聖務日課

From Wikipedia, the free encyclopedia

聖務日課(せいむにっか、: officium divinum)または時課典礼: liturgia horarum)は、カトリック教会で行われる典礼の一つ。毎日行われる[1]

ハイリゲンクロイツ修道院の修道士。

以下、カトリック教会の時課を解説する。広義の時課については、「時課」を参照せよ。

歴史

初期教会

キリスト教の定時祈祷は、第二神殿期ユダヤ教の祈祷習慣を継承したもので、詩篇朗誦、朝夕の祈り、第三・第六・第九時の祈祷(使徒3:1参照)が原型である。ここで特に重要なのは、詩篇中心の祈祷、一日数回の定時祈祷、共同体的朗誦形式でこれが後の「朝課」「晩課」「三時課」等の基礎となった。

使徒時代の記録として、『使徒行録』には「第九時」に祈る(3:1)、夜半に賛歌を歌う(16:25)、「絶えず祈れ」(1テサ5:17)などと書かれている。この時代にはまだ固定的な聖務日課書は存在せず、詩篇、主禱文、賛歌(フィリッピ書2:6-11等)が用いられた。

教父時代の記録として、テルトゥリアヌスやオリゲネスといった教父の著作においても、第三・第六・第九時、朝夕の祈祷が確認できる。また、ヒッポリュトスの『使徒伝承』には、 信徒が一日七回祈る習慣が記される。この頃すでに、詩篇朗誦、主禱文、交唱形式、立位での祈祷が確立していた。

コンスタンティヌス以後、修道制の影響で、共同体的典礼が発展する。聖アントニウス、聖パコミオス、聖バシレイオスにより、修道院では詩篇全体を周期的に唱える制度が整えられた。特に夜課が重視され、徹夜祈祷が制度化された。

聖ベネディクトゥス(6世紀)は『聖ベネディクトゥス戒律』において、一週間で詩篇150篇を全て唱える体系、夜課・朝課・第三時課・第六時課・第九時課・晩課・終課を規定した、これが後の『ローマ聖務日課書』の基礎となった。

時課

さらに見る 旧式, 時間の目安 ...
カトリック教会の時課
旧式 時間の目安 新式
朝課(ちょうか) Matutinum 夜中(0時頃) 読書課(どくしょか) Officium Lectionis
賛課(さんか) Laudes 日出(6時頃) 朝の祈(あさのいのり) Laudes Matutinas
小時課(しょうじか) 一時課(いちじか) Horae Minores Prima 6時 廃止
三時課(さんじか) Tertia 9時 昼の祈(ひるの…) Hora Media
六時課(ろくじか) Sexta 12時
九時課(くじか) Nona 15時
晩課(ばんか) Vesperae 夕刻(18時頃) 夜の祈(よるの…) Vesperae
終課(しゅうか) Completorium 就寝前(21時頃) 就寝前の祈(しゅうしんまえの…) completorium
閉じる

第二バチカン公会議後の聖務日課

カトリック教会では第2バチカン公会議まで全世界でラテン語で唱えられており、聖職者や修道者などによるものという位置づけであったが、典礼改革によってすべての信徒による祈りとしての位置づけに改められ、使用される言語はラテン語だけでなく、各言語に拡大した。1973年にカトリック中央協議会から刊行された日本語版聖務日課書は『教会の祈り 新しい聖務日課』と題されている[2][3]

第2バチカン公会議文章である『典礼憲章英語版』(Sacrosanctum Concilium)の第四章は「聖務日課」に関する規定である。これによれば聖務日課は「古来のキリスト教伝統によって、神への賛美を通して昼夜の全過程が奉献される」ことであった[4]。この本来の目的を踏まえ、煩雑にあった時課を整理し、賛課(Laudes)を「朝の祈り」とし、晩課を「夕の祈り」としてこの二つを主要時課とし、朝課を「読書課」としていつでもとなえることができるように変えた[5]。さらに終課を「寝る前の祈り」とし、一時課を廃止、三時課、六時課、九時課は任意でひとつを選んでも良いものとした[6]。さらに聖務日課で唱えられる詩篇および聖書朗読の箇所、読書の内容を典礼暦を元に再配分した上で、より多くの人の祈りとするために、使用される言語をラテン語だけでなく、各言語に拡大した[7]。なお、聖務日課を唱えることは歌隊共唱の義務を負う団体および修道者の義務とされている[8]

構造

聖務日課の祈りの中心は旧約聖書の詩篇を唱えることにある。各時課によって違いはあるが、聖務日課の基本的なやり方は以下のとおりである。

なお、聖務日課の詩篇は全体が一定の分量で区切られており、祈りをささげるものが交代で唱えることができるスタイルになっている。

聖母小聖務日課

伝統的には、聖母マリアの小聖務日課も伝統的に唱えられてきた。現在の教会では義務ではなく私的信心業と位置づけられる。

日本では世のひかり社から刊行されている[9]

脚注

参考文献

関連項目

Related Articles

Wikiwand AI