悪性貧血
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胃粘膜が萎縮することでビタミンB12の吸収に必要な内因子が低下するためにDNAの合成が障害されるために起こる。内因子の欠乏は他にも胃全摘後などにも起こる。「悪性」と呼ばれるのはビタミンB12の合成が可能になるまでは治療法がなく、致死的な経過をたどったためである。
病態
原因
最も一般的に(温帯気候においては)、内因子によるビタミンB12の結合障害の原因は、タンパク質である内因子が自己免疫の攻撃を受けてビタミンB12と結合できなくなるのと同様に壁細胞も自己免疫によって攻撃されて結果的に消滅していく自己免疫性萎縮性胃炎によるものである[1]。
それほど多くはないが壁細胞の喪失は、ヘリコバクター・ピロリへの感染も含めた長期間にわたる慢性胃炎を患っている高年齢者に良く見受けられるような自己免疫以外のものに起因して大きく広がった萎縮性胃炎の結果の一部でもありうる。
悪性貧血以外のビタミンB12欠乏症の診断は、巨赤芽球性貧血の診断の有無によって判定されることになる。巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12の吸収に必要な内因子が低下するためにDNAの合成が障害され、正常な赤芽球が産生されず異常な巨赤芽球が産生されるために起こる悪性貧血である。[2]。例えば、巨赤芽球生貧血を引き起こし悪性貧血と誤診されるビタミンB12欠乏症は、ビタミンB12を宿主と競争して吸収する寄生虫であるサナダムシの寄生のような例しか考えられない[3]。
同様のビタミンB12の吸収障害は、胃全摘手術かルーY系腸縫合のような胃バイパス手術の特殊な外科手術の場合に起こりうる。このような場合には、胃が極めて少量の食事しか保持できないか、残された胃が機能しないかのいずれかの結果となる。それゆえ胃粘膜がもはや機能しなくなり内因子が生成できなくなる。 ビタミンB12を吸収を促進する胃内因子が分泌されないため、悪性貧血が結果として引き起こされるのである。胃バイパス手術や胃切除の患者は、悪性貧血の予防の観点からビタミンB12の注射や鉄剤の経口投与が行われる。
症状
検査
- 血算
- 骨髄
- 過形成であり、巨赤芽球、巨大後骨髄球、多核巨核球などを認める。
- 生化学
- 無効造血により細胞内の物質が血液中に出るため、間接ビリルビン、LDH、リゾチームの上昇、ハプトグロビンの低下を認める。ビタミンB12は低値となる。ビタミンB12の不足によりメチルマロニルCoAからスクシニルCoAへの代謝が障害されるため、メチルマロン酸が増加する。
- 鉄代謝
- 免疫
- 抗内因子抗体や抗壁細胞抗体陽性。
- 胃液の分泌が低下する。
- 上部消化管内視鏡
- 胃粘膜の萎縮を認める。
- シリング試験
- 放射性ビタミンB12(57Co-VB12)を経口投与して非放射性ビタミンB12を筋注し、尿中の放射性ビタミンB12の活性を調べる試験。正常なら7%であるが、悪性貧血ではビタミンB12の消化管での吸収が障害されているために5%以下となる。内因子を同時に投与すれば尿中放射性ビタミンB12活性は正常値となる。
診断
治療
ビタミンB12の非経口投与を行う。内因子が存在しなくても微量ながらビタミンB12は腸管から吸収されるため、大量経口投与を行う場合もある。