対空戦車

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レオパルト2 マークスマン

対空戦車(たいくうせんしゃ)は、対空機関銃/機関砲(対空砲)などを戦車用車台に搭載した対空兵器装甲車輌である。自走式対空砲のカテゴリーに含まれる兵器であるが、自走砲との区別は時代や国、編成により異なり、明確ではない。

戦車の車体を利用した機動性により、前線の戦車部隊に追随し、前線部隊を航空機などの脅威から防御することを目的としている。ただし通常の戦車と比べ、多くの場合装甲は薄くなっており、また、武装も対空兵器中心であるため、敵の戦闘車輌や対戦車兵器との直接戦闘は不得手である。

また、対空戦車が必要とされる状態とは航空優勢を失った戦局が不利な状態であり、その場合航空機や戦車、そして安価で数をそろえやすい通常の対空兵器[1]の生産配備が優先される。逆に対空戦車を量産できるほどの余力が生じている状態とは、普通戦局が有利で航空優勢を得ている状態であり、わざわざ対空戦車を量産する必要がない状態である。どちらにしても、対空戦車の量産配備は後回しで、十分な数がそろわない傾向にある。

このような機関砲装備の対空戦車の存在意義を疑問視する意見もある。これは車輌にとって最大の敵である攻撃ヘリコプターからの、対戦車ミサイルの射程が延長され、機関砲の射程外から一方的に攻撃される事態が想定されるということである。加えて高価な火器管制装置の搭載は対空戦車の単価向上に繋がり、中小諸国がこうした兵器を持つのを難しくするだけではなく、先進諸国が十分な配備数を調達することも難しくしている。

対抗手段としてツングースカのように小型ミサイルを装備したハイブリッド化や、あるいは機関砲弾自体の射程延長化が進められている。ただ、小型ミサイルさえ搭載できればいいなら高価な対空戦車は不要だという意見もある。現代で対空戦車とはやや異なる、安価な軽車両に対空ミサイルを装備したもの[2]が増加してきているのは、こうしたためである。ただし、ミサイルでは敵が有効なECMを使用した場合無力化されてしまう上に、誘導装置や弾頭などが対航空機に特化した設計となっているため非装甲車両や軽装甲車両などの地上目標には殆ど役に立たないので、そうした電子妨害が効かない点と地上の敵に対する掃射にも使用可能であるという点で機関砲は有効である。また、ミサイルには安全装置解除やロックオンのために必要な最小射程があるが、機関砲はそれより至近に入り込んだ敵に反撃することもできる。

ロシアのウクライナ侵攻戦では、対戦車ヘリコプターが別種の対空兵器群で駆逐され、ウクライナに供与されたゲパルト対空戦車が時代遅れとの前評判を覆して、大量投入され大戦果を上げた安価な対地攻撃無人機の排除に優れた実績を示し、高価な対空ミサイルより運用経費が安くつく事を実証し、前述の機関砲装備の対空戦車の存在意義を疑問視する意見は間違いであることを戦場の実績で示した。

種類

脚注

関連項目

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