野良猫ロック
日本の映画シリーズ
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『野良猫ロック』(のらねこロック)は、1970年から1971年にかけて全5作品が公開された日本の映画シリーズである[1][2][3]。第一作がホリプロ系列のホリ企画の製作[4]、日活配給。第二作から第四作までが日活製作、ダイニチ映配配給。第五作はホリ企画と日活の製作、ダイニチ映配配給となっている。
日活ニューアクションのシリーズ作品で[2][5][6]、女番長や非行グループなどの集団を主役に据え、時代を反映した閉塞状況などをモチーフに、無目的に生きる若者のアナーキーな行動を描く[3][5]。5作全て違う設定、違う配役、違う物語という珍しいシリーズとなっている[2]。
本シリーズが制作された1970年代前後は、カウンターカルチャーが盛り上がっていた関係で、反体制的もしくは前衛的な表現が目立っていたという[7]。そこに映画界の凋落も加わったことで本シリーズをはじめとするエネルギッシュな作品が作られており、とりわけ『野良猫ロック セックス・ハンター』は強烈だという[7]。
にっかつで取締役企画部長を務めた佐々木志郎は「『野良猫ロックシリーズ』は僕が作った。完全に反体制です」と述べている[8]。
女番長 野良猫ロック
1970年5月2日公開の日本映画。製作ホリ企画、配給日活[1][4]。新宿西口一帯の縄張りを争う非行少女グループの対立をGSサウンドに乗せて描く「野良猫ロックシリーズ」第1弾[1][4][9]。監督・長谷部安春、主演和田アキ子で[10]、和田の映画デビュー作にして[1]、初主演映画[11]。
キャスト
スタッフ
製作
企画・キャスティング
当初はホリプロ所属の和田アキ子の単発主演作として企画された[4][10][11]。長谷部安春監督は「ホリプロと日活がタイアップして、ホリプロも映画製作を望んでおり、和田アキ子で不良少女をやるということが基本だった。『野良猫ロック』というタイトルを付けたのは企画の佐々木志郎で、それまで片仮名タイトルはヒットしておらず、最初は『女番長』だけだった」などと語っている[11]。
企画としては女番長物を想定していたとされる[10]。『週刊平凡』1970年4月30日号の記事では「和田アキ子の自伝的映画」と書かれている[12]。『縄張はもらった』で梶芽衣子を見出した長谷部監督の強い推薦により[6][13]、梶が和田とほぼ同等の主演格に起用され[10]、シリーズ二作目以降は和田が歌手に専念するためか[10]、出演せず、主役不在で以降、4作が作られるという珍しいシリーズものになった[10]。60年代末期の日本の娯楽映画は任侠路線かお色気路線が二大潮流で[6][13]、梶芽衣子もこれに組み込まれるかと思われた矢先に自身の勝気なキャラクターを活かした作品に巡り合った[13]。特に梶らのヒッピー&フラワーファッションは[13]、後続のスケバン映画に影響を与えたとされる[13]。当時撮影所の衣装部がデパートと提携していたため[6]、梶と長谷部監督が好きな服を選んだという[6]。范文雀は長谷部監督がTBSの『サインはV』のジュン・サンダース役を気に入っての抜擢だという[11]。
脚本
脚本の永原秀一は付き合いの古い長谷部監督の指名で[11]、2人で20日ほど籠って執筆した[11]。長谷部も脚本にかなり関与しているという[11]。浦山珠夫は本作の暴走集団の描写は『野獣を消せ』を発展させたものと論じている[5]。
設定を新宿にしたのは長谷部で[11]、当時新宿駅西口地下広場で討論会などがあって騒然としていたことと[11]、劇中でもしばしば登場する西新宿の淀橋浄水場跡地は当時、道路だけ出来ていて毎週土曜日にバイクのゼロヨンのようなものをやっていて、大勢の女性を含めたギャラリーも集まり、長谷部も見に行ったことがあったことから新宿を舞台にやれないかと発想した[11]。
撮影
日活が撮影所を売却していた時期の映画で、新宿でオールロケが行われた[2][4]。脚本執筆は1970年2月頃から開始され[11]、撮影期間は1970年4月1日から30日頃までの約三週間だった[11]。
作品の評価
興行成績
『青春喜劇 ハレンチ学園』との併映で、当時の日活としては破格のヒットを収め[4][10]、シリーズ化された[4][10]。ただし、ヒットは『ハレンチ学園』によるものとも言われる[11]。梶芽衣子は「反響は今ほどはなかった。ただ、当時も熱狂的な人はいました」と語っている[6]。
批評
磯田勉は「登場するズベ公は女侠でも女賭博師でもない、日本映画に初めて登場したストリートの感覚を初めて映画に持ち込んだオリジナリティ溢れるキャラクター」「後半のカーチェイスは空前絶後のゲリラ撮影」などと評している[4]。
影響
同時上映
野良猫ロック ワイルド・ジャンボ
あらすじ(ワイルド・ジャンボ)
