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未来忍者 慶雲機忍外伝

1988年の映画 From Wikipedia, the free encyclopedia

未来忍者 慶雲機忍外伝』(みらいにんじゃ けいうんきにんがいでん)は、1988年(昭和63年)に発表された特撮時代劇、およびアクションゲーム。時代劇とメカニックが混在する和風の異世界を舞台に、サイボーグ化された忍者(機忍)白怒火(しらぬい)の戦いを描く。

特撮時代劇の方は雨宮慶太の初監督作品[1][2]でもあり、劇場での公開ではなくオリジナルビデオとして発表された[2]。またゲームはナムコからアーケードゲームとして発表された。元々はゲーム版の開発が先行していたものの、映画が1988年10月の東京ファンタスティック映画祭参加作品になったため、ゲーム版より先に上映された[3]。このような事情から、ゲーム名はサブタイトルのない『未来忍者[4]とされている一方、映画版ではタイトルに「外伝」の語句が用いられており、映画とゲームのチラシでも「ゲームの映画化」と銘打たれている[5][6]

オリジナルビデオ

前述の通り、1988年の東京ファンタスティック映画祭参加作品であるが、一般の映画館では公開されず、ビデオでの発売となった。

監督の雨宮の語るところによれば、元々本作品の企画は当時ナムコに所属していた北原聡が1人で手がけていたもので、当初は社内でも埋もれそうになっていた企画であったという[7]。当時の雨宮はイラストの手伝いや、ゲームショー用のプロモーション映像製作といった形で、ナムコが開発を手掛けていた『源平討魔伝』にも携わっていた頃であり、その打ち合わせでナムコにも出入りする中で前述の企画が気になり、北原に「これはどういうつもりで企画しているのか」と訊ねたところ、北原からは実写での映像化を目指している旨を告げられたと述懐している[7]。北原の描く、風変わりなメカの忍者とロボットという要素に心動かされるものがあった雨宮は、以来彼と会う度に「もし映画化するのならぜひ僕に監督をやらせてくれ」と、まるで挨拶のように口にしていたというが、その後前出の『源平討魔伝』の完成と同時期に、北原によって本作品のプレゼンテーションも行われ、雨宮が手がけた『源平討魔伝』のプロモーション映像の出来を気に入った当時のナムコの社長が、このスタッフで実写映画を作ってみないかとの意思を示したことで、本作品の企画も本格的に始動するに至った[7]。一方、当初雨宮はナムコにいた友人と2人で企画をやっていたが、世界観を委ねる監督の候補が挙がらなかったため、内容を熟知している雨宮が名乗りをあげたという証言も残されている[8][1]。本作品での監督業については仕事としては意識しておらず、一生の思い出と考えていたとしている[8][1]

映画制作に当たっては、シナリオよりもまず何より作中に登場するアイテムのアイディアがどんどん出てきたと雨宮は語っており、一般の映画を見る中で感じた、「こういうの出てきたら面白いな」という不満が一気に本作品に出ていたと、またあまり作家としてちゃんとテーマがある訳ではなく、自分が見たいものや人に見せたいものを、早く作りたかったという気持ちが多かったとも付言している[7]。学生時代やデン・フィルム・エフェクト在籍時に手がけていたアニメーションとは異なり、実写作品である本作品の演出は全部が苦労であったと雨宮は振り返っており、しかし「この映画の演出をできるのは自分しかいない」という信じ込みのみでやっていたことが、逆に良かったのかもしれないとも分析している[7]。一方、本作品を作り終えた直後は「これは凄い傑作を作ってしまった」との思いも雨宮にはあったものの、後から見返すと本作品のキャラクターも結構好きであると前置きしつつ、ドラマとして見た場合ちょっと弱い、すなわちシンプルで記号的な部分があったがゆえに日常の話となるとやはり弱いとも振り返っている[9][注釈 1]

雨宮は、VHSビデオ版パッケージ裏面のメッセージで、「『未来忍者』というタイトルはダサい」が、SF映画が西洋文化の王道だった当時「日本の風景を切りとり、日本の役者を使って自分の中のスター・ウォーズなるものを造り上げる」には必要だったと記し、『スター・ウォーズ』シリーズにインスパイアされたことを回想している。また「外伝でない未来忍者を必ず作ると約束します」と、リメイクへの意欲を語っていた。実際に、本作品の劇場版として『金神の風』と題された企画の構想も存在し、その中に出したいと考えていた「三度笠を被ったロボット」というアイディアは、後に雨宮が発表した『ゼイラム』にも活かされる格好となった[9]

ストーリー

機械の忍者・機忍の軍団を率いて周辺諸国を侵略する黒鷺軍。対する諏訪部家は三年前の合戦で家中随一の剣豪・飛勇鶴が倒れたことで追い詰められ、もはや最後の希望は黒鷺軍の居城・奇械ヶ城を狙撃できる巨大な機動砲のみ。しかし陣中見舞に向かっていたサキ姫が黒鷺軍によって誘拐されたことで、その望みも絶たれようとしていた。

奇械ヶ城の天守閣では、妖術師・雷鳴法師によってサキ姫を生贄に総大将たる黒鷺復活の儀式が行われつつある。家老・梶原からサキ姫救出の依頼を受けた傭兵・赤城は、飛勇鶴の弟・次郎丸ら精兵を引き連れ、黒鷺軍の飛行機械・気門を奪って奇械ヶ城への潜入を試みるが、機忍たちの猛攻を前に窮地に陥る。彼らを救ったのは、恐るべき強さの謎めいた機忍だった。

