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甘茶

ヤマアジサイの変種。もしくはその葉を茶葉として煎じた茶系飲料 From Wikipedia, the free encyclopedia

甘茶(あまちゃ)は、アジサイ科[1][注釈 1]落葉低木ヤマアジサイの変種[1])であるアマチャの若葉を採取し、それを蒸して揉捻し、乾燥させて煮出した飲料[2]。あるいはウリ科の多年草であるアマチャヅルに同様の加工を行って作った飲料である[2]

甘茶

なお、植物として甘茶の原料となるヤマアジサイの変種の一群(アマチャ群)をアマチャという[3][4]。また、アマチャヅルの異名として甘茶が用いられることもある[4]

原料

アマチャ群

アジサイ属のうちヤマアジサイのグループの中で葉に甘みのあるものをアマチャ(アマチャ群)と呼んでいる[3]。その代表種としてアマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var. thunbergii Makino)やアマギアマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var. amagiana Makino)がある[3]

飲料の甘茶は、黄褐色で甘味が感じられる。この甘味は、アマチャの生の葉に、フィロズルチンイソフィロズルチン英語版の配糖体が含まれているためである[注釈 2]。この配糖体が、アマチャの葉を乾燥させるなどの加工工程を踏んだ結果、加水分解されて、フィロズルチンとイソフィロズルチンが抽出されやすくなる。この抽出されたフィロズルチンとイソフィロズルチンが、甘味を感じさせる[注釈 3]。これらの甘味成分の甘さは、スクロースの400あるいは600 - 800倍[5][6]サッカリンの約2倍である[7]。さらに、アマチャの葉には、例えば、フィロズルチンにグルコースが結合された配糖体が含まれる[注釈 4]。これが加水分解されているため、理屈の上では、グルコースの甘味も加わる。

利用

歴史的には甘味をもつ飲料(甘味料)として飲用にされてきたほか、防腐や防カビ作用をもつものとして醤油の醸造に利用された[3]。また、ノンカロリーの飲料として糖尿病患者の食事に甘味料として利用される[3]。このほか血液の循環をよくして体を温める効果があるとして海女にも飲用された[3]

アマチャは昔から食用とされてきた植物であり、適度な濃さの甘茶を飲用しても害は無い。しかし、あまりに濃過ぎる甘茶を飲むと、中毒を起こして嘔吐する恐れがある。花祭りの際に濃過ぎる甘茶を飲んだ児童が、集団食中毒を起こした事例も報告されている。厚生労働省は濃い甘茶を避け、アマチャの乾燥葉2グラムから3グラム程度を、1リットルの水で煮出す甘茶の作り方を推奨している[8]

薬用

アマチャやアマチャ末は、医療用も含めて一般的な漢方方剤には使用されない生薬ながら[9]、第15改正の日本薬局方にも収録された。

食品添加物

アマチャの抽出物は、日本で食品添加物の化学的合成品以外の食品添加物の中で、甘味料として用いられる場合がある[10]。アマチャ抽出物の使用基準は、定められていない[11]

アマチャヅル

アマチャヅルを原料にした飲料も「甘茶」として供される[2]。その名は葉に甘味があることに由来するが、その甘味物質の単離を目的とする研究でギペノサイド(gypenoside)と呼ばれる多種ダンマラン系サポニンが単離された[12]

甘茶と灌仏会

飲料としての甘茶は、江戸時代から灌仏会(花祭り)の際に、仏像に注ぎかけることが古くから行われてきた。これは、釈迦の生誕時に八大竜王が、これを祝って産湯に甘露を注いだという故事による風習である[13]。また、潅仏会の甘茶には虫除けの効果もあると信じられ、甘茶をに混ぜてすり、四角の白紙に「千早振る卯月八日は吉日よ かみさけ虫を成敗ぞする[14]」と書いて室内や厠の柱にさかさまに貼ると虫除けになるという風習が、かつて日本では見られた[13][注釈 5]。灌仏会が始まった8.9世紀、寺院、宮中では種々の香料を用いた香湯を使っていたが、鎌倉時代になって五香水・五色水になり、江戸時代になり甘茶になった。当時は、甘味の少ない時代であったので、この甘味は貴重だったのかもしれない。常盤津の「はやし詞」に「カッポレカッポレ、アマチャでカッポレ」がある。このカッポレは「活惚」とも書くこともある。

脚注

関連項目

外部リンク

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