大石賢吾
日本の政治家、第20代長崎県知事
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来歴
長崎県南松浦郡富江町(現・五島市)生まれ。富江町立富江小学校、富江町立富江中学校、長崎県立長崎北高等学校卒業[広報 1]。
2006年、カリフォルニア大学デービス校生物科学部(生化学・分子生物学専攻)卒業[4][5]。同年、長崎大学熱帯医学研究所勤務[広報 2]。
2012年、千葉大学医学部卒業。同年、千葉大学医学部附属病院勤務。2018年、千葉大学大学院医学研究院博士課程修了[広報 2]。2020年、厚生労働省医政局地域医療計画課の救急・周産期医療等対策室の室長補佐(新型コロナウイルス対策推進本部・医療班兼務)に就任[広報 2]。2021年春、国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」に転職(千葉大学精神神経科非常勤講師兼務)[6]。同年10月の第49回衆議院議員総選挙の長崎1区および2区の自民党の公募に応募するが、いずれも落選した[7]。
2021年11月26日、長崎県議会11月定例会が開会。現職の中村法道はそれまで11月定例会の初日に知事選への立候補表明を行ってきたが、自身の進退について言及しなかった。その後、後継者に考えていた人物に出馬を断られた中村は複数の国会議員を頼った。長崎3区の衆議院議員谷川弥一が中村に紹介したが、中村は行政経験のなさを理由に難色を示した[7][8]。谷川を中心とする自民党県連執行部[9]と長崎県医師連盟は、大石の経歴や若さ、前年の衆院選で2度も公募にチャレンジした熱意に着目し、擁立に動いた[10]。同年12月20日、日本医療研究開発機構を退職[6]。12月21日、翌年の長崎県知事選挙へ立候補する意向を表明した[11]。同日、中村も県議会本会議で出馬表明した[12]。12月29日、自民党長崎県連は大石の推薦を決定した[13]。県連所属の県議30人のうち、およそ半数の14人は強引な決定を不服として県連の方針に反旗を翻し、中村の支援を表明した[7]。県連は亀裂の拡大を防ぐため、党本部への大石の推薦申請を見送り「県連推薦」にとどめた[10]。県農政連など支持団体の多くは、公然と中村支援に回った[8]。
2023年4月23日に行われた佐世保市長選挙では、自民党長崎県連、同佐世保支部が推薦する前市議の橋之口裕太ではなく、長崎県医師連盟佐世保支部、長崎県歯科医師連盟などが推薦する宮島大典を谷川弥一とともに支援。宮島は初当選を果たした[14][15][16]。2024年より千葉大学客員教授に着任している[17]。
政策・発言等
九州新幹線長崎ルート
- 2025年9月九州新幹線長崎ルート新鳥栖―武雄温泉の実現に向けて、地元財政負担などの懸案について、国が解決策を示すよう要望書を石破首相に提出した。要望後、報道各社の取材に「われわれの思いはしっかり受けとめていただいた」と述べた[19]。
産業振興策
半導体産業
- 半導体需要が今後ますます増加することが予想される中、半導体関連企業と教育機関が相互に連携できる環境を作り、半導体業界の魅力発信や人材の育成に取り組んでいる[20]。
航空機産業
- 世界の航空機旅客需要の増加が見込まれ、航空機の製造も見込まれ、中でも中小型機の需要は約7割を占めると言われている。県内企業が中小型機の燃焼器製造の世界シェア2割を占めている。こうした背景から、2018年には長崎県航空機産業クラスター協議会を発足し、設備投資・研究開発・販路拡大・人材確保に取り組んでいる。2024年2月には海外企業からの受注を目指し、国外のエアショーに出展。海外企業48社と商談を行った[20]。
洋上風力関連産業
- 県内での稼働も予定されており、県内企業の新規参入を後押しするため、補助金を創設し、設備投資や研究開発といった先行投資を支援している[20]。
海洋とデジタル技術を成長軸とする産業振興
2025年5月20日、東京に本社を置くIT企業・株式会社シーエーシー(CAC)と長崎県は、地域活性化、教育振興およびDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けた包括連携協定を締結した。この協定は、海洋資源の持続的活用とデジタル技術の融合を軸に、水産業の生産性向上と地域経済の活性化を図るものである。
同社は2025年1月6日、長崎市内でスマート養殖事業を行う新会社「株式会社ながさきマリンファーム」を設立した。この新会社では、画像認識AI(人工知能)を活用して養殖魚の長さや体重を非接触で計測するシステムを開発し、これを基盤とした自社養殖・販売事業を展開する方針である。これらの取り組みは、長崎県の海洋資源を活かした産業振興戦略の一環として位置づけられ、デジタル技術の導入により水産業の高度化と雇用創出を促進するものである[21][22]。
