湯田温泉峡

岩手県西和賀町にある温泉 From Wikipedia, the free encyclopedia

湯田温泉峡(ゆだおんせんきょう)は、岩手県和賀郡西和賀町(旧湯田町)にある温泉群(温泉郷)である。和賀川流域の峡谷に温泉が点在し、湯田温泉峡県立自然公園に指定されている。「温泉峡」を名乗る温泉地は、他にも花巻温泉郷南部の「南花巻温泉峡(または花巻南温泉峡)」がある。

1.湯本温泉 2.湯川温泉 3.巣郷温泉 4.大沓温泉 5.薬師温泉 6.川尻温泉 ほっとゆだ 7.槻沢温泉 砂ゆっこ 8.錦秋湖温泉 穴ゆっこ 9.峠山温泉 峠山パークランド オアシス館 10.左草温泉 ゆう星館 11.見立温泉

歴史

湯川温泉は永正年間(1504-1521年)[1]、湯本温泉は1658年(万治元年)からの歴史があるといわれる。

1966年発行の『宿泊施設実態調査報告書』では湯田温泉峡の年間宿泊者数11.2万人との記載があり、これは花巻温泉郷(35.2万人)、鶯宿温泉(12.6万人)に次いで県内3番目である[2]

1986年の宿泊者数は、湯本温泉が5.1万人、湯川温泉が5.5万人、巣郷温泉が1.4万人、薬師温泉が1.5万人[3]

湯本温泉

岩手湯本温泉とも言われる。国道107号から岩手県道1号盛岡横手線(湯本バイパス)を北上したところに位置する。

1658年万治元年)開湯。旧町名である湯田の由来となっている「田の中から湯が湧くところ」というのは湯本温泉を指している。その場所は「丑の湯」[4]と呼ばれ、牛が田んぼの中にしゃがみ込んだところ温泉が湧き出てきたことに由来する。1893年(明治26年)、正岡子規が訪れ句作したことも有名である。道路の地域的通称を「子規街道」ともいう。

昭和期には善作こけしが作られていた[5]

1989年3月発行の『岩手県旅館環境衛生同業組合30周年記念誌』の岩手県旅館組合湯本支部の名簿には、湯本温泉に12軒(対滝閣、山田屋、万代旅館、旅館高与、湯本ホテル、一休館、和賀旅館、三花館、あさひ館、白滝荘、ときわ荘、旅館田家)の宿泊施設が記載されている[6]

日本各地に存在する「湯本温泉」とともに「ゆもと湯けむり5名湯」という宿泊スタンプラリーを定期的に開催している。温泉地内、近隣の温泉地とのスタンプラリーは多いが、日本全国を対象としたスタンプラリーの実施例は少ない。

参加した温泉地

かつては旅館に併設された湯本博物館があり[3]嘉永3年(1850年)の湯本温泉絵図が展示されていた。写しが湯本の中央食堂に飾られている。

湯本温泉小史

  • 1658年万治元年) - 湯本温泉発見。
  • 1760年寛延10年) - 丑の湯立つ。
  • 1888年(明治21年) - 大火により18戸48棟が被害を受ける。
  • 1892年(明治25年) - 再び大火が起こる。
  • 1893年(明治26年) - 正岡子規が湯本を訪ねる。
  • 1896年(明治29年) - 真昼地震により湯本の湯が止まり、多くの宿泊客が引き上げる。
  • 1904年(明治37年) - この頃、湯本に医師・下村友三、藤原義定が滞在した。
  • 1924年(大正13年) - 湯本ホテルが初めて自動車営業。
  • 1940年(昭和15年) - 湯本自動車株式会社設立。
  • 1950年(昭和25年) - 盛岡〜湯本直行バス運行。
  • 1956年(昭和31年) - 川尻〜湯本間ブルドーザー除雪によりバス運行。
  • 1959年(昭和34年) - 吉野旅館白樺荘が全焼。
  • 1970年(昭和45年) - 湯田町観光協会が発足。
  • 1971年(昭和46年) - 湯之沢に町営スキー場ができる。
  • 1973年(昭和48年) - 山崎和賀流角川俳句賞受賞。第1回町民雪まつり開催。
  • 1974年(昭和49年) - 1月25日の豪雪で積雪量3m68cmを観測。町役場に観光課設置。

湯川温泉

国道107号から岩手県道215号湯川温泉線を南下した終点にある。観光温泉地の性格を持っていた湯本と異なり、湯治を中心とした療養温泉地の性格を持つ[7]。出途の湯、中の湯、奥の湯の3エリアからなり[8]、奥の湯や中の湯には、明治大正期に開業した旅館もある[7]

1969年(昭和44年)の調査では、ピークとなる1・2・7・8月には月に5000人以上の自炊湯治客が訪れていた[7]。特に秋田県の横手盆地からの利用客が多かったといわれる[7]

