曼陀羅 (1971年の映画)
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敦賀(ロケ地 丹後半島 琴引浜)の海岸沿いに建つ一軒の小さな城のようなモダンなモーテル。そこには二組の恋人同志、信一と由紀子、裕と康子が、互いに相手を交換し合い抱き合っている。一方、このモーテルの支配人室では、支配人の真木がブラウン管に写しだされている、二組の部屋の情景を凝視していた。数時間後、裕と康子が先に帰るのを見送った信一と由紀子は海岸に降りてゆくが、下帯姿で魚をとる真木の部下の茂雄と守に襲われた。しばらくして気が付いた信一は、死んだような全裸の由紀子を愛撫し始めるが、二人は朦朧とした意識の中で、かつてない深い陶酔にひたった。それから一か月後、二人は京都に戻り、妊娠した康子は、裕に結婚して欲しいと訴えるが、信一と共に全共闘の左翼学生である裕にとって、結婚など無意味なことであった(ロケ地 瑞峰院)。他方、信一と由紀子は海岸での出来事が、真木に仕組まれたことであり、あの素晴らしい陶酔も実は真木に操られていたのではないかという疑問を解決する為に再びモーテルを訪れ、真木に詰問するが、真木はそんな二人を、とある山中の寺院(ロケ地 龍源院)に招じ入れる。そこは、単純再生産の法則が全てを支配するユートピアであり、それゆえに農業とエロチシズムの追求が二本の大きな柱となっている。そして人間は一瞬の恍惚を求めて彷徨うが、その恍惚とは生きながらにして時間の感覚を失う瞬間をいい、この単純再生産こそ人間の全ての営みの中で時間を失った永遠の空間を造りだすものである、と語り、ここには、もろもろの神様相手に売春する白衣に身を固めた能面のような真木夫人と、夫人に仕える若い女、君子が居り、あのモーテルはこのユートピアと外の世界を結ぶ通路であるという。信一と由紀子は、真木夫妻に魅せられていった。一方、賀茂川で「統一と団結」派の左翼学生達に追われた康子と裕は、信一たちの姿を求めて海岸にたどり着くが、真木の命を受けた茂雄と守に襲われる。しばらくして気がついた裕は、今は真木の信奉者になった信一と由紀子に対し、このようなユートピアは空想であり、夢、幻のようなものだと問いつめる(ロケ地 奈良県 石舞台古墳)。この間、別の部屋で傷つき横たわる康子は、茂雄と守にサディスティックに犯され、遂に自殺する。数日後、このユートピアで“聖なる種まきの祭”が行われ、真木夫人は痙攣的な祈祷を捧げ、他の者は野外でエロチックに踊り狂った。これを見た裕は、行方不明の康子は、この集団に殺されたのであり、カリスマがユートピアの支配原理であることの犯罪性を強く信一に問いただすが、信一は狂ったように踊りまくるだけだった。今こそこのユートピア集団の本性を知った裕は、これを破滅させる為に真木夫人を犯し、康子の埋められている場所を案内させる。夫人は、渓流の滝に身を投じた。康子と夫人の死は、真木の理想とするユートピアの崩壊であった。真木達は裕の止めるのも聞かず新天地を求めて荒海に向かって船出するが、砂浜に全員死体となって打ちあげられたのは、それから間もなくであり、憤怒の形相の真木の手にはしっかりと曼陀羅が握られていた。裕は真木らが去った寺を焼き払う。数週間の後、モーテルを売払い、刀剣商に入る裕の姿があった。
キャスト
スタッフ
- 企画:葛井欣士郎、淡豊昭
- 脚本:石堂淑朗
- 作曲:冬木透
- 演奏:木村一子[3]
- 美術監督:池谷仙克
- 写真構成:沢渡朔
- 撮影:稲垣涌三
- 色彩計測:中堀正夫
- 照明:佐野武治
- 編集:浦岡敬一
- 記録:鈴木徳子
- 録音:中川浩一
- 監督補:大木淳
- 撮影部:大根田和美、猪瀬雅久、白松誠
- 移動効果:平鍋功
- 照明部:林光夫、釜田幸一、加藤慶一
- 美術部:大沢哲三、望月康男
- 録音部:広瀬浩一、竹中直
- DBミキサー:星野敏明
- 効果:小森護雄
- 演出部:佐藤静夫、下村善二、谷沢雅俊、原夏郎、鈴木道朗
- 制作協力:日本現代企画、コダイ・グループ
- デスク:吉井美那子
- 制作:淡豊明
- プロダクションマネージャー:熊井尊子
- 監督:実相寺昭雄