奪われた己の肉体を取り戻すべく、奇械ヶ城を目指してひた走るその名を、白怒火

登場人物

  • 白怒火(しらぬい): 横山誠(声:伊藤聡
黒鷺軍の機忍(サイボーグ忍者)だったが、脱走する。
黒鷺軍に抵抗する諏訪部軍を率いる姫君。気高く男勝りの性格。
  • 赤城(あかぎ): 河井半兵衛
諏訪部に雇われた凄腕の機忍ハンター。黒鷺軍に捕らえられたサキ姫救出に向かう。
  • 次郎丸(じろうまる): 井田弘樹(現・井田國彦
諏訪部の若き剣士。兄・飛勇鶴の形見の十字剣を手に赤城に同行する。
  • 梶原三太夫(かじわら さんだゆう): 牧冬吉
サキ姫の忠臣。黒鷺軍の居城・奇械ヶ城を機動砲で狙撃する計画を進める。
  • 飛勇鶴(ひゆうかく): 伊藤聡
諏訪部一の剣士だったが、3年前の戦いで行方不明となる。
  • 黒鷺敷波(くろさぎ しきなみ): 江森正明
異世界から黒鷺軍を指揮する邪悪な精神体。サキ姫を贄に現世への出現を目論む。
  • 橡伎(しょうき): 吉田瑞穂(声:三田弘明
機忍軍団の侍大将。完全なロボットであり、白怒火をライバル視している。
黒鷺に仕える怪僧。機忍の制作者。黒鷺出現を指揮する。

スタッフ

  • 製作総指揮:中村雅哉
  • 製作:高木慶治
  • プロデューサー:大西邦憲、穴田悟、杉沢康一
  • 監督:雨宮慶太
  • 原案:北原聡
  • 脚本:北原聡、雨宮慶太、田中一
  • 撮影監督・スペシャルエフェクトスーパーバイザー:佐川和夫
  • 撮影:大根田俊光
  • 美術:高橋昭彦(現・井口昭彦
  • 音楽:太田浩一、中潟憲雄
  • 操演:小笠原亀(亀甲船)
  • キャラクターデザイン:寺田克也
  • 造形:レインボー造形・竹谷隆之

映像ソフト

備考

ゲーム

概要 ジャンル, 対応機種 ...
未来忍者
ジャンル 横スクロールアクションゲーム
対応機種 アーケード[AC]
開発元 ナムコ
発売元 ナムコ
音楽 中潟憲雄
人数 1 - 2人
発売日 [AC]1988年12月
システム基板 SYSTEM II
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ゲーム版は、基本的なゲームシステムこそオーソドックスな横スクロールアクションシューティングゲームではあったが、スピード感のあふれる構成で、またSYSTEM 86作品の『源平討魔伝』やSYSTEM I作品の『超絶倫人ベラボーマン』と同様の、複数のスプライトを重ね合わせることで、多関節キャラクターを表現する映像表現を回転拡大縮小機能によって実装。他にも高速スクロールなど、SYSTEM II(同基板3作目)の特長を活かしたゲーム構成となっており、それに忍者とサイボーグなど近未来サイバーパンク的世界観を融合させ、独自色を打ち出していた。

同時期(1980年代後半)までには忍者をモチーフとしたゲーム作品も、複数のメーカーから多数リリースされており、中には『ニンジャウォーリアーズ』(タイトー・1987年)などのサイバーパンク的設定と忍者を組み合わせた作品もみられた。その意味では、本作品もそう目新しい設定でもなかったものの、一方で世界観全体が架空の「近未来でありながら日本の戦国時代的要素を多分に盛り込んだ世界」であり、その意味では日本美術を意識した映像が独特だった。

家庭用移植は行われていなかったが、2021年にアーケードアーカイブスの1作品としてPlayStation 4版とNintendo Switch版が配信。

ゲームシステム

基本的に横任意スクロールだが、ジャンプやエレベーターである程度上下にもスクロールし、プレーヤーは高速で移動することができる機忍「白怒火」を操作するため、機敏な操作を必要とする。基本武器は連射可能な手裏剣と接近戦用ので、敵の攻撃を受けたり接触するとライフ制でダメージを受け、ライフがなくなるとゲームオーバーになる。

所定の場所にアイテムとして珠があり、これを取ることでパワーアップしたり体力回復、あるいは一定時間無敵や敵全滅など、所定の効果が現れる。

移植版

さらに見る タイトル, 発売日 ...
タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア
未来忍者 日本 2021年12月16日[13][14][15][16]
PlayStation 4
Nintendo Switch
ナムコ ハムスター ダウンロード
(アーケードアーカイブス)
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関連項目

  • ゼイラム』 - 1991年公開の雨宮慶太監督作品。本作品の続編を企画していたが形にならず、低予算の中で出来る作品として再考して制作された[8]
  • 慶雲 - 日本の実在の元号。実際にこの元号が用いられた時期は大和時代末期で、本作品の作中に登場するような、天守を備えた城郭や武士が登場するはるか以前のことである。

脚注

参考文献

外部リンク

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