当時、静岡県におけるイチゴの主品種は女峰、スルガレッド、久能早生、アイベリーを経て章姫となっていたが、章姫には果皮が弱く東京市場への輸送に問題があったことと、赤色が薄いという見た目が問題視されていた[2]。
1994年に静岡県農業試験場(現在・静岡県農林技術研究所)において章姫を子房親にし、さちのかを花粉親として交配させ得られた実生から育成、選抜が行われた[4]。1996年度は選抜した「94-9-2」が章姫と同等以上の多収性、食味や硬さ、果心部まで赤いといった特徴を備えていたことから、有望として1997年7月には系統名「静岡11号」が与えられた[4]。1997年度には韮山町、藤枝市、浜岡町、袋井市において「静岡11号」の現地適応性試験を行い、果実の大小の較差が激しいことと、果皮色が濃すぎることなどの問題が指摘されたものの、栽培のし易さや章姫と同等以上の収量性や大きさ、硬さ、食味などが良好であることが確認された[4]。1998年度も同様に現地適応試験を実施し、初収が遅ると総収量で章姫よりも劣ること、果実の形状が女峰に近い長円錐形で章姫と比べてパックに詰めにくいといった問題は指摘されたものの、今後の普及が見込まれたため、1999年3月に「紅ほっぺ」という名称で品種登録を出願し、2002年7月に品種登録された[4]。
「紅ほっぺ」の品種名は、果皮色が鮮紅色であることに加え、果心部まで赤いことと、ほっぺが落ちるほどのコクのある食味であることを表していると共に、親しみを持たれることを願って命名された[4]。