1972年(昭和47年)時点では9本(自然湧出4、掘削自噴1、動力4)、毎分992Lの源泉があった[7]。古くから出途の湯、中の湯、奥の湯に共同浴場があり、各旅館は外湯として利用する形をとっていたが、昭和30年代から40年代にかけて動力化により内湯化が進んだ[7]。中の湯では、渓谷をまたいで旅館の建物を繋ぐ廊下が特徴的であった[9]

1989年3月発行の『岩手県旅館環境衛生同業組合30周年記念誌』の岩手県旅館組合湯本支部の名簿には、湯川温泉に11軒(万鷹旅館、春山荘、別館春山荘、新清館、高繁旅館、世寿美屋、吉野屋、大扇、大盛館、勝栄館、末広旅館)の宿泊施設が記載されている[6]

巣郷温泉

国道107号沿いで秋田県境にある温泉峡の西の玄関口。ゆだ高原駅に近い。

1967年、黒鉱調査により湧出し、1969年(昭和44年)以降に共同浴場や複数の旅館、ドライブインができた[7]

1989年3月発行の『岩手県旅館環境衛生同業組合30周年記念誌』の岩手県旅館組合湯本支部の名簿には、巣郷温泉に3軒(静山荘、蘭寿苑、クワハウス巣郷温泉)の宿泊施設が記載されている[6]

1993年秋にはゴルフ場の湯田高原カントリー倶楽部ができた[3]

一軒宿

大沓(おおくつ)温泉

湯本温泉に向かう途中に存在する一軒宿。和賀川沿いにあり対岸の岩山「オロセ倉」を望むことができる。

薬師温泉

  • 泉質:硫酸塩泉

国道107号から湯田中学校の脇を通る町道を進んだ間木野にかつてあった一軒宿。かつて薬師如来が住んでいたという伝説に由来する。オロセ倉至近に建っていた。

日帰り入浴施設

1986年(昭和61年)に「お湯〜とぴあ」構想が打ち出され、町内7地区に分けた温泉利用計画ゾーンが設定された[10]。既存の温泉がない地域は1993年度(平成5年度)までにボーリングが行われ、7地区に温泉が揃う形となった[10]。川尻、槻沢、錦秋湖、峠山の日帰り入浴温泉施設は当初は1986年(昭和61年)4月設立の湯田町自治振興公社が運営していたが、後に旧湯田町が出資して1997年(平成9年)5月に設立された第三セクターのゆだふるさと産業公社(町村合併後は西和賀産業公社)に引き継がれた[11]

川尻温泉 ほっとゆだ

ほっとゆだ(駅舎建物左側が浴場部分)

ほっとゆだ駅に引かれている駅中温泉「ほっとゆだ」。列車到着時間まであと何分かを知らせる、鉄道の信号機を模した時刻案内機が浴室内に設置されている。

槻沢(つきざわ)温泉 砂ゆっこ

  • 泉質:ナトリウム、カルシウム - 硫酸塩、塩化物泉(低張性弱アルカリ性高温泉)

湯本温泉の北側に位置し、1990年(平成2年)12月にオープン[11]。町内で産出される天然珪砂を高温の源泉で熱した砂蒸し風呂があり、浴衣で砂地に横になったところにスタッフが砂をかけてくれる[11]

錦秋湖温泉 穴ゆっこ

かつて営業していた穴ゆっこ(2020年8月撮影)
  • 泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉。加温あり、給水なし。

ゆだ錦秋湖駅に近く温泉峡の東の玄関口に位置した「穴ゆっこ」があったが、2022年3月31日にて閉館。温泉名は至近のダム湖である錦秋湖、施設名は鉱山の坑道をイメージした「洞窟ぶろ」を設置していることに由来する。岩手県道133号ゆだ錦秋湖停車場線(旧名 陸中大石停車場線)の起点手前の交差点を、(国道107号側から来て)左折。

峠山温泉 峠山パークランド オアシス館

峠山パークランドオアシス館の外観

1997年8月、秋田自動車道錦秋湖SAオープンと同時に、同SA内にオープン[11]。国道107号からも利用できる。建物の老朽化により2019年4月8日より休止し[12]、西和賀町は温泉施設を廃止する方針を2022年3月に決めた[13]

左草(さそう)温泉 ふれあいゆう星館

  • 泉質:単純泉

囲炉裏のある農村文化生活体験コーナーや宿泊部屋を備えた施設として1993年(平成5年)11月にオープン[14]。2022年には湯川温泉で旅館を経営する山人により買い取られた[15]。岩手県道1号盛岡横手線(湯本バイパス)から岩手県道12号花巻大曲線女神山に向かって西進し、長峰牧場・長峰公園キャンプ場手前にある。

野天風呂

見立温泉

見立温泉

林道夏油湯田線の奥に有る野湯。林道より登山道徒歩10分。かつては鉱山労働者のための保養所があったが、現在では湯船のみが残っている。

アクセス

湯川温泉湯けむりタクシーは、2018年秋に廃止となった岩手県交通湯川線の代替として運行開始したものである[17]

脚注

関連項目

外部リンク

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