池澤夏樹

日本の小説家、詩人 (1945-) From Wikipedia, the free encyclopedia

池澤 夏樹(いけざわ なつき、1945年7月7日 - )は、日本小説家詩人翻訳書評も手がける。日本芸術院会員。

生誕 福永 夏樹(ふくなが なつき)
(1945-07-07) 1945年7月7日(80歳)
日本の旗 日本北海道帯広市
職業 小説家詩人
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
概要 池澤 夏樹(いけざわ なつき), 生誕 ...
池澤 夏樹
(いけざわ なつき)
生誕 福永 夏樹(ふくなが なつき)
(1945-07-07) 1945年7月7日(80歳)
日本の旗 日本北海道帯広市
職業 小説家詩人
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 埼玉大学理工学部中退
活動期間
作家として
ジャンル 小説随筆
代表作スティル・ライフ』(1987年)
『南の島のティオ』(1992年)
マシアス・ギリの失脚』(1993年)
『花を運ぶ妹』(2000年)
『静かな大地』(2004年)
『また会う日まで』(2023年)
主な受賞歴 中央公論新人賞(1987年)
芥川龍之介賞(1987年)
小学館文学賞(1992年)
読売文学賞(1993年)
谷崎潤一郎賞(1993年)
伊藤整文学賞(1994年)
毎日出版文化賞(2000年・2010年・2020年)
芸術選奨(2001年)
司馬遼太郎賞(2003年)
親鸞賞(2004年)
桑原武夫学芸賞(2005年)
紫綬褒章(2007年)
朝日賞(2011年)
フランス芸術文化勲章オフィシエ(2021年)
早稲田大学坪内逍遥大賞(2023年)
デビュー作 『夏の朝の成層圏』(1984年)
子供 4人
池澤春菜[1][2]
池澤摩耶[3]
親族 福永武彦(父)
原條あき子(母)
Saya(孫)[4]
公式サイト 公式ウェブサイト
ウィキポータル 文学
テンプレートを表示
閉じる

文明や日本について考察を基調にした小説随筆を発表している。翻訳は、ギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけている。各地へ旅をしたことが大学時代に専攻した物理学と併せて、池澤の作品の特徴となる[5][6]。詩が小説に先行していることも、文章に大きな影響を与えている[7]

声優の池澤春菜と起業家、投資家の池澤摩耶は娘[1][2][3][8][9][10]。画家のSaya(摩耶の娘)は孫[4][10]

来歴

北海道帯広市出身で、マチネ・ポエティクで同人の原條あき子(山下澄、1923年 - 2004年)と福永武彦の間に、疎開先の帯広で誕生した。1950年に両親は離婚して1951年に母に連れられて東京へ転居する。のちに母は再婚して池澤姓を名乗り、池澤は実父について高校時代まで知らなかった。父方の大伯父に天文学者で理学博士でもあった海軍少将(水路部員)の秋吉利雄、又従兄に立教大学名誉教授の秋吉輝雄がいる。

1964年東京都立富士高等学校を卒業し、埼玉大学理工学部物理学科に入学する。1968年中退。ハヤカワミステリ短編やテレビ台本、『リーダーズダイジェスト』の記事などを翻訳する。

ロレンス・ダレルの弟のナチュラリストであるジェラルド・ダレルが少年時代を回顧した、ギリシアを舞台にした『虫とけものと家族たち』『鳥とけものと親類たち』『風とけものと友人たち』を1974年から翻訳。これがきっかけで、1975年ギリシアに移住、3年間同地で過ごす。

ユリイカ』の当時の編集長・三浦雅士の誘いがきっかけで、『ユリイカ』に詩を掲載[11]。帰国後、初の詩集『塩の道』を出版する。1979年から『旅芸人の記録』(監督テオ・アンゲロプロス)の字幕を担当、これを契機にアンゲロプロスの作品の字幕を担当する。

1984年5月号『』に長編小説「夏の朝の成層圏」を発表し、1987年中央公論新人賞を受賞した小説「スティル・ライフ」で、1987年に第98回芥川賞を受賞する。

1993年沖縄へ移住する。2005年フランスフォンテヌブローへ移住する。2009年北海道札幌へ移住する。「ぼくが生まれて育ったのは北海道である。梅雨がないことで知られるとおり、最も乾燥した土地だ。フランスを離れて日本に帰ろうかと思った時、同じ空気の中に住みたいと思って、札幌に決めた。ここの今日の湿度は六八パーセント。やっぱり乾いている。」と『週刊文春』で述べる[12]