タキ率いる不良集団「ペリカン・クラブ」は、「西部会」との主導権を争っていた。ある日、新興宗教団体・正教学会の幹部・藤森信介の愛人・アサ子が白馬に乗ってタキの前に現れる。
後日、「ペリカン・クラブ」のメンバー・デボが軽機関銃を見つける。また、アサ子は教団のイベントに乗じて信者からの寄付金を強奪する計画をタキに話す。当初彼はほかのメンバーに黙って計画を進めるつもりだったが、強化合宿の際にメンバーから不満が出たため、全員で計画人参加することにした。メンバーのガニ新が西部会の香取に襲われる事件が起きたものの、計画は決行された。
キャスト(ワイルド・ジャンボ)
スタッフ(ワイルド・ジャンボ)
野良猫ロック セックス・ハンター
あらすじ(セックス・ハンター)
立川のとある不良少女グループでは、マコがリーダーをめぐる決闘でミキを打ち負かした。仲間を傷付けたことで浮かない気分でいたマコは、数馬というハーフの男に出会った。彼は生き別れの妹のメグミの手がかりを探すため、この町にやって来たのだった。
マコの仲間の情報でメグミが「ママブルース」にいると知った数馬は店を訪ねるものの、メグミはもういないと言われる。さらに非行少年グループ「イーグルス」とハーフのけんかに巻き込まれ、後者に助太刀したことから「イーグルス」に狙われる。その後、メグミと会うものの、自分は妹ではないと言われる。それでも数馬は地元の自動車修理工場に勤めながら事態の打開を待っていた。
ある日、仲間の女がハーフから強姦されたことを知った「イーグルス」のボス・バロンは自分の姉も米兵に強姦されたことを打ち明け、「追い出すんだ。やつらを一人残らずこっから追い出してちまうんだ」と仲間を扇動する。一方で対立関係にあった不良少女グループを白人に売り渡すべく、やくざを介して乱交パーティーを開く。ただし、マコには思いを寄せていたため彼女だけはホテルに連れ出す。ところが、バロンは性的不能者だった。それを誰にも口外しないよう釘を刺した彼はさらに今頃お前の仲間は白人らにやられている頃だとうそぶく。バロンの策略を知ったマコは「わたしはあんたと違うのよ。立派な一人前の女だからね」と言い放ってその場を去る。そして、火炎瓶を持ってパーティ会場に駆け付け、仲間たちを助ける。
翌朝、会場として貸していたマンションを焼かれたやくざは、バロンに落とし前をつけるよう命じる。バロンは仲間たちと数馬をリンチにした上、仲間らにメグミを強姦させる。怒った数馬はマコとともに銃砲店を襲って猟銃を手に入れ、バロンらを米軍の基地跡に呼び出す。そして、マコの見ている前で、遂に両者は対決する……。
キャスト(セックス・ハンター)
スタッフ(セックス・ハンター)
評価(セックス・ハンター)
春日は主演の梶芽衣子の西部劇のようなしゃれたいでたちが目を引くとしている[7]。また、彼女のクールで挑発的なまなざしは何事にも動ぜぬ超然とした雰囲気が放たれているという[7]。同時に、梶のまなざしは、性的不能へのコンプレックスを差別的な暴力で解消しているバロンのみじめさを際立たせていると春日は分析している[7]。
野良猫ロック マシン・アニマル
あらすじ(マシン・アニマル)
ある日、ノボとサブは、岩国にある米軍基地から脱走してきた兵士チャーリーをスウェーデンに逃がすため、横浜に来る。 地元の不良少女たちを束ねていたマヤは、3人が資金調達のために持ってきた大量のLSDを強奪する。事情を知ったマヤはLSDの返却を約束したうえで、薬の密売に協力し、「ドラゴン」という別の不良集団の頭目である佐倉に相談する。
一方、マヤの仲間のエマはゴーゴーバーのバーテン清水と共謀してチャーリーからLSDを奪うが、佐倉に取られてしまう。それを知ったマヤは「ドラゴン」と対決してでもLSDを取り返そうと決心し、元仲間のミキから佐倉の背後にユリという女がいることを突き止める。ところがこの時点で佐倉がLSDを売り出しに行ってしまったため、マヤはユリをおとりに売上金500万円をせしめる。
逃走の手筈が整ったチャーリーはマヤたちとともに隠れ家でパーティーをしていたところ、佐倉の通報でやってきたMPに逮捕される。さらにマヤのもとには佐倉から果たし状が届く。そして、マヤたちはノボとサブに黙って指定された場所へ向かう。
キャスト(マシン・アニマル)
スタッフ(マシン・アニマル)
野良猫ロック 暴走集団'71
あらすじ(暴走集団'71)
地方の町の顔役・荒木義太郎の息子である隆明は、故郷を離れてフーテン集団に加わり、新宿の公園で寝泊まりをしていた。ある日、義太郎は黒い親衛隊ブラックSSを隆明のもとへ送り込む。隆明はブラックSSの構成員を一人死なせてしまうも、その場から連行される。隆明の仲間の一人である振り子は身代わりで逮捕されるも、仲間たちとともに鑑別所から脱走して隆明のいる町へ向かう。ところが振り子はSSにつかまり、荒木家の屋敷の地下に閉じ込められる。その後、振り子は隆明に助けられ、ピラニアたちと合流しようとする。
そして、フーテン集団と義太郎たち町民の間で殺し合いに発展する。