峠鬼

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ジャンル古代倭国ファンタジー[1]
作者鶴淵けんじ
出版社KADOKAWA
峠鬼
ジャンル 古代倭国ファンタジー[1]
漫画
作者 鶴淵けんじ
出版社 KADOKAWA
掲載誌 青騎士
ハルタ
レーベル ハルタコミックス
発表号 青騎士:
1号 - 6号
ハルタ:
Vol.67 -
発表期間 2018年4月13日[2] -
巻数 既刊8巻(2025年8月12日現在)
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峠鬼』(とうげおに)は、鶴淵けんじによる日本漫画作品。2018年4月、『ハルタ』(KADOKAWA)Vol.53の付属の小冊子『青騎士』にて1号から[2]6号まで連載。『ハルタ』に移籍して、Vol.67から隔号で連載中[3][4]飛鳥時代を舞台にして、「古代神話にファンタジーやSFの視点」が加えられて描かれた鬼漫画[4][5][6]

山に神、峠に鬼がいたとされた時代。里の風習で神への生贄に選ばれた少女・は、旅の途上で里を訪れた道士・役小角、その弟子の鬼・と謎めいた女性・後鬼と出会う。大神との邂逅や神器の持つ不可思議な力に巻き込まれたことで生贄となる危機を脱した彼女は小角の弟子となり、人知を超越した神々を巡る旅を共にすることを決意する。

