ヒトの肺胞におけるガス交換の仕組み。正常時(上段)と肺胞が液体で満たされ、交換効率が低下した時(下段)
赤血球中のヘモグロビン(Hb)は酸素分圧に応じて酸素と結合する性質を有しており、酸素分圧が高い肺砲内で酸素と結合し、酸素分圧が低い末梢組織で酸素を遊離する。
二酸化炭素は一部はヘモグロビンと結合しているが、これは二酸化炭素の運搬というよりもヘモグロビンと酸素との親和性を変化させることにより効率よく酸素を運搬させる役割を持っている。二酸化炭素は酸素よりも水に溶解しやすく、二酸化炭素の運搬は専ら血漿への溶解→赤血球内での水和(炭酸に変化)によるイオン化によって血漿中に拡散して運搬される。血漿中にはフリーの二酸化炭素と炭酸イオンが共存し化学平衡に達しているが、二酸化炭素分圧の低い肺胞に血液が到達すると、まず二酸化炭素が肺胞気中に拡散し、血漿の二酸化炭素分圧が下がることによって炭酸が脱水されて二酸化炭素となり、さらに肺胞気中に拡散して排泄される。
一方、一酸化炭素やシアン化水素は、ヘモグロビンとの親和性が酸素より高いため、酸素運搬を阻害して毒性を発揮する。
なお、血液と空気のガス交換は血液‐ガス分配係数で表される。これは、ガスが溶ける血液の分布容積を求めるものであり、吸入麻酔薬の選択や調整に使用される。臨床においては、肺胞気・動脈血酸素分圧較差(AaDO2)が肺胞における換気能の指標として重視される。