こども施策
- 県政の軸にしたいものとして掲げ、「ポイントは2つ。1つは出生率の改善です。人口を維持するために必要な出生率は2.07ですが、長崎県は子どもを産みたいと思う人の割合がこれを上回っています。にもかかわらず、実際の出生率は約1.6にとどまっているので、子どもを産みたい人が安心して子どもを産めるようにするための政策を打ち出しています。もう1つは今後、社会がどのように発展していくのか見通しを立てるのが難しい中、長崎県で産まれ育つ子どもたちを、社会の変化やテクノロジーの進化に対応して活躍できる人材に育てていくことが、知事としての責務だと考えています。」と語っている[23]。
医療助成費の引き上げ
2022年11月25日、長崎県議会本会議で「18歳まですべての子供たちが、安心して医療を受けることができるよう、市町と連携のうえ本県独自の医療助成制度を創設する」と発言し、同日開かれた長崎県本会議では「子供政策」を来年度の最重要テーマと位置づけると述べた。そのうえで2022年11月時点で小学校就学前までとなっている子供の医療費助成制度の対象年齢を18歳までに引き上げる県独自の制度を創設する方針を明らかにした[24][25][26]。
核廃絶
- 「国際社会は今、分断が進んで深刻化しています。そうした中でもすべての入り口は、やはり対話だと思います。」と語り、核不拡散条約(NPT)再検討会議に参加する決断をしたことに関連し、「国同士の交渉はなかなか難しいところがあり、いろいろな国の事情や考え方があって、そこを踏まえていく必要がある」と述べている[27]。
- 核兵器の廃絶を考えた際、そのプレイヤーは国家だけではないとし、「核なき平和な世界の実現に向けて持続可能性の観点から国を動かしていくためには、一人ひとりの方々が当事者であるということをしっかりと認識していただくことがやはり重要だと思っています。」としている[27]。
- 2025年4月、NPT再検討会議準備委員会に参加するのを前に記者会見で「県民の思いを世界に発信する」と意欲を語り、核兵器廃絶長崎連絡協議会主催のイベントにも参加する意向を示し、「私自身もこのイベントに参加して『長崎を最後の被爆地に』という県民の思いを世界に発信するとともに、未来を担う若者たちと核なき世界の実現に向けた意見交換をしてきたいと考えている」と意欲を示した[28]。
国際交流
- 核不拡散条約再検討会議準備委員会に出席するために海外に出張した際、オーストリアを訪問、また文化やスポーツで連携する覚書を結ぶためにポルトガルも訪問している[29]。
その他
- 広島で開かれた主要7か国首脳会議(G7)に関連し、長崎市で保健相会合が開かれることになり、開催の決定を受け、「長崎大学での感染症研究などを通じ、長崎は世界の医療や公衆衛生に貢献してきた」と指摘。その上で「保健の課題について話し合うのには最適な場所」と述べた[30]。
- 2024年2月、当初予算案を発表した際、来年度から10年かけて実現を目指す「こども」「食」など4つの柱からなる新しいビジョンの事業費なども盛り込んだ。この当初予算について「県政の一丁目一番地・基軸は引き続き子ども施策を位置づけをさせていただきまして、県民の皆さまに期待感をいだいていただけるような予算・各種課題へのきめ細やかな対応によって安心感をもたらすような予算にしたい」と強調した[31]。
- 長崎の様々な箇所で起きている変革について「長崎県では、西九州新幹線の開業やスタジアムシティに始まり、半導体や航空機、海洋エネルギーといった新たな成長産業へのシフトなど、さまざまな変化が一挙に起こっており、それを『100年に一度』と表現しています」と語っている。また人口減少等、地域が衰退していることについて、「離島、半島という地理的特徴も医療・交通の面で課題の一因」とした上で、解決方針として、オンライン診療に留まらず、自宅までドローンで薬を届けるなど、一連の医療行為のオンライン化、その仕組みづくりを推進、交通手段の確保という課題にも向き合い、自動運転やオンデマンドなどを組み合わせて、乗りたい人が使える手段を整備することを指摘している[32]。
- アメリカの大学に留学中、選択したクラスが「モダンヒストリー(近代史)」であり、その中で「原爆を投下したことについてどう思うか」というディスカッションがあった。周囲は「原爆を投下したことが正しかった」という意見が多かったが、大石はその場で、「原爆を投下してはならなかった」と語った上で長崎から来たことを明かした。大石の発言を聞いた周囲は意見を変え、「核兵器は使うべきものじゃない」「間違っている」と意見を変えた。このことについて大石は教育の影響が大きかったと指摘している。またこの経験を経たことで、対話について「とても大切」と語っている[27]。
- 知事として、物事を決め、力を合わせてやっていくとき、理解が得られないと物事を進めていくことは難しいし、対話はそれらを得るための手段であり、絶対に欠かすことができないものであると語っている・政策について自身の思い付きでは到底無理であるとし、「関係者のお話を聞いて、歴史も知っていて、そういった職員の見えている世界は私に見える世界と全然違います。ですから、そういった職員の話を聞きながら、みんなで決めていく、その作業のベースとなるのが対話だと思っています。」とし、対話の重要性を指摘している[27]。
公選法・政治資金規正法違反疑惑
2022年4月28日、長崎県内の2つの政治団体が、同年の県知事選をめぐり、大石、陣営の出納責任者、選挙コンサルタントを公職選挙法違反(買収)容疑で長崎県警本部に刑事告発した[33][34]。選挙運動費用収支報告書などによると、大石陣営はジャッグジャパンに、電話料金やショートメッセージ送信費などの「通信費」として402万円を支出。告発状では、同社には電話関連業務は含まれていないため「選挙運動の報酬の可能性がある」との主張がなされている[35]。
同年6月14日、県議会定例会で、中村泰輔県議は大石に「電話代として支払われた約402万円は何の対価として支払われたものなのか」と質問。選挙コンサルタントとの関係については「普段から話をする取引先であるが、選挙運動に関しては費用は発生していない」と答弁し、402万円については「オートコールなどの通信費の支出であり、コンサルタント料は含まれていない」と答弁した[36]。同月17日、元東京地検検事の郷原信郎と神戸学院大学教授(憲法学)の上脇博之が、上記と同様の理由により、公選法違反容疑(買収)で出納責任者と選挙コンサルタントに対する告発状を長崎地検に提出したと発表した[35]。
同年10月4日、さらに県内の2つの政治団体が県警長崎署に告発状を提出したと発表した[37]。
2024年1月15日、郷原と上脇がオンラインで記者会見し、公職選挙法違反(買収)容疑で、大石に対する告発状を長崎地検に9日付で提出したことを明らかにした[38][39][40]。
同年6月24日、大石の資金管理団体「大石けんご後援会」が2022年の知事選期間中に自民党県議の江真奈美の資金管理団体「ごうまなみ後援会」から286万円を借り入れていたこと[41]につき、県議会一般質問で「政治倫理上問題がある」と指摘がなされた[42]。政治資金収支報告書に記載されている内容は以下のとおり。
- 2022年1月27日から2月15日にかけて、長崎県内の9つの医療機関が、江真奈美が代表を務める「自由民主党長崎県長崎市第八支部」に対し、計286万円を寄付した[43]。
- 2022年2月18日、「自由民主党長崎県長崎市第八支部」は江真奈美の資金管理団体「ごうまなみ後援会」に対し、286万円を寄付した[41]。
- 同日、「ごうまなみ後援会」は大石の資金管理団体「大石けんご後援会」に対し、286万円を貸し付けた[41]。
- 2022年12月26日、「大石けんご後援会」は「ごうまなみ後援会」に対し、286万円と利息の73,106円を返済した[44]。
大石は6月24日の県議会で「金銭貸借は知事選の選挙コンサルの提案」「違法性はない」と答弁した[45]。上記の金の流れに関し、企業・団体から政治家個人や公職の候補者の資金管理団体への寄付を禁じる政治資金規正法に抵触する可能性が指摘されている[46]。
6月28日、記者団の取材に応じ、「私の承認無く(後援会から)多額の出金がなされており、監査業務を行っていた者に渡った可能性があることが発覚した」と主張。監査人に対する被害届の提出や刑事告訴も視野に精査を進めると述べた。一方監査人は取材に対し「知事の了承の下、指示を受けた後援会が出金の手続きを行ったもので、詐欺に当たるような事実はない。一方的な発表は許しがたい」と述べた[47]。
7月8日、「大石けんご後援会」が選挙期間中に大石個人から2000万円を借り入れたと記載していたものの、借り入れの実態が無かったことが報じられた。大石は知事選の選挙費用と後援会を同じ口座で管理しており、知事選の選挙運動費用収支報告書には後援会に2000万円を支出したと記載。うち約1800万円が知事選関連で使われていた。この2000万円の入金記録は後援会の銀行口座に残っていたが、後援会が「借入金」として記載した2000万円は入金の形跡がなかったという。大石の代理人弁護士は「2000万円が2回入金されたことはなく、形式的ミスの二重計上だった」と説明した[48]。一方で後援会は「借入金」の返済として2024年3月までに約650万円を大石に返済したとされる。
7月10日、大石の後援会の外部監査に携わった経営コンサルタント会社代表が、「大石が選挙コンサルタントと共謀して後援会の政治資金収支報告書に2000万円の架空の貸付を計上し、655万円余りを不正に返済させていた」として、大石を詐欺または業務上横領の疑いで長崎地検に刑事告発した。大石は県議会閉会日にあたるこの日、「精査に時間が必要」として説明を控えた。江は取材に対し「コンサルタントから指示を受け、確認を取ったうえで実行している。迂回献金の認識はない」と答えた[49][50]。
7月31日、前述の経営コンサルタント会社代表は、「大石けんご後援会」が大石の確認団体「新しい長崎県をつくる会」に対し2022年1月14日に500万円、同月31日に410万円の計910万円を寄付したと政治資金収支報告書に記載されていること[44]につき、「振り込みや現金が動いた形跡がない」として虚偽記入などの容疑での告発状を新たに長崎地検に提出したと明らかにした[51]。このほか、外部監査人らへの名誉毀損の疑いで大石を告訴した[52]。
8月2日、「大石けんご後援会」は県選挙管理委員会に収支報告書の訂正を届け出て、2000万円の借り入れを削除した。自民党県議側から借り入れたと後援会の収支報告書に記載した286万円についても、寄付に訂正した[53]。
8月5日、郷原信郎と上脇博之は、「286万円」と「2000万円」に関し、公職選挙法違反(虚偽記入)などの疑いで大石と知事選時の陣営の出納責任者と後援会の会計責任者を長崎地検に告発した[54]。
同日、県議会全員協議会で、一連の資金の流れを誰が考え指示したのか問われ、「複数の選対関係者に確認したが、正確な経緯の把握に至っていない」と答えた。ところが翌6日、選対本部長だった江は長崎新聞の取材に対し、改めて「選挙コンサルタントの指示で振り込んだ」「違法性はないと説明を受けたので承諾した」と証言した[55]。20日、江は「議会の運営を停滞させた」として、県議会議会運営委員長を辞任する意向を示した[56]。
10月8日、長崎地検は公職選挙法違反(事後買収など)容疑で告発された大石賢吾知事や陣営の出納責任者らを嫌疑不十分で不起訴処分とした[57]。2025年1月21日、長崎地検は同法違反(虚偽記入)容疑についても大石と出納責任者を嫌疑不十分で不起訴処分とした[58]。9月12日、長崎地検は政治資金規正法違反(虚偽記入)などの容疑についても大石らを嫌疑不十分で不起訴とした[59][60]。
人物
- 2023年7月、山梨県にて開かれた全国知事会議を欠席し、サッカーを観戦するなどしていたことが、県への取材で分かった。来日したサッカーポルトガル代表FWのクリスティアーノ・ロナウド選手にも県のPRを依頼するため、大阪市で面会していたとされる[61][62][63]。
- 2026年(令和8年)1月27日までは現職の都道府県知事として47人中最年少だった。1月25日に投開票が行われた2026年福井県知事選挙で初当選した石田嵩人福井県知事[64]へ最年少知事の座を明け渡した。
- 医学部出身でありながら政治家を志した理由として、訪問診療に携わっていた際、患者の利用環境の改善を試みたものの、改善策に限界があり、「医師は病気の治療はできますが、生活環境を改善し、安全安心な暮らしを提供するには公助の在り方を変えていく必要があります。公助の在り方を変えるのは政治の役割ですが、それであれば政治家になろうと考えました。」と語っている[23]。
- プロ野球DeNAの徳山投手がイップスに苦しんでいた際、自主トレで訪れた長崎県で大石と会い、その時のことについて徳山は「和田(毅)さんの自主トレで長崎県にいたんですけど、そこに訪ねていらっしゃった大石賢吾知事に出会ったんです」「そこでちょっと僕の症状についてお話をさせて頂いたら、大石知事が以前勤務していた千葉大学医学部附属病院の先生を紹介してくれたんです」と語っている[65]。
選挙歴
| 当落 | 選挙 | 執行日 | 年齢 | 選挙区 | 政党 | 得票数 | 得票率 | 定数 | 得票順位 /候補者数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 当 | 2022年長崎県知事選挙 | 2022年 2月20日 | 39 | ーー | 無所属 | 23万9415票 | 45.60% | 1 | 1/3 |
| 落 | 2026年長崎県知事選挙 | 2026年 2月 8日 | 43 | ーー | 無所属 | 28万0346票 | 47.20% | 1 | 2/3 |