主な登場人物

妙(みよ)
小角の弟子の一人の少女。切風孫命神の里の氏子であり、自宅に白羽の矢が立ったことで神への供犠とされていたが、小角によって救われ彼に同行するようになる[1]。直情的に大胆な行動しがちで、人が触れることを許されない神器を使ってしまい大神の怒りに触れるなど波乱を招くことが多いが、神器の呪いから小角を救うために単身大神に直訴したり、彼岸と此岸とを行き来するなど道士としての高い素質を持つ[4]
役小角(えんのおづの)
神と対話する力を持つ高名な行者[1]。役行者(えんのぎょうじゃ)や役優婆塞(えんのうばそく)とも称される。弟子である善と妙を従え、倭国を旅しながら卓越した験力により各地で大神たちと渡り合う。
少年期に師匠・不来巳(こずみ)に付き従い、葛城山の神である一言主に仕えていた。利害の調整をせず無分別に嘆願者たちの願いを聞き入れる一言主に反発しているが、同時に恋心も抱いており、現在の旅の密かな動機にもなっている。
生駒山での峨嵋行(飢饉に苦しむ人々を見殺しにする精神修行)を命ぜられた際に鬼となった善と出会い、見捨てることができずに弟子として引き取った。苦しむ人を見捨てることのできない性格のために、たとえ自らの命を狙う人食いの鬼であっても救いの手を差し伸べようとする。
善(ぜん)/前鬼(ぜんき)
小角の弟子である鬼の少年[1]。時代にそぐわない現代的な髪形に金髪という出で立ちで首にはマフラーを巻き、笈を背負っている。普段は人間の姿であるが、首に刺さった封印の杭を引き抜くことで山羊のような角が生えて鬼の姿となる。当初は人間である妙を見下し、冷たい態度をとっていたが行動を共にするにつれて彼女を認めるとともに無意識のうちに好意を抱きつつある。粗野な言動が目立つ一方で漢籍を嗜むなど対照的に教養を持つ。
かつては人間であったが、飢饉によりやむを得ず家族の死肉を口にしたことで鬼となった。修行中の小角と出会い、人間に戻るという夢を叶えるために彼に付き従う。
後鬼(ごき)
小角と同行していた女性。仮面で素顔を隠し、高貴な出自を想起させる装飾品を身に着けている。病に苦しむ人々に薬を施したり、慈しみに溢れた態度で接する。
妙からは役小角の弟子と思われていたが、実際には小角が妟尹石から神器を切風孫命神へ渡すよう依頼された際に目的地が同じであったことから一行に合流したため小角の弟子ではなく、彼らも後鬼の素性を知らなかった。
その正体は未来の妙本人である。切風孫命神の下まで送り届けられると、去り際に正体をほのめかして神器『環蛇の鏡(かんだのかがみ)』により未来の役小角の下へと戻っていった。
東宮(あずまのみや)
岡本宮にある御所に居を構える若い高僧。道昭の弟子であり役小角とは古くからの知り合い。仏僧でありながら多くの妻を娶るという女たらしで、耽美な振る舞いで妙をも狙う。小角から妙の身の安堵を依頼され、旅を諦めさせるために香炉・四眼香を用いて小角と善との旅の記憶を消し、宮中に入り自分の妻となる未来の幻覚を見せる。
親の分からない貴族の子として宮中に生まれ、兄と称する貴族の男に目をかけられて育てられるが、老齢となり政争に明け暮れて疑心暗鬼となった兄に自らの地位を簒奪しようとしているとの疑いをかけられ、潔白を証明するために朝廷での地位を捨てて出家し、現在に至っている。
作中では朝廷が近江派飛鳥派とに分裂しており、飛鳥派によって彼が次の大王(天皇)として擁立されているとの描写があるほか、東宮が大海人皇子(後の天武天皇)であり、彼を育てた「兄」は現在皇位に就いていることから天智天皇である可能性がある。
道昭(どうしょう)
玄奘三蔵の弟子で朝廷に仕える高名な僧侶。爆徳坊主を自称し、山を歩けば動物が寄ってくるほど徳の高い人物であり、豪快な性格。役小角が峨嵋行を終えて飢えに苦しんでいるときに出会い、哀れに思って自分の寺へ居候させる。
善を人間に戻すために各地の大神から力を借り、葛城山を目指そうとする小角に師である玄奘から譲り受けた七曜七星剣を貸し与える。
役白専(えんのしらと)
役小角の母親。商売根性たくましく、かつて一言主の氏子を騙って葛城山の麓で宿を開き、訪れる嘆願者たちへ杖や酒を売りつけていたが、変装して現れた一言主に対して彼女とは知らずに軽口を聞いたことで不老の身となり、年齢は60を超えているにも関わらず18歳の頃の外見を保っている。しかし不老は外見のみで内臓を始め身体機能は年齢相応に衰えており、容姿との乖離が進行している。
現在は葛城山の麓で宿のみを営んでいる。
不来巳(こずみ)
役小角の師匠である仙人。朝廷の政に大きな影響力を有する三世上人の一人。小角からは「老師」と呼ばれている。小角が幼少期の頃から仙人になるために厳しい教育を施しており、その過程で一言主に仕えさせた。最後の試練として生駒山の善の住む里で意図的に飢饉を発生させ、そこで小角に峨嵋行を命ずるが、小角が善を連れて修行を放棄したことで行方を眩ませられる。
峨嵋行の失敗から年月が経ち、無人となった葛城山で小角と再会した時には第三の目が開眼しており、峨嵋行のために里を壊滅させたことを知って激昂した善によって頭部を潰されるが、これを物ともせず肉体を再生させたほか、巨鳥に変化する能力など仙人の域に達していた。長年にわたり手塩にかけてきた小角を偉大な仙人とすることに執着しており、これを拒否した彼を従わせるために障害となる妙や善を殺害しようとする。
小角に対して峨嵋行の失敗や修行からの逃亡を一切咎めず、昇仙するまで何度でも峨嵋行の環境を作ろうとしたり、とある事情から森で遭遇した妙から唐突に弟子入りを申し込まれた際には、見込みはないとしつつも弟子入りを許したりするなど常人離れした思考を持ちながら面倒見は良い。
辛国(からくに)
宮中の典薬寮に仕える道士。道昭とは古い仲。
朝廷が二分される中、自らが仕える東宮を次代の天皇とするために投獄された小角の手助けと引き換えに、三種の神器吉野の東宮の元へ運ぶ依頼をする。
義学(ぎがく)
鬼が住まう出雲の秘境「歩(あよ)の里」を統べる人間の男性。鬼たちからは「カシラ」と呼ばれており、義玄とは夫婦。栄養失調により身体が衰弱していたが、小角の治療により回復する。
元々は敬虔な仏教徒であり、出雲の豪族に「歩の鬼」退治を依頼され、魔の権化である鬼と相見えることで逆説的に仏の存在を確信できるとの考えから嬉々として鬼の元へ向かうが、義玄をはじめとする鬼たちによって簡単に捕縛されてしまう。しかし、悪鬼であるはずの彼女らに殺されるどころか危害すら加えられずに見逃されたことから、鬼たちが世間で言われるような憎むべき存在ではないと考えるようになり、鬼に対する理解を深めるために里へ住み始めた。
里に入る際に鬼たちから信頼を得るために自らの左目を短刀で突き刺して、彼らと同じように片目を失った。鬼たちに略奪や人食いを止めさせるために、農耕や狩猟を教えることで文明的な社会を築き上げたことで鬼たちから感謝され、頭領として祭り上げられた。
「鬼とは何か」を探求しており、その過程で人間以外の動物は鬼にならないことを発見している。
なお、「義学」は実際の役小角伝承における前鬼(小角に仕えた男の鬼)の別名でもある。
義玄(ぎげん)
「歩の里」に住む女性の鬼。腕っぷしの利く男勝りな性格で里の鬼からは「アネゴ(姉御)」と呼ばれる。義学とは夫婦であり、一児の母でもある。
かつて鍛冶を生業としていた集団の一人であり、冶金の火花により左目を失っている。戦乱により故郷を追われ、生活の途を失ったことで山中をさまよう流民となり、その途上で行き倒れた仲間の肉を食らったことで角を持つ鬼となった。
里の近くを旅していた小角らを鬼退治の一行と勘違いして捕らえるが、誤解が解け、小角が医術に通じていることを知ると義学の治療を懇願した。
夫との間にできた幼い子には鬼の角が無いが、「こんなものないに越したことはない」と角の有無に関わらず溺愛している。
「義学」と同様に「義玄」は後鬼(小角に仕えた女の鬼)の異名である。

登場する神々

書誌情報

出典

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