尿道炎
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合併症
尿道炎の症状はその原因によって異なる。感染性の尿道炎では感染後数週間から数ヶ月で症状が出現する。非感染性の尿道炎では通常数日後に症状が現れる[5]。一般的な症状には、排尿痛、持続的な尿意、瘙痒感、尿道分泌物などがある。その他の症状は性別によって異なる[1]。男性は血尿や血精液症、陰茎の瘙痒感・圧痛・腫脹、鼠径部のリンパ節腫大、および/または性交時または射精時の痛みを経験する場合がある。女性は腹痛、骨盤痛、性交時痛、または膣分泌物を経験することがある[6]。非淋菌性尿道炎は通常、女性に顕著な症状を示さないが、感染が生殖器系の一部に広がることがある[5]。
淋菌性尿道炎に伴う重篤な、しかし稀な合併症には、陰茎浮腫、尿道周囲組織膿瘍、瘢痕化等の尿道狭窄、陰茎リンパ管炎などがある[1]。 非淋菌性尿道炎の場合は合併症として、男性では精巣上体炎、反応性関節炎、結膜炎、皮膚病変、分泌物が生じ、女性では骨盤内炎症性疾患、慢性骨盤痛、膣炎、粘液膿性子宮頸管炎、流産が引き起こされることがある[7]。
原因
感染性尿道炎は淋菌により引き起こされる淋菌性尿道炎とクラミジア・トラコマチスにより引き起こされる非淋菌性尿道炎(Non-gonococcal urethritis; NGU)に分類される。NGUはルーチン検査症例の20-50%を占める[8][9]。非特異的尿道炎(Nonspecific urethritis; NSU)とも呼ばれるNGUには、感染性の原因と非感染性の原因がある。
その他の原因として次のようなものが知られている[1][10]:
- マイコプラズマ・ゲニタリウム[11]:2番目に多い原因で[12]非淋菌性尿道炎の15~20%を占める。
- 腟トリコモナス[13]:米国では症例の2~13%を占める。多くの症例では無症候性である[14]。
- アデノウイルス
- 尿路病原性大腸菌(UPEC)
- 単純ヘルペスウイルス
- サイトメガロウイルス
- 反応性関節炎:尿道炎は関節炎、結膜炎と共に反応性関節炎の三徴候の一つである[15]。
- ウレアプラズマ
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)[16]
- β溶血性レンサ球菌[17]
- 免疫抑制中の患者における真菌感染[14]
- 閉経[1]
感染症以外の尿道炎の原因としては下記のようなものが考えられる[18][要出典医学]:
- 尿道カテーテルの挿入、留置
- 間欠的自己導尿
- 経尿道的手術、検査
- 尿路結石
- 外傷
- 運動、衣服による締め付け、石鹸などによる性器周囲への刺激[1]
また、女性の場合は、排尿後に性器に残留した尿をトイレットペーパーを用いて拭いとることが細菌繁殖を防ぐために不可欠であり、後述のとおり膀胱炎に症状が進行しやすい傾向にある。このため、尿意の切迫等により緊急避難的に野外での排尿を行う場合はティッシュペーパーが必須となる[19]。
診断
尿道炎の診断は通常、患者の病歴聴取と身体所見の診察による。
女性の場合、尿検査、血液検査、膣培養、膀胱鏡検査、核酸検査[20]などが行われる他、尿道からの分泌物、下腹部や尿道の圧痛の有無が確認される[6]。
男性の場合、以下の少なくとも1項目により診断される:診察時の粘液膿性尿道分泌物または膿性尿道分泌物、尿道スワブのグラム染色による油浸野あたり2個以上の白血球、白血球エステラーゼ陽性、初尿[注 1]の高倍率視野あたり10個以上の白血球。尿道炎の基準を満たした男性は、クラミジア・トラコマチスと淋菌の核酸増幅検査を受けて原因菌を特定するのが一般的であり[1]、更に腹部、膀胱領域、陰茎、陰嚢の検査を受診する[6]。直腸痛が報告されている場合または高齢の場合は、それに加えて直腸指診検査が行われることもある[21]。
予防
一次予防にあっては、尿道炎発症の危険因子を減らすことが肝要である。危険因子には、(特に無防備な) 性交、窮屈な衣服等による性器への刺激、運動、石鹸・ローション・殺精子剤等の刺激物の接触が挙げられるが、これらに限られない[1]。
淋菌性尿道炎および非淋菌性尿道炎は、以下の方法で予防できる:
クロルヘキシジンは、グラム陽性菌やグラム陰性菌の細菌に幅広く有効な抗菌剤である。0.12%クロルヘキシジン溶液15mLまたは0.2%クロルヘキシジン溶液10mLで30秒間口をすすぐと、使用後7時間以内に唾液中の細菌数が大幅にかつ長時間減少した。2010年のある実験では、性交渉前のクロルヘキシジン洗浄が特に男性においてオーラルセックス後に尿道に侵入する細菌による非淋菌性尿道炎の予防に有用である可能性が示された[23]。しかし、この仮説を検証するための実臨床研究はまだ行われていない。