失神 (ロンギの絵画)
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ピエトロ・ロンギ (本名ピエトロ・ファルカ) は、18世紀ヴェネツィアの日常生活や風俗の場面を主に描いた画家である[2][3]。彼は、表面的であると同時に因習を重んじたロココ時代を敏感に観察して絵画に表現した。高い視点によって覗き見るように鑑賞者を誘う[4]が、老若男女、身分の貴賤を問わず、いつも人間に優しい眼差しを向けている[2]。

ピンク色のガウンを纏った女性が青白い顔で失神して、椅子に沈み込んでいる[1]。彼女の不調の理由はたやすく理解できる。画面前景左側のテーブルがひっくり返っており、カード、開いた財布、硬貨が床に散乱している。ギャンブルをしていた女性は不都合なカードを得てしまったために気を失ったふりをして、都合よくテーブルをひっくり返したのである。召使や仲間たちが彼女を助けるために駆けつけている。右側の男性は医者か、勝ち続けていたギャンブルの相手なのかもしれない[1]。ちなみに、失神した女性のポーズは、『くすぐり』 (ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード) 中の男性と同じものとなっている[5]。
ロンギの名声は、ヴェネツィアが退廃していた時代における上流階級の生活をこのように親密に垣間見せることを拠りどころにしていた[1]。画家の貴族のモデルたちは彼の顧客でもあり、彼らはシノワズリのカードテーブルや壁に貼られた緑色のダマスク織がある優雅な室内の正確な描写を喜んだであろう。ロンギの劇作家の友人カルロ・ゴルドーニのリアルな喜劇『病気のふりをする女』が本作のインスピレーションになったのかもしれない。しかし、ロンギの「劇」にはゴルドーニの皮肉な調子はない。画家の軽い筆致と穏やかな光が場面を柔和なものとしており、パステルカラーと人形のように小さな役者たちも同様の効果を与えている[1]。