小説は『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、『花を運ぶ妹』で毎日出版文化賞、『すばらしい新世界』で芸術選奨、『静かな大地』で親鸞賞などを受賞する。随筆は『母なる自然のおっぱい』で読売文学賞(随筆・紀行部門)、評論では『楽しい終末』で伊藤整文学賞(評論部門)を受賞する。2007年紫綬褒章受章する。

『むくどり通信』シリーズなどの随筆もある。2010年北海道新聞中日新聞東京新聞北陸中日新聞西日本新聞及び中国新聞に、小説「氷山の南」を連載。

2001年9月11日アメリカでのアメリカ同時多発テロ事件の直後から『新世紀へようこそ』というメールコラムを100回にわたって発信し、その後メールコラムは『パンドラの時代』、『異国の客』へと移っている。2002年11月にはイラクを訪れ、現地の普通の人々の暮らしを伝える『イラクの小さな橋を渡って』(写真・本橋成一)を緊急出版した。

池澤の個人編集の河出書房新社の『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』全30巻が2007年11月より刊行された。

小説や評論が国語の教科書などで採用されることも多く、『スティル・ライフ』は2002年度の大学入試センター試験国語I・国語IIの追試験問題で出題された。過去問題集では池澤の意向で文章は省略されている。

2011年第145回をもって、1995年第114回から務めた芥川賞の選考委員を辞任。

2012年現在、谷崎潤一郎賞、読売文学賞選考委員を務める。

2014年8月1日から北海道立文学館館長に就き[13]、10月にかつて元従軍慰安婦の偽証言を報じた北星学園大学非常勤講師植村隆の解雇に反対する「負けるな北星!の会(マケルナ会)」を結成[14]する。「たくさんの人が一人の人を非難している。その非難に根拠がないとしたら、もっとたくさんの人が立ち上がってその人を守らなければならない。」と発言した[15]

2020年8月から2022年1月まで、大伯父・秋吉利雄の伝記小説『また会う日まで』を朝日新聞に連載。

2018年6月に北海道立文学館館長を辞任する。

ギリシャ、フランス、沖縄など様々な土地を転居し、札幌には13年ほど住んでいたが、2022年秋、長野県安曇野に転居する。北海道新聞2023年1月7日 連載「天はあおあお 野はひろびろ」より。日本経済新聞2024年1月21日朝刊文化面単発コラム・エッセイ「夢想の川を下る」冒頭に記載がある。

現代世界の十大小説

受賞・栄典

人物

以下、親交のある人々。

政治的な立場としては、日本共産党に期待すると表明している[19]

作品一覧

  • 『塩の道』(書肆山田、1978年3月 国立国会図書館書誌ID:000001933499
  • 『もっとも長い河に関する考察』(書肆山田、1982年1月 000001583678
  • 『池澤夏樹詩集成』(書肆山田、1996年1月 ISBN 978-4-87995-373-5
  • 『メランコリア』(絵:阿部真理子、光琳社出版、1998年12月 ISBN 4-7713-0351-7
  • 『この世界のぜんぶ』(絵: 早川良雄、中央公論新社、2001年6月 ISBN 4-12-003153-5 / 中公文庫、2004年11月 ISBN 4-12-204447-2
  • 『「メランコリア」とその他の詩』(書肆山田、2021年7月 ISBN 978-4-86725-014-3
  • 『満天の感情』(木版画:ヨルク・シュマイサー、河出書房新社、2022年9月 ISBN 978-4-309-03067-8
  • 『丹後』(写真:畠山直哉、河出書房新社、2024年2月 ISBN 978-4-309-03167-5

