[1]
腐食性物質 急性毒性(低毒性) 経口・吸飲による有害性
Danger
H290, H302, H312, H314, H317, H332, H334
P234, P260, P261, P264, P270, P271, P272, P280, P285, P301+P312, P301+P330+P331, P302+P352, P303+P361+P353, P304+P312, P304+P340, P304+P341, P305+P351+P338, P310, P312, P321, P322, P330, P333+P313, P342+P311, P363, P390, P404, P405, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 3: Short exposure could cause serious temporary or residual injury. E.g. chlorine gasFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 2: Undergoes violent chemical change at elevated temperatures and pressures, reacts violently with water, or may form explosive mixtures with water. E.g. white phosphorusSpecial hazard W: Reacts with water in an unusual or dangerous manner. E.g. sodium, sulfuric acid
3
0
2
引火点 不燃性
致死量または濃度 (LD, LC)
1488-1500 mg/kg (経口, ラット)
655 mg/kg (マウス, 経口)[2]
安全データシート (SDS) MSDS
関連する物質
その他の
陰イオン
フッ化ジルコニウム(IV)
臭化ジルコニウム(IV)
ヨウ化ジルコニウム(IV)
その他の
陽イオン
塩化チタン(IV)
塩化ハフニウム(IV)
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塩化ジルコニウム(IV)(えんかジルコニウム、Zirconium(IV) chlorideまたはZirconium tetrachloride)は化学式ZrCl4であらわされる無機化合物である。昇華性の白色固体であり、湿った空気中では速やかに吸湿して加水分解する。他のジルコニウム化合物の重要な前駆体である。

ジルコニウムと同族であるチタンの塩化物の塩化チタン(IV)とは異なり、固体の塩化ジルコニウム(IV)は各々のジルコニウムが八面体配位構造となるような重合構造を取る。この違いによって、塩化チタン(IV)が沸点136.4 ℃の液体であるのに対し塩化ジルコニウム(IV)は昇華性の固体であるような特性の差異が生じる。固体状態では塩化ジルコニウム(IV)は塩化ハフニウム(IV)と同様の線形重合構造をとる。この重合体はルイス塩基による処理によってCl-Zr-Cl結合が解離してすぐに開裂する[3]

クロール法

塩化ジルコニウム(IV)はクロール法によるジルコニウム鉱石から金属ジルコニウムを得る過程で現れる中間生成物である。全てのジルコニウム塩化物は加水分解を受けるため、自然な状態ではジルコニウムは常に酸化物として存在している。ジルコニウムをバルク金属として得るため、はじめに塩素および酸素ゲッターとしての炭素を酸化物と反応させ、精製しにくい酸化物を蒸留可能な塩化物にする。その後、塩化ジルコニウム(IV)を蒸留精製した後、過剰量の溶融マグネシウムと反応させて金属ジルコニウムが得られる。

反応

塩化ジルコニウム(IV)の水和反応は塩化ジルコニル(en:Zirconyl chloride)とよばれる水和塩化水酸化ジルコニウムを与える。この反応は急速に進行する不可逆反応であり、ジルコニウム(IV)の高い親オキソ性(en:Oxophilicity)と一致している。したがって、塩化ジルコニウム(IV)を扱うには一般的に不活性ガス雰囲気等の空気のない環境が必要となる。

塩化ジルコニウム(IV)はアルミニウムなどによって還元され塩化ジルコニウム(III)を与える[4]。また、アンモニアを吸収してアンミン塩(ZrCl4・4NH3)を与え、五塩化リンとは複塩(ZrCl4・PCl5)を与える[5]

塩化ジルコニウム(IV)は多くの有機ジルコニウム錯体合成のための出発物質である[6]。塩化ジルコニウム(IV)は重合構造を取っているため、反応の前処理としてテトラヒドロフランと1:2の錯体[注釈 1]を形成させ単分子体とする[7]

ナトリウムシクロペンタジエニド(en:Sodium cyclopentadienide)と塩化ジルコニウム(IV)THF錯体とを反応させることで、シュワルツ試薬の合成原料など多くの用途に使われる有機ジルコニウム錯体である二塩化ジルコノセン(en:Zirconocene dichloride)が得られる[8]

塩化ジルコニウム(IV)のもっとも奇妙な特性の一つは、デュレンのようなメチル化ベンゼンを添加することで通常では溶解しないハロゲン化溶媒に対する溶解性が著しく向上することである。この可溶化は、塩化ジルコニウム(IV)にη6型で配位したアレーン錯体(パイ錯体)の形成を通じて起こる[9]

用途

塩化ジルコニウム(IV)は有機合成においてフリーデル・クラフツ反応ディールス・アルダー反応、分子内環化反応の弱いルイス酸として用いられる[10]。また、織物の撥水剤にも用いられる。

脚注

出典

関連項目

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