摩利支天

仏教の守護神である天部の一尊 From Wikipedia, the free encyclopedia

摩利支天(まりしてん, : Mārīcī[1]、マーリーチー[1][2]、訳:陽炎、威光[3])は、仏教の守護神である天部の一尊。梵天の子、または日天の妃ともいわれる[3]。摩里支菩薩、威光菩薩とも呼ばれる[2]

摩利支天(マーリーチー)は陽炎太陽の光、の光を意味する「マリーチ」(Marīci) を神格化したもので、その姿の形成にはインド神話に登場するスーリヤウシャス、「天の赤い猪」と呼ばれたルドラが関わっていると考えられ[1]に乗っていたり三面のうちの一面が野猪の顔をしている点はヴァラーハの影響だとする説もある[4]。陽炎は実体がないので捉えられず、焼けず、濡らせず、傷付かない。隠形の身で、常に日天の前に疾行し、自在の通力を有すとされる。これらの特性から、日本では武士の間に摩利支天信仰があった。また、道教においては斗母元君として祀られる[5]

像容

元来は天女の姿であるが、男神としても造像されるようになった[3]。唐装の天女形で左手に天扇を持つ二臂の坐像や、猪の背に置かれた三日月の上に立つ三面六臂または三面八臂の姿などがある[6]

日本における信仰

護身や蓄財などの神として日本で中世以降信仰を集めた。楠木正成は、兜の中に摩利支天の小像を篭めていたという。また、毛利元就立花道雪は「摩利支天の旗」を旗印として用いた。山本勘助前田利家立花宗茂といった武将も摩利支天を信仰していたと伝えられている。禅宗日蓮宗でも護法善神として重視されている。

日本の山岳信仰の対象となった山のうちの一峰が摩利支天と呼ばれている場合があり、その実例として、木曽御嶽山(摩利支天山)、乗鞍岳(摩利支天岳)、甲斐駒ヶ岳があげられる。

タイ捨流剣術では、現在でもなお、「タイ捨流忍心術」摩利支天経を唱えてから稽古や演武に入る[7]

真言・種字・印

  • オン・マリシエイ・ソワカ[8]
  • オン・アニチヤ・マリシエイ・ソワカ(隠形呪)[8]
  • 種字は「マ」[8]

代表的な秘法である「摩利支天隠形法」の印契は2種2段階あり、一つ目は小指無名指を内縛して両手の大指頭指を立て、中指を頭指の手前に丸くして重ね、修行者の顔面に覆い隠す様にかざし、姿を隠す天扇に見立てる摩利支天根本印である[8]。この印を結んでから真言を7回唱えて心臓、額、左右の肩、頭頂を加持し、もう一つの摩利支天隠形印を結ぶ[8]。これは左手の大指を他の指で包み、右手の指を揃えてこれを覆うというものであり、右手が摩利支天の身で左手が心を表す[8]。この印を結んで真言を唱えることにより、自身の気配を消し、それにより水難、火難、盗難などのあらゆる害毒災難から身を護ることが出来るとされる[8]

陀羅尼

ナモアラタンナ・タラヤヤ・タニヤタ・アキャマシ・マキャマシ・アトマシ・シハラマシ・マカシハラマシ・アタンダナマシ・マリシヤマシ・ナモソトテイ・アラキシャアラキシャタマン・サラバサトバナンシャ・サルバタラ・サルババユ・ハダラベイ・ビヤクソワカ

摩利支天の法

日本には忍者が結ぶの基になった、戦場に臨む武士が行う修法「摩利支天の法」(まりしてんのほう)が存在し、摩利支天は武士の守り本尊として鎌倉時代から武士に人気があった。方法は、右手と左手の人差し指と中指をそれぞれ立て、右手を刀、左手を鞘に見立て、右手で空中を切る。空中を切った後、刀に見立てた右手指は、鞘に見立てた左手に納める。

祀る主な寺院

その他

脚注

参考文献

関連項目

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