東京女子高制服図鑑

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東京女子高制服図鑑』(とうきょうじょしこうせいふくずかん)は、東京都内の女子高校生制服イラストで集め、図鑑の形式にした書籍である。著者は森伸之装丁南伸坊出版元弓立社ソフトカバーで、初版1985年に215ページ、定価1,200円で刊行。毎年のように改訂版が刊行され、1994年版までロングセラーとなった。

また本項では、『東京女子高制服図鑑』から派生した書籍についても記述する。

主な内容は、東京都内の私立高等学校全151校(女子校共学校)の女子制服(夏服)の解説である。国公立高校都立高校国立大学附属高校)は含まない。制服がない私立高校については校名一覧と、制帽のみ(自由学園高等部)や、過去の制服(女子学院高等学校)がイラストで紹介されている学校もある。

1ページにつき1校を紹介する体裁を取り、各ページには上に囲みで高校名と校章、その下は左側を文字記事、右側をイラストとしており、文字記事は上に所在地や交通アクセス、生徒数等の基本データ、下に森による解説文がある。中央にはその学校の制服を着た女子のイラストが置かれる。この体裁はバードウォッチング用の図鑑を参考にしたと森は本書中で述べている。

森によれば、夏服を題材としたのは、その学校がどれだけ制服に気を遣っているかが、着用期間の短い夏服に現れ「夏服を見れば、その学校がわかる」のだという。

学校は行政区分や地域ごとに分けて配置され、それぞれの地域に関する解説もつく。巻頭には前書き、目次に続き「この本の使い方」として凡例が置かれ、巻末にはセーラー服の歴史に関する解説や、廃止された「絶滅制服」、セーラー服の襟の特徴による校名判別法が置かれるなど、図鑑的な体裁を忠実に守っている。表裏の表紙写真は、ハンガーに吊るされた極めて標準的な長袖セーラー服の上下であるが、これは制服のモデルチェンジで廃止された潤徳女子高等学校の中間服で、同校の卒業生が提供したものである。

その後に続編として、冬服をメインとしたシリーズ本『「制服図鑑」通信』Vol.1 - 3(弓立社、1986年 - 1988年)、日本全国の女子高制服をテーマとした『日本全国たのしい制服教室』(弓立社、1988年)、東京都以外の首都圏3県(神奈川県千葉県埼玉県)の私立高校の女子制服を紹介した『女子高制服図鑑・首都圏版』(弓立社、2000年)が刊行された。また、1993年皇太子徳仁雅子の成婚に合わせ[注釈 1]、日本全国のミッションスクールの女子高制服をオールカラーイラストで紹介した『ミッションスクール図鑑』(扶桑社、1993年)も刊行された。

さらにデジタル媒体として、1995年4月には当書の最新95年度版という触れ込みで、CD-ROM版『東京女子高制服図鑑』(Win版、Mac版2種。ピーズサイテック社)が発売されている。2009年9月からの携帯電話サービス(iモード、EZweb、Yahoo!ケータイ)による配信コンテンツ『東京女子高制服図鑑』(デジほん社)では、一部本書の内容が再録された。

位置付け

著者の森は美学校考現学研究室の出身であり、この作品も赤瀬川原平らの路上観察学の中に位置付けられた。本書には最後に関田浩一、中森明夫、赤瀬川原平が文章を寄せている。また、赤瀬川らの編による『路上観察学入門』に森も文章を寄せており、その中で制服ウォッチングをバードウォッチングや昆虫採集になぞらえて解説している[1]

森はもともと女子高生の制服に関心があり、上京した時に東京の女子高生服のあまりの多彩さに驚き、それらをメモに取り、イラスト化して集め始めたと言う。それを友人の勧めで同人誌として発行したのがきっかけであると述べている。

本書の前書きによれば、想定する読者および使われ方には3通りあり、1番目は書籍として眺めて楽しむこと、2番目は「リセ・ウォッチング」と称して女子高生を観察する人の「図鑑」となること、そして3番目は制服で高校を選びたい中学生の参考となること、とある。

しかしながら「かわいい女の子の制服イラストを見たい」という萌え欲求も想定していたことは間違いなく、先述の同人誌出版についても、当時のロリコンブームを動機に挙げている。ただし当時のそのようなオタク層に受け入れられるものではなかったらしく、同人誌の売れ行きはさっぱりであったとのこと。そうしたことから、本書も一部ではアダルトコンテンツとして扱う向きもあり、これを模した「制服少女写真集」の類も出版された。

一方で、「図鑑」というニュートラルな体裁を取ったことが功を奏し、一般読者や女性からも好意的に受け入れられた面もあり、地方新聞で類似企画が行われた例もあった。「どんな素敵な制服を着るか」という形での学校制服への注目が集まり、制服ブームのきっかけともなった。その結果、1980年代後半から1990年代にかけて、高校進学時の志望校決定に制服デザインが重要視されるようになり、そのために制服デザインを一新する学校が相次いだが(森はこれを本書中でコーポレート・アイデンティティ (CI) になぞらえて「スクール・アイデンティティ (SI) 」と呼んだ)、そのきっかけを作った書籍ともいわれ、続編の出版にはこうした動向が反映された。

本書の存在とその内容は、書かれた学校側でも把握しており、当時は不人気校だった品川高等学校(現:品川女子学院高等部)校長の漆紫穂子は、本書に自校の制服が「生きた化石」と書かれていることを知り[注釈 2]、制服をリニューアルしたことを出版社に通知した[2]という。

なお本シリーズの内容は、森(および協力者の友人ら)の個人調査によるものであり、記載されている内容や、制服改定年度などは必ずしも正確とは限らない[注釈 3]

そのほか、雑誌連載として『月刊ラジオライフ』1987年12月号から1995年12月号までの全97回にわたり連載された『森伸之の婦人警察官制服図鑑』は、『東京女子高制服図鑑』と同じ形式で描かれており、女性警察官のみならず消防官自衛官なども対象としていた。

書誌データ

  • 『東京女子高制服図鑑』弓立社、1985年7月、ISBN 4-89667-002-7
  • 『東京女子高制服図鑑 昭和62年度版』弓立社、1986年12月、ISBN 4-89667-004-3
  • 『東京女子高制服図鑑 昭和63-64年度版』弓立社、1988年6月、ISBN 4-89667-007-8
  • 『東京女子高制服図鑑 1989〜1990年度版』弓立社、1989年12月、ISBN 4-89667-009-4
  • 『東京女子高制服図鑑 1991年度版』弓立社、1991年2月、ISBN 4-89667-160-0
  • 『東京女子高制服図鑑 1992年度版』弓立社、1991年12月、ISBN 4-89667-260-7
  • 『東京女子高制服図鑑 1993年度版』弓立社、1992年12月、ISBN 4-89667-266-6
  • 『東京女子高制服図鑑 1994年度版』弓立社、1993年12月、ISBN 4-89667-365-4

派生書籍

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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