小説

随筆・評論など

共著

編著

翻訳

アンソロジー

  • 『夜となく昼となく』(光村図書出版、1998年7月 ISBN 4-89528-092-6) エッセイ「普通の人を書いた人」収録
  • 『花の名随筆 四月の花』(作品社、1999年3月 ISBN 4-87893-728-9) エッセイ「春のカモシカ」収録
  • 『世界がもし100人の村だったら 2』(マガジンハウス、2002年6月 ISBN 4-8387-1380-0) エッセイ「平和について」収録
  • 『読み聞かせる戦争』(光文社、2002年7月 ISBN 4-334-97347-7) エッセイ「難民になる」収録
  • 『それでも私は戦争に反対します。』(平凡社、2004年3月 ISBN 4-582-70509-X) エッセイ「ロバを撃つべきか」収録
  • 『犬のため息 ベスト・エッセイ2004』(光村図書出版、2004年6月 ISBN 4-89528-249-X) エッセイ「音楽会のピストル」収録
  • 『いのちの叫び』(藤原書店、2006年12月 ISBN 4-89434-551-X) エッセイ「人間もどき」収録
  • 『「帝国以後」と日本の選択』(藤原書店、2006年12月 ISBN 4-89434-552-8) エッセイ「なぜアメリカは戦争をしたか」収録
  • 『読書という体験』(岩波文庫、2007年2月 ISBN 978-4-00-350020-0) エッセイ「いちばん恐ろしい本」収録
  • 『秋ものがたり』(偕成社、2008年9月 ISBN 978-4-03-539330-6)短編「おるすばん」収録
  • 『この星の時間 ベスト・エッセイ 2010』(光村図書出版、2010年6月 ISBN 978-4-89528-487-5) エッセイ「生きることの困難と喜び」収録
  • 『ベスト・エッセイ 2011』(光村図書出版、2011年6月 ISBN 978-4-89528-603-9) エッセイ「伊能忠敬地図の原理と頭上の脅威」収録
  • 『特別授業 3.11 君たちはどう生きるか』(河出書房新社、2012年3月 ISBN 978-4-309-61672-8 / 河出文庫、2021年3月 ISBN 978-4-309-41801-8) エッセイ「きみは世界史の中にいる」収録
  • 『3.11を心に刻んで』(岩波書店、2012年3月 ISBN 978-4-00-023045-2) エッセイ「文明の致死因子」収録
  • 『ベスト・エッセイ 2012』(光村図書出版、2012年6月 ISBN 978-4-89528-669-5) エッセイ「温度差を理由とせずに」収録
  • 『ベスト・エッセイ 2013』(光村図書出版、2013年6月 ISBN 978-4-89528-688-6) エッセイ「ゴシップ通し市民描く」収録
  • 『ベスト・エッセイ 2014』(光村図書出版、2014年6月 ISBN 978-4-89528-737-1) エッセイ「時間のない時間の喪失」収録
  • 『アイヌ民族否定論に抗する』(河出書房新社、2015年1月 ISBN 978-4-309-22620-0) エッセイ「アイヌの誇りを奪ってはならない」収録
  • 『平成狸合戦ぽんぽこ』(文藝春秋、2015年1月 ISBN 978-4-16-812007-7) エッセイ「面白うて、やがて悲しき…」収録
  • 『「アジア」を考える 2000〜2015』(藤原書店、2015年6月 ISBN 978-4-86578-032-1) エッセイ「あの喧噪までの距離」収録
  • 『黒澤明 樹海の迷宮 映画「デルス・ウザーラ」全記録 1971〜1975』(小学館、2015年6月 ISBN 978-4-09-388425-9) 「監督の中の魔物」収録
  • 『ベスト・エッセイ 2017』(光村図書出版、2017年6月 ISBN 978-4-8138-0002-6) エッセイ「専門家の努力あってこそ」収録
  • 『万葉集の詩性 令和時代の心を読む』(角川新書、2019年7月 ISBN 978-4-04-082320-1) エッセイ「詩情と形式、あるいは魂と建築 巻十五「遣新羅使詩篇」を例に」収録
  • 『聖書とモンゴル 翻訳文化論の新たな地平へ』(教文館、2021年3月 ISBN 978-4-7642-7448-8) エッセイ「世界文学としての聖書と翻訳」収録
  • 『とあるひととき』(平凡社、2022年5月 ISBN 978-4-582-83898-5) エッセイ「長い夕暮れ、短い夕暮れ」収録
  • 『何げなくて恋しい記憶 随筆集 あなたの暮らしを教えてください 1』(暮しの手帖社、2023年3月 ISBN 978-4-7660-0229-4) エッセイ「若い祖母への思慕」収録
  • 『久保田万太郎と現代 ノスタルジーを超えて』(平凡社、2023年10月 ISBN 978-4-582-83938-8) エッセイ「「くづれやな」から「大寺学校」へ」収録
  • 『作家と山』(平凡社、2025年8月 ISBN 978-4-582-83987-6) エッセイ「白馬連峰」収録

脚注

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI