くすぐり (ロンギの絵画)
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| スペイン語: Las cosquillas 英語: The Tickle | |
| 作者 | ピエトロ・ロンギ |
|---|---|
| 製作年 | 1755年ごろ |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 61 cm × 48 cm (24 in × 19 in) |
| 所蔵 | ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード |
『くすぐり』(西: Las cosquillas, 英: The Tickle)は、18世紀のイタリア・ヴェネツィア派の画家ピエトロ・ロンギが1755年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した風俗画である。1971年にロンドンの絵画市場でハンス・ハインリヒ・ティッセン=ボルネミッサ男爵に購入された[1]。現在、男爵のコレクションを受け継ぐマドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館に所蔵されている[1][2]。


ピエトロ・ロンギ (本名ピエトロ・ファルカ) は、18世紀ヴェネツィアの日常生活の場面を主に描いた画家である[3][4]。1730年ごろ、彼は富裕層の人々の風俗習慣を小型の作品に描くことに特化し始めたが、それらのシンプルな場面は習慣、衣服、礼儀作法などを通して社会を記録する歴史的資料となっている[1]。
『くすぐり』は、ロンギの様式的特徴を非常によく表している作品である。場面は、画家のほかの作品にも見られる緑色のダマスク織で覆われ、絵画の掛かった壁のある部屋に設定されている。部屋にある家具はソファだけで、装飾品は左側の窓に架かっている緑色の重たげなカーテンだけである[1]。
この静穏な室内で、若い女性が鑑賞者を見つめ、共犯者のような仕草をしている。彼女は2人の女中に見守られながら、眠っている若い男性を羽根でくすぐっている[1][2]。地面に置かれた果物の載ったトレイ、椅子の上の新聞、若い女性のショール、ソファの上の扇子などの要素はすべて、余暇と愉楽の場面であることを示唆する[1]。ここには、媚態と悪戯の雰囲気が満ちている[2]。
だらしなく椅子の上に寝ている若い男性のポーズは、ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵の『失神』[5]と題される作品中の女性を想起させる。さらに、本作の壁の右側に見える絵画 (ヤコポ・アミゴーニの様式で三美神を描いていると思われる[1]) が登場するメトロポリタン美術館 (ニューヨーク) 蔵の『誘惑』[6]なども、本作と比較されてきた。本作の人物のポーズと仕草は演劇の場面を想起させる一方、服装は薄い黄、白、緑色の色調で描かれており、彼らは室内で浮かび上がるように光に照らし出されている[1]。
なお、壁に架けられている3人の裸体女性の絵画や、リンゴの載ったトレイなどの要素のために、本作は「パリスの審判」の18世紀版であることが示唆されているのかもしれない[2]。